自分の考えに納得してもらう書き方
今回は「中央大学法学部政治学科パブリック部門」に提出された志望理由書の一部を紹介したいと思います。
この学部では、「あなたが問題だと思う点を説明するとともに、考えられる政策や対応策を提案してください」という問いが課されています。社会問題について自分の考えを語る文章が求められているのですが、ただ「自分はこう思う」という一方的な意見だけを書いていても、「それってあなたの感想ですよね」と納得してもらえません。
採点者にあなたの意見をしっかり伝えて納得してもらうためのポイントを見ていきましょう。
中央大学 法学部 政治学科 パブリック部門 の志望理由書の例
出願する部門の最近(過去5年程度)の課題や出来事を取り上げて、あなたが問題だと思う点を説明するとともに、考えられる政策や対応策を提案してください。(1,000字以内)
移民難民が日本社会で暮らしていくには、日本社会に統合するべきという考えが主流である。日本社会に移民難民が馴染みやすくする体制を作ることが大切であることは事実である。しかし、移民難民が日本に統合して、日本に合わせるべきであるという考え方には問題があると私は考えている。理由は、この考え方はマイノリティである移民難民だけが同化して日本人は何も変わらないことからマイノリティに対する強要とも捉えることが出来るからである。
難民移民にも独自の文化がある。私がNGO団体でプロジェクトの一環として行ったマレーシアの難民学校の生徒たちに英語を教える活動で授業中に文化について話し合うことを行った。その際に、難民の子供達はマレーシアの文化ではなく、自分達が元々住んでいたミャンマーのチン州での文化について話していた。難民としてマレーシアで暮らす今も故郷の文化を大切にして一生懸命に説明する姿を見て私は日本でも、多文化共生社会を実現させたいと考える様になった。
日本で多文化共生社会を実現する為には様々な問題を解決する必要がある。内閣府が行った在日外国人に関してどの様な人権問題が起きているかという世論調査で41.3%が「風習や習慣等の違いが受け入れられないこと」と回答していた。難民移民を受け入れ共に社会を作っていくためにはお互いの風習や文化等の理解が必要である。難民や移民などの外国人への理解がなかった場合、差別が起きてしまう可能性に繋がる。このことから、日本国民の難民や移民に対する意識に課題があると考えている。政府だけで難民移民問題に取り組むのではなく、難民移民の生活を保証するには、地域住民1人1人の理解とサポートが必要になる。文化を保ち、お互いを尊重しながら、共生できる姿を実現させるにはNPO、NGOといった団体が自治体とタッグを組みながら地域ごとで異文化理解を進めていくべきである。
そして、他民族国家アメリカにある「人種のサラダボウル」のコンセプトを日本でも実現させることが必要である。「salad bowl」(サラダボウル)は多文化主義であり、それぞれの文化が共存してはいるものの混じり合うことはない共存の状態を表した社会のことを言う。「混ぜても決して溶け合うことはない」という意味から、共通文化を形成していく状態を示している。全てのマイノリティを含めた文化を尊重し、共生できる姿こそが私の目指す日本社会の未来である。 (994文字)
ポイント1 データを用いて客観的に
冒頭にも述べたように、自分の考えを繰り返し述べるだけでは納得してもらうことはできません。納得ができる説明をするためには、客観的な説明をする必要があります。
文章に客観性を持たせる方法は複数ありますが、なかでも数字を用いることは、書いた文章が客観的だと思ってもらうためにとても重要です。
この例の中では、「世論調査で41.3%」と具体的な数字を用いています。日本において多くの人が「風習や習慣等の違いが受け入れられないこと」に問題があると考えているデータを示すことで、この問題が実際に起こっていることだと納得させることができます。
また、データの出典を述べることも客観性を持たせるために重要です。この例では、「内閣府が行った」調査であると書くことで、このデータが信頼できるものであることを示しています。
しっかりと下調べをし、現状を把握しておくことは志望理由書を書く上でとても重要になります。その際、信頼できる情報源から具体的なデータも調べるようにしましょう。
ポイント2 自分の経験を踏まえて話す
この問題では「考えられる政策や対応策」を聞かれているので、一般的にどういう政策や対応策が考えられるかを書いたところで文章を終わらせてしまう人が多いかもしれません。しかし、極端に言えば、一般的な話であれば誰でも書くことができます。他の誰でもないあなたがそれを書く意味というものが乏しく、納得感が薄れてしまいます。
今回の志望理由書では、「私がNGO団体でプロジェクトの一環として行った…」と自分の経験をふまえて考えたことを語っています。このように具体例を入れて説明すると、自分がその問題に対して当事者意識をもち、実際にさまざまな経験をしてきたことのアピールにもつながります。大学側も、「表面的な知識だけで終わらず、深く踏み込んで考えているな」と評価しやすい要素となります。
もっとも、社会問題についてここまで具体性を持って詳しく書くためには、普段から意識してその問題について考えていないと難しいものです。だからこそ、社会問題に当事者意識を持って考え、現場に足を運んで経験してみることを怠らない姿勢が、志望理由書の質にも表れます。
これについては、過去の志望理由書解説記事でも同様のポイントを解説しています。よろしければぜひ中央大学法学部政治学科の実際の志望理由書を分析してみた!の記事もご確認ください。
ポイント3 理想を持って「説得」から「納得」に
ポイント1・2では、納得してもらうための論理的な文章の書き方を紹介しました。しかし、文章が論理的なだけでは「説得」できても「納得」はしてもらえません。「納得」してもらうためには、論理的に理解してもらう「説得」に加えて、自分の考えに対する「共感」も必要になります。
では共感を得るためにはどのようにすれば良いのでしょうか?この例では、「全てのマイノリティを含めた文化を尊重し、共生できる姿こそが私の目指す日本社会の未来である。」と自分の持つ大きな理想を掲げることで、自分の考えに共感を得ています。論理的に同じスケールの物事を説明し続けるのではなく、その先にある大きな理想に共感してもらうことで、自分の考えに納得してもらうことができます。
1つの物事に対して論理的に説明をして説得することはとても重要で、志望理由書には必ず必要な要素です。ですがそれができた上でのテクニックとして、あえて他の部分からはみ出たスケールの大きなことを書くことで共感を呼ぶことができるのです。
まとめ
いかがでしょうか?
自分の考えを繰り返すだけでは、自分の考えに納得してもらうことはできません。今回紹介した3つのポイントを押さえて、さまざまな角度から説明して納得感のある文章を書きましょう!
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