この連載では、みなさんからフォーム・セミナーや、感想に寄せられたご質問に孫さんが回答していきます!今回の質問はこちらです。
Q. いろんな先生に志望理由書を見てもらってブレてしまう生徒がいます。添削する際に教師側で守った方がいいルールはありますか?また、その後のレポートはどのように指導していったらいいですか?
複数の先生に見てもらうこと自体は、全く問題ない
まず、志望理由書を複数の先生に見てもらうこと自体は、まったく問題ありません。むしろ、いろいろな視点から意見をもらえるという意味では、良いことだと思います。
ただし、複数の先生が関わるのであれば、学校として一つ決めておいた方がいいことがあります。
それは、誰が最終的な責任を持つのかということです。
先生ごとに違う意見が出ること自体は避けられません。だからこそ、「この生徒の志望理由書は、最終的に誰が責任を持って見るのか」をあらかじめ決めておく必要があります。
第一段落は、その生徒に一番近い先生が責任を持つ
特に重要なのが、第一段落です。
第一段落までは、その生徒に一番近い先生が責任を持って一緒に考えるべきだと思っています。
ここで考えるのは、「この生徒は、どんな社会課題や問題意識を持って、その大学に進学したいのか」という部分です。
これは、推薦入試に詳しいかどうか、専門的な添削経験があるかどうかという話ではありません。
その生徒がこれまで何を経験し、何を考えてきたのかを一番よく知っている先生だからこそ、一緒に考えられる部分です。
だからこそ、第一段落については、まず生徒に一番近い先生が責任を持つことが大切だと思います。
他の先生は、第一段落の「軸」をむやみに変えない
第二段落以降を他の先生に見てもらうことは問題ありません。
ただし、その際に避けたいのが、先生が変わるたびに第一段落まで変わってしまうことです。
第一段落は、志望理由書全体のロジックの軸になります。
ここが変わると、「なぜこの大学なのか」「大学で何を学びたいのか」「どの教授から何を学びたいのか」といった後半の内容まで、すべて変わってしまいます。
そのため、他の先生に添削をお願いするときには、
「この生徒はこういう問題意識を持っていて、その意図で第一段落を書いているので、ここは大きく変えないでほしい」
という前提を共有しておくと良いと思います。
第一段落の軸は維持しつつ、第二段落以降については、いろいろな先生の視点を活用する。
このルールを学校内で共有しておくと、志望理由書が必要以上にブレにくくなります。
第二段落以降は、複数の先生の視点を活用する
専門教科の先生に見てもらうことも、もちろん良いと思います。むしろ、そこはそれぞれの先生の専門性を活用していただければいいと思います。
「この生徒は、以前こんな活動もしていた」
「この経験も志望理由につながるのではないか」
といったことは、別の先生だからこそ気づける場合があります。
また、学部の内容に関わる部分については、専門教科の先生に見てもらうのも非常に有効です。
つまり、
第一段落は軸として固定し、第二段落以降は複数の先生の専門性や視点を活用する。
このような役割分担を明確にし、ルールを学校内で共有しておくことが大切です。
志望理由書と 異なり、レポートにはいくつかの種類がある
次に、レポートについてです。
一口にレポートといっても、大学によって内容は大きく異なります。
例えば、
- これまで取り組んできたことを書く自己PR型のレポート
- 課題図書を読んで、自分の考えを書くレポート
- 学部に関する知識や問題意識を問うレポート
など、さまざまな形式があります。
ここでまず考えてほしいのは、「なぜ大学は、志望理由書とは別にこのレポートを提出させているのか」ということです。
大学が追加で提出を求めている以上、そのレポートには、大学側が特に見たいポイントがあるはずです。
同じ「志望理由書+レポート」でも、役割は大学・学部によって違う
例えば上智大学では、学部によってレポートの内容が異なります。
経営学部では、自分がこれまで取り組んできたことを書くレポートがあります。
一方、総合人間科学部教育学科では、指定された本を読んで、自分の考えを書く形式のレポートが課されます。


この二つは、どちらも「志望理由書とレポート」を提出しますが、レポートの役割がまったく違います。
経営学であれば、これまでの活動や経験はレポート側で詳しく書くことができます。
そのため、志望理由書では、その内容を何度も繰り返す必要はありません。
一方、教育学科のように課題図書について書くレポートであれば、自分自身の活動や経験を書く場所が別に用意されているわけではありません。
その場合は、志望理由書の中で、自分がこれまで何をしてきたのかをある程度伝える必要があります。
つまり、志望理由書とレポートを別々のものとして考えてはいけないということです。
「どの書類で何を伝えるか」を考える
重要なのは、出願書類全体を見て、
「この情報は志望理由書で伝える」
「この内容はレポートで詳しく書く」
と役割分担を考えることです。
レポートで十分に書ける内容を、志望理由書でも長く説明する必要はありません。
逆に、レポートでは扱われない内容については、志望理由書の中できちんと補う必要があります。
つまり、志望理由書とレポートは、それぞれ単独で完成度を上げるのではなく、出願書類全体で、一人の生徒をどう伝えるかという視点で考えることが重要です。
「志望理由書を完成させてからレポート」ではない
そのため、「まず志望理由書を完成させて、その後にレポートを書く」という進め方には、少し注意が必要です。
実際には、レポートを書いている途中で、「この内容は志望理由書にも入れた方がいい」と気づくことがあります。
反対に、「これはレポートで十分に書けているから、志望理由書からは削っていい」となることもあります。
志望理由書とレポートは、行ったり来たりしながら調整し、相関するものとして考えた方がいいです。
レポートの目的によって、指導方法も変える
レポート指導で最初にやるべきことは、「このレポートで大学は何を見ようとしているのか」を整理することです。
- 基礎読解を求めているのであれば、その基礎読解能力を上げていく。
- 学部知識を求めているのであれば、学部知識を上げていく。
求められていることに応じて枝分かれしていき、対策方法を変えていく必要があります。
そのため、まず大切なのは、「このレポートで大学は何を見ようとしているのか」を整理することです。
そして、レポートだけを単独で完成させようとするのではなく、志望理由書を含めた出願書類全体の中で、「どの書類で何を伝えるのか」を考えていくことが重要です。
志望理由書とレポートを別々に指導するのではなく、互いの役割を行き来しながら、一つの出願書類として完成させていく。
そうした視点を学校内でも共有していくことが重要だと思います。
志望理由書とレポートを、一つの出願書類として考える
まとめると、志望理由書の添削では、複数の先生が関わること自体は問題ありません。
ただし、第一段落については責任を持つ先生を決め、志望理由全体の軸が簡単に変わらないようにする。
その上で、第二段落以降は、いろいろな先生の専門性や視点を活用していく。
そしてレポートについては、それ単体で考えるのではなく、「この大学は、志望理由書とレポートを合わせて何を見ようとしているのか」を考えることが重要です。
志望理由書とレポートを別々に指導するのではなく、互いの役割を確認しながら、一つの出願書類として完成させていく。
この考え方を学校全体で共有できると、先生による指導のブレもかなり減っていくと思います。
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