「いま、推薦入試が熱い!」。2023年頃から過半数を占めるようになった推薦・総合型選抜は、ますます選ばれるようになっていきましたが、その勢いは未だに衰えるところを知りません。かつて多数派だった一般入試も、もはや縮小の一途を辿っていくようです。
おそらく、この記事を読んでいる方の多くも、推薦入試を考えているのではないでしょうか。ただ、「志望理由書ってどうやって書くの?」など、わからないことだらけで困ってしまいますよね。
そこで、この連載では「受かった先輩が、どんな志望理由を作り上げたか」「高校時代に、どんな活動をしていたのか」について、合格者に直接訪ねていきます!
今回お話を伺うのは、慶應義塾大学総合政策学部に通うY.Tさん。「中学受験も高校受験も経験した」と語る彼女ですが、大学では推薦入試を選択しています。受験については慣れたものであるはずなのに、どうして推薦の道を選んだのでしょうか?
「受験はもう十分」附属校からあえてAO入試を選んだ理由
__中学も高校も受験を経験されているのに、どうして推薦受験を考えられたのでしょうか?
「受験の経験は十分なのに」って思われますよね。
でも、私としてはむしろ「たくさん受験したから、もう十分」って感じでした。大学受験を一般でやるのはなぁ、って思う部分がありました。だから、高校受験の志望校はほとんどが大学の付属高校を選んでいます。
__大学附属校のご出身ですよね。では、内部推薦の道もあったのではありませんか?
もちろんありました! というより、もともと内部進学を狙っていたんです。
でも、よく考えると高校1年生から大学4年生まで、短くても7年間同じ環境で過ごすことになるんですよね。私の場合は、それがどうしても合わないように感じて、やっぱり大学受験をする方向で固めました。そこで、一番手を出しやすいのがAO入試だったんです。
__手を出しやすい?
中高一貫校とかは、早ければそれこそ中一とかから大学受験に向けて準備しているわけですよね。それこそ私が目指した慶應などは、そういった受験生が集まる割合が非常に多いと予想されますから、一般入試を選ぶなら、その人たちに勝たないといけない。これはちょっと、難しいですよね。
それに、中学受験で私は大成功と言えない結果に終わっているのですが、それこそ私を押しのけて「成功」した人たちと戦う羽目になるわけですから、なおさら不利に見えました。
それなら、一般よりもAOでサクッと終わらせたいなって考えたんです。
__なるほど、では、どうして慶應を目指されたのでしょうか?
慶應生の兄がきっかけでした。大学での生活ぶりを聞いてあこがれを持っていましたし、「慶應いいよ」って勧められてきたから「早慶で選ぶなら慶應かな」って思ってました。実際に、早稲田も調べたところ、あまりやりたいこととはマッチしていませんでした。
慶應ってハイレベルですけれど、私の附属大学以上の所にはいきたいなと感じていたのも大きいですね。

「外国人は、狡猾だからね」
__Y.Tさんは入国管理制度や日本国内に在住する外国人への偏見を糸口として志望理由書を書かれていますが、これらの制度について調べ始めたのはいつ頃でしたか?
高校2年生の夏ぐらいです。学校全体で聴講する講演会の機会がありまして、そこで興味を持ちました。
高校3年生の頭ぐらいには「入管制度とかをテーマにしてみようかな」と考えており、実際に日本社会のバイアスや難民について、様々な調査をしていました。そうして「これでいこう!」と決めたのが、高3夏でした。
__具体的には、どのような調査をされましたか?
大学と高校が共同でやっている難民支援系の団体を見つけて、実際に入国管理局へ見学に行きました。高3の7月くらいのことでした。
そして、入管の内部に入っていくとき、私だけ止められてしまったんです。
__なにか、不手際があったのでしょうか?
私は両親とともに中国籍でして、在留カードを持ってこなくてはいけなかったのに、それを忘れてしまったんです。
正直、私自身は日本で生まれ育ったこともあり、「中国籍の外国人」であることを自覚すらしていませんでした。心の底から日本に染まっていたのに、それでも、規則は規則。結局、私だけ入管収容者へのインタビューに参加できなかったんです。
__実際に、Y.Tさんは日本語も堪能でいらっしゃいますし、全くそう感じませんでした。待っている間は何をして過ごしたのですか?
みんなが帰ってくるまでは、警備官の方と雑談していました。何の気なしに「どんな人がいるんですか?」とか聞いていたんですが、「どうしてこんなに厳しいんですか?」と尋ねたとき、「外国人は、狡猾だからね」と返ってきたんです。
__あまり、良い表現ではありませんね。
確かに、警備官の方が出会うのは、狡猾な人ばかりだったかもしれません。ですが、それは外国人だからで括れるものではないと感じました。
彼らは、きっと私を外国人だとは意識していなかったのでしょう。笑顔で、しかもかなりあっけらかんと言われましたから。でも、直前に「外国人である自分」を意識させられた私にとっては、距離を感じさせるに十分すぎる一言でした。
そこから、入国管理制度をテーマに研究を進めようと思い始めたんです。

__いまは合格されているわけですが、SFCではどのような学びを続けていかれますか?
いまは1年生の春学期ですから、どちらかというと多くの分野を広く見据えています。言語をたくさん学びたいですし、国際交流の懸け橋となるための様々な知識も身に着けたい。
でも、必修授業もありますから、あまり好き勝手には取れません。とりあえず、いまは法律学や社会学、言語系を中心に履修しています。私がこれまでに調べて学び続けてきたことを深めつつ、視野を広げていきたいと考えています。
__将来は、やはり研究系に行かれるおつもりですか?
それも考えていますが、起業される先輩が多いみたいで、ビジネス方向に進むのもありなのかなって考え始めたところです。
起業するとして、じゃあ何でビジネスを立ち上げるのかと言われれば、まだ決まっていないんですが(笑)。とりあえず、今から視野を狭めすぎないで、いろいろ広く未来を見据えておきたいですね。
合格後の立ち回りに注意
__推薦受験で入ってよかったことはなんでしょうか?
早めに受験が終わるのは、やはりありがたいです。
ただ、自分以外の一般受験で大学を目指す人たちの前で「慶應受かった!」なんて中々言えませんから、本当に受験の結果だけはずっと秘密にしていました。入学してから大学で高校同期に会って、お互いに「あれ、あなたも?」となったこともあります。
__逆に推薦入学で困ったことはありますか?
総合型選抜は、同じ大学で別学部を乱れ打ちするのが難しいんです。
「別の大学で同じ学部」ならなんとかなりますが、学部が違えば、それだけ志望理由も変わってくるわけですから、労力が単純に倍になる。
どうしてもその大学に入りたくて、いろいろな学部を乱れ打ちするつもりであれば、むしろ一般入試のほうが向いているように感じます。
あと、一般入試とAO入試の両方を取った人もいましたが、AOで失敗すると、相当厳しい戦いになります。夏から秋までの勉強量が、一般オンリーの学生よりもガクッと落ちるからです。一般AOの両方共を射程に入れるなら、AOを確実に仕留めるか、一般入試の準備を夏までにある程度完成させておく必要があるでしょうね。







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