はじめに
2026年2月11日、東京大学の学校推薦型選抜(推薦入試)の合格発表がありました。2026年度は、志願者265名に対して合格者93名(男子51名、女子42名)となり、2016年の制度導入以来過去最多の合格者数を記録しました。
本記事では、2016年度から2026年度までの11年間の累計データをもとに、東大推薦合格者数ランキングベスト10と、公立高校のランキング状況を深掘りしていきます。
2016年〜2026年 東大推薦合格者累計ランキング トップ10
11年間の累計データに基づく、東大推薦合格者数ランキングは以下の通りです。
1位 渋谷教育学園渋谷高校 24名
首都圏屈指の進学校、渋谷教育学園渋谷高校(通称「渋渋」)が、11年間累計で24名という圧倒的な数字で1位を獲得しました。2026年度単年でも4名が合格し、2016年以降の推薦入試開始以来、初めて同一年度で4人同時合格という快挙を達成しています。
渋渋は東京都渋谷区に位置する私立の共学中高一貫校で、「自調自考」(自ら調べ、自ら考える)を教育理念として掲げています。特筆すべきは、高1から高2にかけて約2年間で1万字の「自調自考論文」を執筆するカリキュラムです。この論文を通じて、生徒の探究心や論理的思考力が徹底的に養成され、実際にコンクールに提出することも多く、これが東大推薦合格に繋がっているとされています。
また同校は推薦入試だけではなく、2024年度の東大合格者数(一般入試含む)でも16位にランクインしており、学力水準の高さも折り紙付きです。
2位 東京都立日比谷高等学校 18名
公立高校のトップとして、都立日比谷高校が18名で2位にランクインしました。東京都千代田区に位置し、かつて200人近くの東大合格者を輩出した伝統校が、半世紀の時を超えて再び輝きを取り戻しています。
日比谷高校は文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けており、最先端の学問や科学技術に触れる機会が豊富です。東大推薦合格者が多い要因の一つとして、2年生の3月に実施される「星陵セミナー」が挙げられます。
このセミナーは、同窓会「如蘭会」の協力のもと、各分野で活躍する卒業生を講師として招き、10〜20名前後のゼミ形式で2時間半実施されます。高校段階で最先端の学びに触れられるこの経験が、東大推薦への挑戦を後押ししているのです。
3位 広島県立広島高等学校 17名
中国地方から、広島県立広島高校が17名で3位に入りました。東広島市に位置するこの公立中高一貫校は、スーパーグローバルハイスクール(SGH)指定校として、国際的に活躍できる人材育成を目指した教育を実施しています。
広島高校の特徴は、高校3年生で作成する卒業論文です。各自の興味関心に基づいた論文を作成する過程で、実際の広島大学の大学院生がサポートしてくれます。東大推薦入試では、自分の書いた論文を提出することで評価される学部もあり(経済学部や教育学部など)、この卒業論文がそのまま活用できるのです。
さらに、中学校段階から「ことば科」という特設教科を設け、論理的な思考力や表現力を育成。これが高校での探究活動や卒業論文作成に繋がり、生徒の総合的な学力向上に寄与していると考えられます。
4位(同) 秋田県立秋田高等学校 16名
東北地方から、秋田県立秋田高校が16名で4位にランクイン。秋田高校の特徴は、ほぼ毎年コンスタントに東大推薦合格者を輩出している点です。2026年度も2名が合格しています。
実は、秋田高校は他校のような特別な取り組みを強調していません。サンデー毎日の取材で、同校の進路指導副主任は「特別な対策をしているわけではなく、東大が求める学生像と合致する生徒が自然と育成され、評価されている結果」と述べています。
しかし、秋田高校が強いのは、探究の時間が充実していることと、教員が生徒の背中を押す文化があることです。実際、秋田高校から東大推薦で合格した生徒の体験記には「2年生の冬に担任の先生から僕を東京大学に推薦したいと伝えられたことがきっかけ」と記されています。
どんなに優秀な生徒でも、自分で「東大推薦に挑戦しよう」と思うことは稀です。そこに学校の先生が「君ならいけるよ!」と声をかけることの意義は計り知れません。また、進路指導主事教諭は「勉強や課外活動、学校行事など全てに全力で向き合う精神が『蔵付きの酵母』のように受け継がれている」と表現しており、先輩が合格することで後輩も頑張れるという好循環が生まれています。
4位(同) 灘高等学校 16名
関西の名門、灘高校も16名で同率4位です。兵庫県神戸市に位置する私立男子校で、2024年度の東大合格者数ランキングでは3位にランクインする学力トップ校です。
灘高校からの東大推薦合格者が多い背景には、圧倒的な学力に裏打ちされた高度な探究活動・研究があると考えられます。また、学問だけでなく、クラブ活動や文化祭などの課外活動が非常に盛んで、生徒の多様な才能と人間性が育まれています。これらの経験が推薦入試での評価ポイントとなっているのでしょう。
6位 筑波大学附属高等学校 15名
続いて、筑府(筑波大学附属高校)が15名で6位です。東京都文京区に位置する国立の共学校で、学力と探究心を兼ね備えた生徒が多数在籍しています。
7位 西大和学園高等学校 13名
奈良県の私立共学校、西大和学園が13名で7位にランクイン。近年、関西圏で急速に進学実績を伸ばしている注目校です。こちらも一般入試での東大合格者数もとても
8位 海城高等学校 12名
東京都新宿区の私立男子校、海城高校が12名で8位。「リベラルでフェアな精神を持った『新しい紳士』の育成」を教育目標に掲げ、知的好奇心を刺激する質の高い授業と、主体的・探究的な学びを重視する教育文化が根付いています。こうした環境が、学力だけでなく深い思考力・表現力を求める東大学校推薦型選抜との高い親和性を生んでいます。
9位 神戸大学附属中等教育学校 11名
兵庫県明石市の国立中等教育学校、神戸大附が11名で9位です。
10位(同) 広尾学園高等学校 10名
東京都港区の私立共学校、広尾学園が10名で10位にランクイン。近年、医進・サイエンスコースやインターナショナルコースで注目を集めています。
10位(同) 麻布高等学校 10名
一般入試東大合格者数常連の東京都港区の私立男子校、麻布高校も10名で同率10位。自由な校風で知られ、生徒の自主性を重んじる教育を実践しています。
公立高校のランキング状況
トップ10のうち、公立高校は3校がランクインしています。
- 2位: 都立日比谷高校(18名)
- 3位: 県立広島高校(17名)
- 4位: 県立秋田高校(16名)
特に注目すべきは、2位と3位、4位に公立高校が並んでいるという事実です。これは、東大推薦入試が必ずしも私立の中高一貫校だけが有利ではないことを示しています。
実際、2026年度の合格者93名のうち、地域別では東京都が29名(31.2%)、東京都以外の関東が20名(21.5%)、その他の地域が44名(47.3%)となっており、地方の公立高校からも多数の合格者が出ています。
2026年度の特徴
2026年度の東大推薦入試では、以下のような特徴が見られました。
- 過去最多の93名が合格(前年度比6名増)
- 女子合格者は42名(女子率45.2%)
- 初出願校は27校で、そのうち6校から合格者が出た
- 累計出願校数は669校に達した
- 渋渋が4名合格という史上初の快挙を達成
また、2026年度単年で見ると、以下の学校が複数合格者を出しています。
- 4名合格: 渋渋
- 3名合格: 県立千葉、筑附、武蔵、浅野
- 2名合格: 県立広島、西大和学園、浅野、昭和薬科大附属など
まとめ
2016年から2026年までの11年間で、東大推薦合格者を最も多く輩出しているのは渋谷教育学園渋谷高校の24名でした。2位は都立日比谷高校の18名、3位は県立広島高校の17名と、公立高校が上位に食い込んでいます。
トップ10のうち公立高校は3校がランクインしており、しかも地方の公立高校からも多数の合格者が出ていることから、東大推薦入試は決して一部の私立中高一貫校だけのものではないことがわかります。
重要なのは、論文指導の充実、探究活動の深化、そして生徒の背中を押す教員の存在です。どんなに優秀な生徒でも、自分から「東大推薦に挑戦しよう」と思うことは少ないもの。先生が「君ならできる」と声をかけることで、新たな可能性が開かれるのです。
また、各学校に共通しているのは、単なる学力だけでなく、課外活動、探究活動、論文作成など、多面的な能力を育成するカリキュラムが整備されている点です。東大が学校推薦型選抜で求めているのは、まさにこうした「多様性」と「総合力」なのです。
2027年度以降も、どの学校がどのような教育で東大推薦合格者を輩出していくのか、注目が集まります。
参考資料
- 東京大学公式サイト「学校推薦型選抜」
- 東京大学新聞「2026年度学校推薦型選抜、合格者93人で過去最多」
- サンデー毎日 東大推薦合格者データ





.png&w=3840&q=75)

.png&w=3840&q=75)
.png&w=3840&q=75)




.png&w=828&q=75)

.jpg&w=828&q=75)

