2026年、近畿大学経済学部経済学科のグローバルキャリア志向型入試が行われました。未来図編集部が独自に入手した受験生の報告をもとに、入試問題の概要と関連する社会問題、リザプロ株式会社推薦対策事業部が想定する回答の方向などをお伝えします!

➤気になった大学を保存して比較する

 

問題概要

 当日は、午前11時から12時までの60分間で筆記試験が行われ、昼食休憩を挟んで午後1時から個別面接が実施されました。

 筆記試験では、大きく2つのテーマが出題されました。第1問では「自助・共助・公助」をテーマに、それぞれの役割やあり方について自分の意見を述べることが求められました。第2問では「環境循環」をテーマに、提示された資料を読み取ったうえで、自分の考えと具体的な対策を述べる問題が出題されました。

 いずれも現代社会が抱える課題を題材としており、単に用語の意味を理解しているだけでなく、社会問題の背景を捉え、解決策を論理的に説明する力が求められたと考えられます。特に経済学部の試験として、政府・企業・個人がそれぞれどのような役割を担い、限られた資源をどのように活用するべきかという視点が重要だったといえるでしょう。なお、各設問の正確な文言や提示資料の詳細は確認できていないため、以下では受験生の報告をもとに出題意図を分析します。

 

用語解説:「自助・共助・公助」とは

 自助とは、自分自身や家族の生活を自ら守ることです。共助とは、地域住民や企業、団体などが互いに協力して支え合うことを指します。そして公助とは、国や地方自治体などの行政が制度や公共サービスを通じて人々を支援することです。

 例えば自然災害への対策では、各家庭が非常食を備蓄することが自助、地域住民が協力して避難を支援することが共助、行政が避難所を整備したり救援物資を提供したりすることが公助に当たります。

 重要なのは、これら3つのうちどれか一つを優先すればよいわけではないという点です。個人の努力だけでは解決できない問題がある一方、行政による支援だけにも限界があります。互いの役割を補い合う仕組みを構築することが、持続可能な社会の実現につながります。 

 

関連すると思われる社会問題①

 自助・共助・公助に関連する社会問題として、少子高齢化による社会保障制度の持続可能性が挙げられます。

 日本では高齢化の進行に伴い、医療や介護などの社会保障サービスへの需要が高まっています。しかし、行政があらゆる支援を担おうとすれば、財政負担が増大する可能性があります。一方で、すべてを個人の責任に委ねれば、所得や家庭環境によって受けられる支援に格差が生じかねません。

 そこで重要となるのが、自助・共助・公助の適切な役割分担です。例えば、個人が健康維持に取り組むことに加え、地域で高齢者の見守り活動を行い、行政が介護保険制度などを通じて必要な支援を提供する仕組みが考えられます。

 経済学部の受験生としては、限られた財源をどのように配分すれば社会全体の利益を高められるのかという視点が重要です。単に「助け合いが大切だ」と述べるのではなく、支援に必要な費用を誰が負担し、どのような制度で公平性と持続可能性を両立させるのかまで考えられると、説得力のある答案になります。

理想回答の一例:第1問「自助・共助・公助」

 

① テーマ理解

 自助・共助・公助は、個人・地域社会・行政がそれぞれ異なる役割を担いながら社会全体を支える仕組みである。重要なのは、どれか一つに依存するのではなく、それぞれの限界を踏まえて役割を分担することである。

 

② 内容展開の方向性

A. 少子高齢化による社会保障制度の課題を取り上げ、個人・地域社会・行政それぞれの役割を整理する。

B. 自助を重視しすぎた場合に生じる経済格差と、公助に依存しすぎた場合に生じる財政負担の問題を指摘する。

C. 地域の見守り活動や予防医療の充実など、3つの仕組みを組み合わせた持続可能な支援体制を提案する。

 

③ 構成例

序論: 私は、持続可能な社会を実現するためには、自助・共助・公助のいずれかに偏るのではなく、それぞれの役割を適切に組み合わせることが重要だと考える。

本論: 例えば、高齢化が進む日本では、医療や介護に対する需要が増加している。個人が健康管理に取り組む自助は重要だが、経済的・身体的な事情によって十分に対応できない人も存在する。一方、行政がすべてを支援しようとすれば財政負担が増大する。そこで、地域住民による見守り活動などの共助を充実させるとともに、行政は支援を必要とする人に適切なサービスを提供するべきである。また、予防医療への支援を強化することで、個人の健康維持を促し、将来的な医療費の抑制にもつなげられると考える。

結論: 自助・共助・公助は、互いに補完し合う関係にある。個人の努力を尊重しながらも、努力だけでは解決できない問題を社会全体で支える制度を構築することが重要である。

 

用語解説:「循環経済(サーキュラーエコノミー)」とは

 循環経済とは、資源を大量に生産・消費・廃棄する従来の経済モデルから転換し、製品や資源を可能な限り長く使い続けることで、廃棄物を減らしながら経済活動を維持する仕組みのことです。

 代表的な取り組みとして、廃棄物の発生を抑える「リデュース」、製品を繰り返し使用する「リユース」、使用済みの資源を再利用する「リサイクル」の3Rがあります。例えば、衣服を長く使えるように修理するサービスや、使用済みの製品から資源を回収して新たな商品を製造する仕組みなどが挙げられます。

 循環経済の特徴は、単に環境負荷を減らすだけでなく、新たなビジネスや雇用を生み出す可能性がある点です。環境保護と経済成長を対立するものとして捉えるのではなく、両立させる仕組みを考えることが重要になります。

  

関連すると思われる社会問題②

 環境循環に関連する社会問題として、食品ロスやプラスチックごみの増加が挙げられます。例えば食品ロスの問題では、まだ食べられる食品が廃棄される一方で、食料の生産や輸送には大量の資源やエネルギーが使われています。これは環境への負荷だけでなく、企業にとっても仕入れや廃棄にかかる費用が無駄になるという経済的な損失につながります。

 

 こうした問題への対策として、需要予測による仕入れ量の最適化や、販売期限が近づいた商品の値引き、余剰食品を必要とする人へ届ける仕組みなどが考えられます。また、プラスチックごみの問題では、回収やリサイクルの仕組みを整備するだけでなく、企業が商品を設計する段階から再利用のしやすさを考慮することも重要です。

 

 これらに共通するのは、環境問題を個人の意識だけに任せるのではなく、企業が環境に配慮した行動をとることで経済的な利益も得られる仕組みを整えるという視点です。経済学部の試験では、環境保護の必要性を述べるだけでなく、対策にかかる費用や企業の利益、消費者の行動変化まで踏まえて考察することで、より深い議論が可能になります。

 

理想回答の一例:第2問「環境循環」

① テーマ理解

 環境循環の課題は、大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした経済活動によって、資源の浪費や環境負荷が生じていることである。持続可能な社会を実現するためには、廃棄物の削減と経済活動を両立させる仕組みが必要となる。

 

② 内容展開の方向性

A. 食品ロスを題材に、資源が有効活用されず廃棄されることによる環境面・経済面の損失を整理する。

B. 消費者の意識改革だけでは限界があることを指摘し、企業の生産・販売の仕組みに着目する。

C. 需要予測の高度化や値引き制度の導入など、企業にも経済的なメリットが生まれる対策を提示する。

 

③ 構成例

序論: 私は、環境循環を促進するためには、企業と消費者の双方が、資源を無駄にしない行動を継続できる経済的な仕組みを整えることが重要だと考える。

本論: 例えば、食品ロスは環境問題であると同時に経済的な損失でもある。食品の生産や輸送には資源やエネルギーが必要であり、廃棄されればそれらも無駄になってしまう。この問題を解決するためには、企業が販売データを活用して需要を予測し、仕入れ量を適正化することが有効である。また、販売期限が近い商品の価格を引き下げる仕組みを導入すれば、消費者は安く商品を購入でき、企業も廃棄による損失を減らせる。一方で、過度な値引きによる収益の悪化を防ぐため、需要に応じた価格設定や在庫管理を行う必要がある。

結論: 環境循環を実現するためには、環境への配慮を個人の善意だけに任せるのではなく、企業にとっても利益につながる仕組みを構築することが重要である。環境保護と経済成長を両立させる制度やビジネスモデルが、持続可能な社会の実現につながると考える。

 

面接について

・面接の形式:個別面接
・面接官の人数:2人
・面接時間:約6分

 

実際にあった質問:

・家から近畿大学までどのくらい時間がかかるか
・近畿大学に何回訪れたことがあるか
・近畿大学を志望する理由は何か
・人事評価について学びたいということか
・留学にはどのくらいの期間行ったか
・高校生活で頑張ったことは何か
・経済学部で学びたいことは何か
・留学した時期はいつか
・卒業後は何をしたいか

 

 面接では、志望理由や留学経験、高校時代の活動、大学で学びたいこと、卒業後の進路などについて質問されました。特に注目したいのは、志望理由と大学での学び、卒業後の進路に一貫性が見られるかという点です。学びたいテーマを具体的な学問分野と将来の職業に結びつけて説明できるようにしておくことが重要です。

 一方、受験生によると、面接では回答に対する厳しい深掘りはほとんどなく、面接官と会話するような雰囲気だったとのことです。報告者の方は対策について「志望理由書を何度も見返したら大丈夫だと思います。深掘りはされません。会話しているイメージです」と振り返っています。

 そのため、難しい質問への回答を丸暗記するよりも、志望理由書に書いた内容を自分の言葉で自然に説明できるよう準備することが有効だと考えられます。ただし、質問の内容や深掘りの程度は受験生によって異なる可能性があるため、志望理由の背景や学びたい内容についても説明できるようにしておきたいところです。

 筆記試験では社会問題を経済学的な視点から考察する力が、面接では自身の経験と大学での学びを結びつけて説明する力が重要になると考えられます。受験を予定している人は、自助・共助・公助や循環経済といった社会課題について知識を深めるとともに、志望理由書に書いた内容を改めて整理しておくとよいでしょう。