共通テストも終わり、本格的な受験シーズンとなりました。
おそらく、親御さんにとっては「これからが本当の受験本番」だと感じられるのでは。わき目もふらず勉強しているであろう我が子への無言のエールに、つい力が入ってしまう なんてこともあるのでは…… 。
しかし、実は現代受験における「受験シーズン」は、1 月ではありません。現在、大学入試の過半数を占めるのは、推薦・総合型選抜(いわゆる推薦)であり、一般入試はもはやマイナーとなっているのです。
これは国立大学においても変わらず、東京大学すらも 2016 年度から学校推薦型入試を実施。年間、約 80 人前後が「推薦生」として入学しています。およそ 3,000 人の東大新入生のうち、100 人にも満たない少数精鋭として入学する推薦生たちの姿は、これまでヴェールに包まれていました。
2026 年 1 月 27 日、ついに東大推薦入学者を徹底的に掘り下げた合格体験記集『東大推薦』が発売されます。ここでは発売に先立って、本書にも掲載される合格者から聞いた「東大推薦合格者の生の声」を少しだけお見せします。
「飛行機好き」を応援してくれた家族
__どうして東京大学を目指されたのでしょうか?
土田:一番は、研究のためです。飛行機の翼に関する研究を高校時代から続けていました。
当時、東京大学には GSC という「東大に行って研究するプログラム」があって、高校2年生の時、応募したんです。
もちろん、高校生がたどり着ける場所は限られていますが、それでもそれなりに一段落するところまでは進めました。
でも、本音で言うと、まだまだやりたいことがあった。でも、GSC プログラム自体は終了してしまったから、その研究室で研究を続けるなら、もう東大に入るしかありません。そこで、目指したんです。
__「飛行機の翼に関する研究」とは、だいぶレベルが高そうですが ……
土田:もともとは飛行機が好きで好きで、それが高じてたどり着いたんです。私は小さいころから飛行機に乗ることが多い家庭で育ちまして、物心つく前から何度もフライトを経験しています。
小さい頃の思い出と言えば、飛行機の窓側の座席から眺めたどこまでも青さが続く空。

「景色がきれいだな~飛べるっていいな~」くらいの、素朴なあこがれから飛行機のことが好きになっていきました。両親は、時間を惜しんで空港に連れて行ってくれて、展望室から飛行機を眺めることもしょっちゅうでしたし、X Plane というフライトシミュレーターを購入して、自室でもフライトを体験するなど、とにかく飛行に熱中していた。
やがて、研究トピックを選ぶ段になって、なんとなく「飛行機はどうだろう」と思い立ちました。Google で飛行機に関する研究を検索すると、翼に関する技術が出てきて、「これ面白いかも!」と即採用したのがはじまりです。
「勉強ギライ」で読書もニガテ
__最初は、素朴な「好き」から始まったんですね! 小さいころはどんなお子さんでしたか?
土田:小学生の頃はまじめで、おとなしい子でした。引っ込み思案ってわけではなく、友達とドッジボールをするとか、それなりに外遊びもしましたけれど、ゲームばかりしていましたね。
小学校 4 年生くらいから中学受験を見据えて、塾に通い始めましたが、あいにく勉強は大嫌いで「なんで受験なんかするんだろう。早く遊びたいのに」とずっと不満でした(笑)。
中学は遠方でしたから、放課後友人と遊ぶ機会も減り、この頃から本格的にゲーム漬けの日々に突入。
小学校・中学校の頃は「マインクラフト」にハマっていました。ただ、小学校 6 年生の頃は「フォートナイト」に興味が移るなど、その時々によって遊ぶ内容は変わりましたね。
ただ、中学 3 年生くらいの時に「このままゲームしているだけじゃ、だめかもしれない」と考えるようになりました。そのあたりから、徐々に「将来のこと」へ視点が移っていきましたね。
__研究活動となると、いろいろ論文を読み漁るなど大変そうですが、小さいころから本を読む子どもだったのでしょうか?
土田:それが、まったく読んでいないんです(笑)。今でも苦手なくらいで、論文とかは何とか読めますが、娯楽で本を読もうとはなりません。さすがにマンガや、挿絵が豊富な「かいけつゾロリ」などは読めましたが、文章だけとなると厳しい。国語はずっとひどいままでしたね。

__幼少期の体験や、趣味嗜好、周囲の大人の働きかけなどが今の進路に影響を与えた部分もあるのでしょうか?
土田:小さいころは旅客機好きが高じてパイロットに憧れた時期もありましたし、とにかく飛行機が好きでたまらなかった。もちろん子ども一人では遊びに行けませんから、「空港一緒に行こうか!」と誘ってくれた両親には感謝しています。
とにかく、「やりたい!」と言ったらなんでも聞いてくれる親でした。
ほかにも、進路を考え始めた時に家族や親戚が色々な情報を集めてくれたことも大きかった。実は、現在私は東京大学を休学してアメリカの大学に通っているのですが、海外進学を考えるきっかけになったのも、家族でした。
両親ともに海外大卒であり、海外進学のハードルは低かったですし、海外での経験を教えてくれました。祖父も大学職員の友人経由で「 大学ならこんなことができるらしい○○ぞ」と具体的な情報を集めてくれた。
幼少期の興味がきっかけですが、それを全力で応援してくれた家族の支えがあってこそ、今の私があるように感じます。
まとめ
私は、今回『東大推薦』の作成に携わるまで「東大推薦入学者なのだから、きっと想像もつかないほど頭が良くて、意識が高い人なのだろう」と考えていました。
ですが、実際に私が取材を通して見えてきたのは「飛行機が好きでたまらない純朴な思い出を抱える青年」でしかなく、等身大の思いをそのまま成長させていった先に「東京大学」があっただけに思えました。
もしかしたら、「特別な子」だと考えているのは事情を知らない我々だけかもしれませんし、仮に彼らを「特別」だとしても、「特別」を生むために「特別な育て方」は必要ないのかも。
少なくとも、私は今回のインタビューによって、知に真摯に向き合い続けるまっすぐな好奇心を感じました。いわゆる英才教育の頂点にはないであろう「推薦」の門戸は、子どもの自主性によって開かれるのかもしれません。
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