2026年、中央大学法学部国際企業関係法学科の2027年度英語運用能力特別入学試験が行われました。未来図編集部が独自に入手した受験生の報告をもとに、入試問題の概要と関連する社会問題、リザプロ株式会社推薦対策事業部が想定する回答の方向などをお伝えします!
問題概要
当日は、午前中に日本語小論文が行われ、その後、英語試験が実施されました。午後には3人1組の集団面接が行われました。
日本語小論文では、「SNSが子どもに与える影響と事業者の責任」をテーマとした文章が出題されました。課題文では、子どものSNS利用を制限することの是非や、SNS事業者が負うべき責任、学校・家庭・地域社会による教育の必要性などが論じられていました。
また、海外における年齢制限の事例が紹介される一方、年齢確認技術の限界や、技術の進歩によって規制が回避される可能性も取り上げられていました。
設問は大きく2つあり、第1問では課題文の内容を150字で要約すること、第2問では課題文に対する自分の意見を述べることが求められました。
一方、英語試験では「動物福祉」をテーマとした2つの英文が提示されました。
文章Aは、動物園を訪れた人物の視点から、飼育環境や動物を人間の利益のために利用することへの疑問を描いた物語文でした。文章Bでは、動物園における動物福祉の問題について、5つの観点から学術的な説明が行われていました。
第1問では英文の下線部を日本語に訳すことが求められました。第2問では、2つの文章を踏まえて動物福祉に関する英語のスピーチ原稿を作成する問題が出題されました。
スピーチ原稿は3つの部分に分かれており、導入部分では文章Aから問題点を2〜3点抽出し、本文では文章Bから少なくとも2つの観点を選んでパラフレーズし、最後に自分の意見を交えて結論を述べる構成でした。
今回の試験では、日本語・英語の両方で社会問題に対する理解が求められました。特に英語試験では、英文を正確に理解するだけでなく、複数の資料から必要な情報を抽出し、自分の言葉で再構成する力が重要だったと考えられます。
用語解説:「動物福祉(アニマルウェルフェア)」とは
動物福祉とは、動物が生きている間の身体的・精神的な状態に配慮し、できる限り良好な環境で生活できるようにする考え方です。
代表的な指針として「5つの自由」が知られています。これは、飢えや渇きからの自由、不快からの自由、痛み・負傷・病気からの自由、正常な行動を発現する自由、恐怖や苦痛からの自由という5つの観点から動物の状態を考えるものです。
例えば、動物園では適切な食事や医療を提供するだけでなく、それぞれの動物が本来持つ行動特性に配慮した飼育環境を整えることが求められます。
また、動物福祉は動物園だけでなく、畜産業やペット産業、動物実験など、さまざまな分野で議論されています。
重要なのは、動物を利用することの是非だけでなく、人間が動物とどのような関係を築き、どこまで責任を負うべきなのかという倫理的・法的な問題を含んでいる点です。
関連すると思われる社会問題①
英語試験に関連する社会問題として、動物園の社会的役割と動物福祉の両立が挙げられます。
動物園は、人々が動物について学ぶ教育施設であると同時に、絶滅危惧種の保全や研究を担う施設でもあります。しかし、動物を限られた空間で飼育し、人間の観察対象とすることに対しては、動物福祉の観点から議論があります。
例えば、動物の習性に合わない飼育環境では、本来の行動が制限されたり、ストレスによって健康状態に影響が生じたりする可能性があります。
一方で、動物園が行う繁殖活動や保全教育が、野生動物の保護に貢献する場合もあります。
そのため、動物園を全面的に否定するのではなく、教育や種の保全という社会的役割を維持しながら、動物の生活環境をどのように改善するかという視点が重要です。
法学部国際企業関係法学科の受験生としては、動物福祉を個人の倫理観だけで捉えるのではなく、企業や施設の社会的責任、国際的な基準、法規制のあり方などと関連づけて考えることも有効でしょう。
理想回答の一例:英語試験「動物福祉」
① テーマ理解
動物園は教育や種の保全に貢献する一方、動物の自由な行動を制限する可能性もある。重要なのは、人間にとっての利益だけでなく、動物自身の身体的・精神的な健康を考慮することである。
② 内容展開の方向性
A. 文章Aで指摘されている飼育環境や動物の扱いに関する問題を整理し、スピーチの導入部分で提示する。
B. 文章Bから動物福祉に関する観点を2つ以上選び、原文をそのまま引用せず、意味を保ちながら自分の言葉で説明する。
C. 動物園が果たす教育・保全の役割にも触れながら、動物福祉を改善するための具体策と自分の立場を示す。
③ 英語スピーチの構成例
※以下は実際の英文を再現したものではなく、報告された形式に基づく練習用の解答例です。原文が未確認のため、語数・文字数の条件は使用前に確認してください。
Introduction
Today, I would like to discuss animal welfare in zoos. While zoos provide opportunities for education, some animals may suffer from limited space and unsuitable living conditions. We need to reconsider how humans should treat animals in captivity.
Body
First, animals need environments that allow them to express natural behaviors. When they cannot move freely or interact with their surroundings, their physical and mental health may be affected.
Second, animals should be protected from unnecessary stress and discomfort. Zoos should provide suitable habitats, appropriate care, and opportunities for stimulation.
These improvements are important because animal welfare should be considered alongside the educational and conservation roles of zoos.
Conclusion
In my opinion, zoos should not focus only on attracting visitors. They must also ensure that animals can live in conditions that respect their needs. By improving animal welfare standards, zoos can become more responsible institutions for both animals and society.
今回の試験では、指定された複数の文章から必要な情報を抽出し、導入・本文・結論という論理的な構成にまとめることが重要だったと考えられます。
特に、文章Bの内容をパラフレーズすることが求められている点に注目したいところです。原文の表現を単に言い換えるのではなく、内容を理解したうえで、スピーチ全体の主張につながるように再構成する必要があります。
用語解説:「SNSの年齢制限」と「プラットフォームの責任」とは
SNSの年齢制限とは、未成年者をオンライン上の危険から保護するため、一定の年齢に満たない利用者によるサービスの利用やアカウントの保有を制限する制度です。
代表的な例として、オーストラリアでは16歳未満のSNS利用者を対象とした規制が導入されています。
こうした規制の背景には、ネットいじめや有害情報への接触、過度な利用が子どもの生活に及ぼす影響などへの懸念があります。
一方で、SNSは子どもにとって情報収集や友人との交流に役立つ手段でもあります。そのため、利用を一律に制限することが、子どもの情報へのアクセスや社会参加の機会を狭める可能性もあります。
また、年齢確認を厳格化するためには、本人確認の仕組みが必要となりますが、個人情報の取り扱いや、年齢を偽って利用する行為への対応など、新たな課題も生じます。
このように、子どもの安全を守るためには、政府による法規制だけでなく、SNS事業者による安全対策や学校・家庭での教育を組み合わせることが重要です。
関連すると思われる社会問題②
日本語小論文に関連する社会問題として、子どものSNS利用をめぐる企業の社会的責任と、政府による規制のあり方が挙げられます。
SNSは民間企業が運営するサービスですが、多くの人々が情報を収集し、意見を発信する場として機能しているため、高い公共性を持っています。
そのため、SNS事業者には利用者を増やして利益を得るだけでなく、有害な情報の拡散を防ぎ、利用者の安全を確保する責任も求められます。
例えば、未成年者のアカウントに対して初期設定で公開範囲を制限することや、不適切な投稿を通報しやすくする仕組みを整備することなどが考えられます。
しかし、企業の自主的な取り組みだけでは、安全対策が十分に進まない可能性もあります。政府が一定の基準を設け、事業者に対応を求めることも重要です。
一方、規制を厳しくしすぎれば、表現の自由や情報へのアクセスが制限されるおそれがあります。
法学部国際企業関係法学科の受験生としては、企業の経済活動の自由と社会的責任、政府による規制、利用者の権利のバランスを考える視点が求められます。
理想回答の一例:日本語小論文「SNSと子どもの安全」
① テーマ理解
SNSは子どもにとって重要なコミュニケーション手段である一方、有害情報への接触やネットいじめなどの危険も存在する。重要なのは、子どもの利用を単純に禁止することではなく、子どもの安全と権利を両立させる仕組みを構築することである。
② 内容展開の方向性
A. SNSが子どもに与える影響について、メリットとデメリットの両面から整理する。
B. 年齢による利用制限の効果と限界を検討し、技術的な問題や個人情報保護の課題を指摘する。
C. SNS事業者による安全対策と、学校・家庭・地域社会による情報モラル教育を組み合わせた解決策を提示する。
③ 構成例
第1問:150字要約の例
SNSによる子どもへの悪影響が問題となる中、海外では年齢による利用制限が進んでいる。しかし、年齢確認技術には限界があり、規制の実効性にも課題が残る。そのため、SNS事業者は子どもの安全を守る責任を自覚し、適切な対策を講じる必要がある。また、学校や家庭、地域社会における教育を通じて、子ども自身が危険を理解できる環境を整えることも重要である。
第2問:意見文の例
序論: 私は、子どものSNS利用による被害を防ぐためには、年齢による一律の利用制限だけでなく、SNS事業者への規制と情報モラル教育を組み合わせることが重要だと考える。
本論: SNSは子どもにとって情報収集や交流に役立つ一方、有害情報への接触やネットいじめなどの危険も存在する。年齢による利用制限は一定の効果が期待できるものの、年齢確認技術には限界があり、利用者が規制を回避する可能性もある。そのため、政府はSNS事業者に対して、安全な初期設定や有害情報への対応などを求めるべきである。また、学校や家庭では、子どもがSNSの危険性を理解し、トラブルに適切に対応できるよう教育する必要がある。
結論: 子どもの安全を守るためには、利用を制限するだけでなく、安全にSNSを利用できる環境を整えることが重要である。政府、企業、教育機関、家庭がそれぞれの責任を果たすことで、子どもの権利と安全を両立できると考える。
面接について
・面接の形式:集団面接(3人1組)
・面接官の人数:2人
・面接時間:約30分
・使用言語:前半約15分が英語、後半約15分が日本語
実際にあった質問の概要:
【英語での質問】
・これまでの経験や自身のバックグラウンドについて説明してください。
・異なる文化や価値観を持つ社会において、新しい制度や技術を導入する際には、どのような課題が生じると考えますか。
・社会問題を対話によって解決したいと考えた理由は何ですか。
・これまでの活動で苦労したことや、努力したことは何ですか。
【日本語での質問】
・将来解決したい社会課題に対して、なぜその方法が最適だと考えるのですか。
・その社会課題は、他の国や地域にも共通するのではありませんか。
・対話による問題解決が難しい相手に対しては、どのように対応しますか。
・社会課題の解決に向けて、複数の選択肢の中から特定の方法を選んだ理由は何ですか。
・これまでの研究や活動について、他の方法と比較したことはありますか。
今回の面接では、前半の英語面接と後半の日本語面接で、質問の傾向に違いが見られました。
英語面接では、受験生自身の経験や関心について説明する質問が中心となりました。面接官は比較的穏やかな雰囲気で質問し、回答内容に応じて追加の質問を行う形式だったとのことです。
一方、日本語面接では、受験生が将来解決したいと考える社会課題について、研究の妥当性や解決方法の実現可能性を問う質問が多く見られました。
特に注目したいのは、「なぜその方法でなければならないのか」という問いです。
社会課題を解決する手段は一つとは限りません。そのため、提出書類に特定の制度や方法を提案した場合には、ほかの選択肢と比較したうえで、なぜその方法を選んだのかを説明する必要があります。
また、「対話が成立しない相手にはどう対応するか」という質問からは、理想的な解決策を提示するだけでなく、現実社会における制約や困難を踏まえて考える力が求められたと考えられます。
法学部国際企業関係法学科の受験生としては、国際社会が抱える課題を法律や制度の観点から捉え、異なる立場や利害を持つ人々との調整についても考えられるよう準備することが重要でしょう。
受験生が振り返る試験対策のポイント
今回の試験では、日本語小論文のテーマが事前の対策で扱われていた内容と近かったとの報告がありました。
SNS規制のように、国内外で議論されている社会問題について、制度の仕組みや賛否両論を整理しておくことが有効だったようです。
一方、英語試験では、従来の英文和訳に加え、複数の英文をもとにスピーチ原稿を作成する問題が出題されました。
受験対策では、英文を読む練習だけでなく、文章の要点を抽出してパラフレーズする力や、指定された構成に沿って自分の主張をまとめる力を養うことが重要です。
面接対策については、英語で自分の経験や志望理由を説明できるようにするとともに、日本語では研究テーマに対する批判的な質問にも対応できるよう準備しておくとよいでしょう。
特に、研究の目的や解決方法について「なぜその方法なのか」「別の方法では解決できないのか」といった質問を想定し、根拠を整理しておくことが有効です。
中央大学法学部国際企業関係法学科の英語運用能力特別入学試験では、英語の読解力や表現力に加え、国際社会の課題を複数の視点から分析し、自分の考えを論理的に説明する力が重要になると考えられます。





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