推薦面接は、どこまで準備するべきか
推薦面接では、「どこまで深掘りされるのか」と不安になる人も多いと思います。
まず大切なのは、面接を志望理由書と切り離して考えないことです。
面接で聞かれることの多くは、すでに志望理由書に書いたことの延長線上にあります。
なぜその問題に関心を持ったのか。なぜその大学・学部なのか。これまで何をしてきたのか。大学で何を学びたいのか。そして将来どうつなげたいのか。結局、聞かれるのはそこです。
文章ではそれらしく見えていても、口に出した途端に崩れるのであれば、その志望理由はまだ自分のものになっていません。
逆に、志望理由書の中身を自分で理解し、一本の流れとして説明できれば、面接は極端に怖いものではなくなります。
面接では、志望理由書の言葉を一段ずつ掘り下げられる
面接官は、書類に書いてあることをそのまま読み上げてほしいわけではありません。知りたいのは、その内容がどれだけ本人の中で咀嚼されているかです。
たとえば、「地域格差に関心があります」と書いてあれば、「なぜ地域格差なのですか?」「その中でも何の格差ですか?」「教育の格差ですか、経済の格差ですか、医療の格差ですか?」などと突っ込まれるかもしれません。
「貴学の学びに魅力を感じました」と書いてあれば、「具体的にどの授業ですか?」「他大学との違いは何ですか?」などと聞かれるでしょう。
面接とは、あなたの文章に書かれた言葉を一段ずつ掘り下げる場なのです。
だからこそ、暗記ではなく理解が必要です。
おすすめなのは、自分の志望理由書に対して「なぜ」を3回ずつかけてみることです。
たとえば「子どもの貧困に関心があります」と書いたなら、「なぜそう思うのか」「なぜそれを問題だと感じたのか」「なぜその課題をこの学部で学びたいのか」などと、自分自身で掘り下げます。
そこまで言えれば、面接で少し掘り下げて聞かれても崩れません。
逆に、「関心があります」「貢献したいです」だけで止まっていると、1つ目の問いで詰まります。
面接が怖く見えるのは、難しい質問が飛んでくるからではありません。自分の言葉がまだ浅いままの部分が露出するからです。
「志望理由」を5つに分けて話せる状態にする
面接対策では、自分の志望理由書を5つくらいのまとまりに分けて説明できるようにしておくとよいです。
たとえば、「問題意識」「きっかけ」「これまでの行動」「大学で学びたいこと」「将来像」というように区切って、それぞれを30秒から1分で話してみます。
ここで詰まるところが、そのまま面接で危ないところです。
文章として読めばわかった気になる部分でも、話そうとすると案外曖昧なままになっていることがあります。
このとき大切なのは、書いてある文章をそのまま暗記することではありません。面接官が見たいのは、覚えた文章の再生能力ではなく、質問を受けて、自分の考えを相手に届く形で返せるかどうかです。
深掘りされるのは「なぜ?」だけではない
面接では、自分の考えに対して、さらに別の角度から問われることもあります。
「その考えには反対意見もあるのでは」
「あなたの経験だけで一般化できますか?」
「なぜ今の段階でその進路に決められるのですか?」
といった質問です。
ここで焦って、防御的になったり、無理に言い切ったりする必要はありません。こういう質問は、あなたを否定するというより、考えの柔軟さや深さを見ることが目的です。
「たしかにその視点はあると思います。そのうえで私はこう考えています」と、いったん受け止めてから話す。
あるいは、「その点はまだ十分に考え切れていませんが、だからこそ大学で深めたいと思っています」と答える。
こうした返し方ができる人は、対話できる人だと見られます。
面接で重要なのは、考えを持っていることだけではありません。その考えを、相手の問いに応じて組み立てて直せるかどうかも見られています。
面接を「発表会」のようにしてしまう人がいます。どんな質問にも、準備した長い文章をそのまましゃべろうとしてしまうのです。
けれど、それでは会話になりません。
面接官が見たいのは、覚えた文章の再生能力ではなく、質問を受けて、自分の考えを相手に届く形で返せるかどうかです。
準備するべきなのは、質問の数ではなく「自分の軸」
面接というと、何百問も想定質問を集めたくなるかもしれません。
しかし、核になる質問はだいたい決まっています。
なぜこの大学なのか。なぜこの学部なのか。これまで何をしてきたのか。大学で何を学びたいのか。学んだことを将来にどうつなげたいのか。
まずはこのあたりを、自分の言葉で答えられるようにすることが大切です。
さらに、自分の関心分野に関連する社会課題についても、「自分は何を問題だと感じているのか」「なぜそう考えるのか」まで準備しておく必要があります。
ニュースをたくさん知っていることよりも、自分の志望理由とつながる論点を自分なりに考えられることのほうが重要です。
一つの質問に、30秒から1分で答えられるようにする
深掘りへの準備をするときに大切なのは、答えを長くしすぎないことです。
緊張しているときほど、人は話を長くしてしまいがちです。でも、長い答えはだいたい途中で破綻しやすくなります。
おすすめは、まず30秒から1分で答える練習をすることです。
短く答えれば、自分が何を一番伝えたいのかが見えやすくなりますし、足りない部分は面接官が追加で聞いてくれます。面接は演説ではなく会話です。全部を一回で言い切ろうとしなくていいのです。
たとえば、「なぜこの学部を志望するのですか?」と聞かれたときに、最初から長い前置きをすると、自分でも何を言いたいのかわからなくなります。
そうではなく、「私は〇〇という課題を、△△の視点から学びたいので、この学部を志望しています」とまず答える。そのあとで、きっかけやこれまでの取り組みを補うようにします。
この流れだけでも、話の軸がぶれにくくなります。
また、必ず声に出して練習してください。頭の中で「言えるはず」と思っているだけでは不十分です。実際に話してみると、語尾が弱い、主語が抜ける、同じ言葉を何度も使う、話が長くなる、などの問題が出ます。
自分の志望理由について、短く答えられる状態をつくっておくと、そこから面接官に深掘りされたときにも、一つずつ質問に答えやすくなります。
深掘りに強くなるためには、長い回答を暗記するのではなく、自分の考えの軸を短く言える状態にしておくことが大切です。
結局、どこまで深掘りされると考えればいいのか
推薦面接では、志望理由書に書いた内容について、少なくとも「なぜ?」を何度か重ねても答えられる状態にしておく必要があります。
「なぜその問題に関心を持ったのか」
「なぜそれを問題だと感じたのか」
「なぜその大学・学部なのか」
「なぜその学びが必要なのか」
「なぜその将来像につながるのか」
このあたりまで、自分の言葉で説明できるようにしておく。
そして、反対意見や少し意地悪に感じる質問が来ても、相手の問いを受け止めながら、自分の考えを組み立て直せるようにしておく。
面接とは、新しいことを足す場ではありません。志望理由書に書いたことを、自分の言葉として立体化する場です。
どこまで深掘りされるかを予想するより、自分が書いた言葉について、「なぜそう言えるのか」「具体的にはどういうことなのか」を説明できるか確認しておくこと。
それが、推薦面接の準備で最も大切なことです。
.webp&w=3840&q=75)