　「不登校で大学進学できるの？」

　近年、不登校の子どもは増加傾向にあります。文部科学省の調査によると、不登校の児童・生徒数は約35万人と過去最多を更新。その背景には、学習環境の変化や個々の特性に合わない教育制度などがあると言われています。

　実際に、お子さんが学校に通えていないと、「このまま大学に行けるの？」と不安に思う保護者の方が多いのではないでしょうか。

しかし、「不登校でも大学進学は可能」なのです。さらに、難関大学も十分に狙うことができます。

　そこで、「不登校の子どもを大学に行かせたい。でも、どうすれば良いのだろうか？」といった悩みを持つ保護者の方に向けて、今回は、中学時代に不登校を経験しながらも、推薦入試で上智大学に合格した野村くんの実例をご紹介します。

不登校の経験をどのように推薦入試で強みに変えたのか？
どんな準備をすれば大学合格に近づくのか？

　この秘訣を解説し、不登校から大学進学を叶える方法をお伝えします！

目次
・導入
・プロフィール
・学校教育が嫌いで不登校にーなぜ僕にあった教育がないのか
小学校の頃から勉強が苦手
中学では不登校に
不登校を通じて教育に興味
・推薦で上智を目指す
上智大学に入りたい
一般受験は厳しい
・推薦で受かるための方法ー不登校を強みにした志望動機
-　評定対策
-　志望動機
- 課外活動
・まとめ - 推薦で受かるための準備

プロフィール

野村宗一郎
上智大学人間総合科学部教育学科　在学
山口県出身

　小・中学校では地元の公立学校に通っていました。しかし、小学校の頃から勉強が苦手だった野村さん。授業についていけず、学校に馴染めなくなりました。中学に進学すると、学習内容がさらに難しくなり、成績が低下。次第に学校に通わなくなり、ついには不登校になってしまいました。

　しかし、不登校の期間に「なぜ自分に合った学び方がないのか？」と疑問を持ち始め、教育に対する興味が芽生えます。そんな中、家族の勧めもあり、自分の興味が活かせる進路として「教育」を学ぶ道を模索することにしました。

　高校は偏差値40程度の高校に進学。当初は一般入試を考えていましたが、学力試験での合格は難しいと判断し、推薦入試での進学を目指すことを決意します。最低限の成績を維持しながらも、積極的に課外活動に取り組み、教育に関する経験を積んでいきました。その結果、見事上智大学に合格。不登校という経験を乗り越え、大学進学を果たしました。

学校教育が嫌いで不登校にーなぜ僕に合った教育がないのか

小学校の頃から勉強がとにかく苦手

入学時から勉強につまずく
　小さい頃から暗記や計算が苦手でした。授業についていくのが大変で、黒板の内容をノートに写しても意味が分かりません。ただ書き写すだけの時間が多かったです。特に算数の文章題は、問題文の意味すら理解できず、解き始めることもできませんでした。

テストの点数が低く、周囲の反応が辛かった
　テストが返ってくる時間は、いつも憂鬱でした。友達に「何点だった？」と聞かれるのが嫌だったからです。テストは毎回50点前後だったので、できるだけ隠そうとしました。しかし、隠しきれずにバカにされたり笑われたりすることがあり、とても悲しく感じていました。

中学では不登校に

勉強量が増え、完全に分からなくなった
　小学校では「ちょっと分からないな」くらいでした。しかし、中学に入ると「何をやっているのか全く分からない」状態に。そのため、授業についていけず、提出物の遅れも取り戻せなくなりました。

友人との交流も希薄に
　周りの友達とも、少しずつ話が合わなくなりました。例えば、友達が「次のテスト、どんな問題が出るかな？」と話しているとき、自分は授業の内容すら理解できていません。

　最初は適当に相槌を打っていました。しかし、次第に「自分は場違いなのでは？」と感じ、自然と輪から外れるようになりました。

学校に行くこと自体がストレスに
　授業は分からない。友達にはバカにされる。そんな状況で、朝起きると「今日も学校に行かなきゃいけないのか」と気持ちが沈みました。

　そして、遅刻や欠席が増え、ついには学校へ行かなくなりました。

不登校を通じて教育に興味が

　不登校を通して野村さんは教育に関心を持つようになります。不登校になる前は、「自分の理解力や努力が足りないのが悪い」と思っていた野村さん。

　しかし、一度学校を離れてみることで、野村さんは「なぜ自分に合った学び方がないのか？」と疑問を持つようになりました。

　さらに、自分のことだけでなく、

「学校に馴染めず、苦しんでいる子は他にもいるのでは？」
「どうすれば、もっと多様な学び方を実現できるのか？」

　こうした思いが次第に強くなりました。このように、誰もが自分に合った学びを得られる環境をつくることが、野村さんの人生の目標となりました。

推薦で上智を目指す

上智大学に入りたい

　高校に進学後、野村くんは上智大学への進学を強く目指すようになります。

　なぜなら、上智大学には外国人留学生が多く、多様な文化や価値観が尊重される環境があるからです。「ここなら、自分の不登校の経験を活かして学べる」と考えたのです。

一般受験は厳しい

　志望校が決まった野村さん。しかし、一般入試で合格するのは現実的に難しいと感じていました。なぜなら、志望する上智大学の教育学科は偏差値が高く、筆記試験での高得点が必要不可欠だからです。

　そんな中、推薦入試という選択肢に希望を見出しました。上智大学の推薦入試では、一般入試とは異なり、学力試験だけでなく、これまでの経験や志望動機が重視されます。

推薦入試の主な条件は以下の通りです。

評定平均4.0以上
英検2級以上の資格
推薦書
小論文・面接

　「これなら、一般入試で戦うよりもチャンスがあるかもしれない！」
そう考えた野村さんは、推薦入試に向けた対策を本格的に進めることを決意しました。

　推薦入試では、筆記試験の結果だけでなく、これまでの経験や将来のビジョンが評価されるため、不登校の経験をプラスに転換できる可能性があったのです。

　「自分が教育について考えたことや、不登校を乗り越えて学んだことをしっかり伝えられれば、合格の可能性は十分にある！」
そう確信し、推薦入試での挑戦が始まりました。

推薦で受かるための方法ー不登校を強みにした志望動機

評定対策

　推薦入試では一定の評定を維持することが必須です。野村さんは、日々の小テストや定期テストでの高得点を目標に、毎日3時間の勉強をすることにしました。

　例えば、授業で理解できないことがあれば、授業後すぐに先生に質問し、内容をその日のうちに復習しました。また、定期テストに向けても、毎日計画的に勉強を進めました。

　最初は成績が上がらず、何度も落ち込むこともありましたが、諦めずに努力を続けました。最終的には、安定した成績を確保し、評定4.7点(5.0点中)と推薦入試の条件を満たしました。

志望動機の作成

　野村さんは自身の不登校経験と、上智大学で学ぶ意義を繋げた志望動機を作成しました。具体的には、以下のようなポイントを面接で伝えました。

なぜ教育学科なのか：不登校の経験から、日本の画一的な教育に疑問を感じ、より多様な学び方を実現したいと思ったから。
なぜ上智大学なのか：上智大学のカリキュラムが、多様性を重視しており、自分の「誰もが自分に合った学びを得る」というビジョンと一致しているから。

　推薦入試では、実体験に基づいたビジョンを語ることが非常に大切です。野村さんは自分の経験を元に、しっかりとした志望動機を伝えられたことで強みとなりました。

課外活動

　志望動機に説得力を持たせ、熱意をアピールするために課外活動にも力を入れました。具体的な活動は以下の通りです。

木更津市のまなび支援センターへの訪問：高校の近くの教育現場を訪れることで、実際の教育現場の現状を学びました。これにより、野村さんは自分のビジョンと現在の教育の乖離について深く理解することができました。
上智大学のセミナーへの参加：上智大学の主催するセミナーに参加することで、他の大学ではなく上智大学を志望していることを強調しました。また、セミナーに登壇した教授の授業についても、入学後に受講したいと熱意を伝えました。

　これらの活動を通じて、志望動機に説得力を持たせ、上智大学で学びたいという強い意志をアピールしました。

まとめ - 不登校でも進学できる

　不登校の経験があると、進学の道が閉ざされているように感じるかもしれません。しかし、実際には不登校でも大学進学は十分に可能です。決して遅すぎることはありません。大切なのは、自分のペースで努力を重ね、学びを深めることです。

　むしろ、野村くんのように、不登校の経験を強みに変えることもできます。
　だからこそ、不登校だからといって大学進学を諦めず、前向きに努力を続けてみてください！

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