2026年、中央大学法学部政治学科の2027年度英語運用能力特別入学試験が行われました。未来図編集部が独自に入手した受験生の報告をもとに、入試問題の概要と関連する社会問題、リザプロ株式会社推薦対策事業部が想定する回答の方向などをお伝えします!

 

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問題概要

 当日は、午前9時30分から10時15分までの45分間で小論文試験が行われ、その後、午前10時35分から11時35分まで英語試験が実施されました。午後には集団面接が行われました。

 小論文では、「SNSが子どもに与える影響と、その保護のあり方」をテーマとした問題が出題されました。

 課題文では、SNS事業者がSNSを公共性の高いサービスとして捉え、子どもを保護するための規制や制度を責任を持って設計するべきだという考え方が示されていました。また、保護者や地域社会に対しても、SNSに関連する子どものトラブルについて教育する必要性が論じられていました。

 資料には、オーストラリアにおける未成年者のSNS利用を制限する法律の事例が取り上げられていました。

 今回の試験では、SNSが子どもに与える悪影響を指摘するだけでなく、誰が、どのような責任を負って子どもを守るべきなのかという制度設計の視点が重要だったと考えられます。

 特に法学部政治学科の試験として、企業の自主規制、政府による法規制、家庭や地域社会による教育という複数の手段を比較し、それぞれの役割と限界を踏まえて解決策を考える力が求められたといえるでしょう。

 なお、設問の正確な文言や英語試験の出題内容については確認できていないため、以下では受験生の報告をもとに小論文の論点を分析します。

 

用語解説:「SNS規制」と「プラットフォームの公共性」とは

 SNS規制とは、SNSの利用に伴う社会的な問題を防ぐために、政府や事業者が利用条件やサービスの運営方法に一定の制限を設けることです。

 例えば、未成年者の利用年齢を制限することや、有害な投稿の拡散を防ぐ仕組みを整えること、利用者が不適切な内容を通報できる制度を設けることなどが挙げられます。

 また、SNSは民間企業によって運営されるサービスですが、多くの人々が情報を収集し、意見を交換する場として機能しているため、高い公共性を持つと考えられます。

 ただし、公共性が高いことと、経済学上の「公共財」であることは同じではありません。SNSは民間企業が利用条件を設定できるサービスであり、厳密な意味での公共財とは区別する必要があります。

 そのため、SNS事業者には企業としての利益を追求する自由がある一方、利用者の安全や権利を守る社会的責任も求められます。

 特に子どものSNS利用については、表現の自由や情報へのアクセスを保障しながら、いじめや有害情報への接触などの危険からどのように保護するかが重要な論点となります。

 

関連すると思われる社会問題

 今回の試験内容から読み取れる関連社会問題として、オーストラリアの未成年者を対象としたSNS規制が挙げられます。

 オーストラリアでは、2024年に16歳未満のSNS利用を制限するための法律が成立しました。対象となるSNS事業者には、16歳未満の利用者がアカウントを保有することを防ぐため、合理的な措置を講じる義務が課され、2025年12月から制度の適用が始まりました。

 こうした規制の背景には、SNSを通じたネットいじめや有害情報への接触、過度な利用が子どもの生活に及ぼす影響などへの懸念があります。

 一方で、SNSは子どもが友人と交流したり、学校や家庭では得られない情報にアクセスしたりするための重要な手段でもあります。そのため、年齢による一律の利用制限が、子どもの情報アクセスや社会参加の機会を狭める可能性も指摘できます。

 また、年齢確認を厳格化することで、利用者の個人情報をどのように管理するかという新たな課題も生じます。

 日本でも、子どものSNS利用をめぐっては、ネットいじめや誹謗中傷、個人情報の流出、闇バイトへの勧誘などが問題となっています。

 法学部政治学科の受験生としては、単に「SNSを規制するべきだ」と述べるのではなく、政府による規制がどこまで認められるのか、企業にはどのような責任を負わせるべきなのか、子どもの権利と安全をどのように両立させるのかという視点が重要です。

 また、規制を強化しても、利用者が別のサービスへ移動したり、年齢を偽って利用したりする可能性があります。そのため、法規制の実効性を検討し、教育や家庭での支援と組み合わせた対策を考える必要があります。

 

理想回答の一例

① テーマ理解

 SNSは子どもにとって情報収集や交流の手段である一方、ネットいじめや有害情報への接触などの危険も存在する。重要なのは、SNSの利用を単純に禁止するかどうかではなく、子どもの権利と安全を両立させる制度をどのように構築するかという点である。

② 内容展開の方向性

A. SNSのメリットとデメリットを整理し、子どもを保護するための制度が必要な理由を説明する。

B. オーストラリアの年齢制限を例に、政府による法規制の効果と限界を検討する。

C. SNS事業者による安全対策、学校での情報モラル教育、保護者や地域社会による支援を組み合わせた解決策を提示する。

③ 構成例

序論: 私は、SNSが子どもに与える悪影響を防ぐためには、政府による一定の規制に加え、SNS事業者や教育機関、家庭がそれぞれの責任を果たす仕組みを構築することが重要だと考える。

本論: SNSは子どもにとって情報収集や他者との交流に役立つ一方、ネットいじめや有害情報への接触などの危険も存在する。オーストラリアでは16歳未満の利用を制限する制度が導入されたが、年齢による一律の制限には、情報へのアクセスや社会参加の機会を狭める可能性もある。そのため、日本では利用を全面的に禁止するのではなく、事業者に対して年齢に応じた安全設定や有害情報への対策を求めるべきだと考える。また、学校では情報の真偽を見極める力や、トラブルが発生した際の対処方法を教える必要がある。さらに、保護者も子どもの利用状況を把握し、問題が生じた際に相談できる環境を整えることが重要である。

結論: SNSによる被害を防ぐためには、子どもの利用を制限するだけでなく、安全に利用できる環境そのものを整備する必要がある。政府、企業、学校、家庭が役割を分担し、子どもの安全と情報へのアクセスを両立させる制度を構築することが重要だと考える。

 

面接について

・面接の形式:集団面接
・面接官の人数:2人
・面接時間:約30分(受験生1人当たりの回答時間は約10分との報告)
・使用言語:英語・日本語

  

実際にあった質問:

【英語での質問】

・なぜ中央大学で学びたいと思ったのか
・中央大学では何をしたいのか(サークル活動や学びたいことを含む)

 

【日本語での質問】

・オーストラリアでのホームステイで、日本と違うと感じたことは何か
・オーストラリアでは外国人も意思決定ができると書いているが、政治的な意思決定はできないのではないか
・外国人が政治的な意思決定に参加できることについて、どう考えるか

 

 今回の面接では、英語による志望理由の確認と、日本語による研究テーマの深掘りが行われました。

 英語の質問では、なぜ中央大学を志望するのか、入学後に何を学びたいのかなど、基本的な志望動機を説明する力が求められました。

 一方、日本語の質問では、受験生が提出書類に記載したオーストラリアへの留学経験や、外国人住民の政治参加に関する問題意識について質問されました。

 特に注目したいのは、「外国人は政治的な意思決定ができないのではないか」という質問です。

 この質問では、外国人住民が地域社会で意見を表明することと、法的な権利として政治参加が認められることの違いを理解しているかが問われたと考えられます。

 また、「政治的な意思決定に参加できることについてどう考えるか」という質問では、外国人の政治参加を認めるべきかどうかという賛否だけでなく、その理由や制度上の課題について説明する必要があります。

 例えば、日本では外国籍住民に国政選挙や地方選挙の選挙権は認められていませんが、自治体によっては外国人住民が地域の課題について意見を表明できる会議や参加制度が設けられています。

 そのため、政治参加を選挙に限って考えるのではなく、地域社会における意見表明や政策形成への参加など、複数の形態に分けて検討することが重要です。

 今回の面接からは、留学経験を単なる異文化体験として語るだけでなく、その経験を通じて発見した社会課題について、政治制度や公共政策の視点から説明できることが求められたと考えられます。

 

○受験生が振り返る試験対策のポイント

 今回の受験生は、小論文について「直前講習で扱ったようなテーマがそのまま出題された」と振り返っています。

 SNS規制のように、国内外で議論されている社会問題について、制度の仕組みや賛否両論を事前に整理しておくことが有効だったようです。

 一方、面接については「答えは出ていたものの、面接官の顔色の変化に少し動揺してしまった」と述べています。

 面接では、質問に答える内容だけでなく、予想外の指摘を受けたときにも落ち着いて自分の考えを説明することが重要です。特に、提出書類に書いた主張に対して反論を受けた場合には、その場で無理に自分の考えを正当化するのではなく、指摘を踏まえて論点を整理し直す姿勢も求められます。

 また、今回は英語と日本語の両方で質問が行われました。英語では志望理由や大学で学びたいことを簡潔に説明できるようにし、日本語では研究テーマについて具体的な根拠をもとに議論できるよう準備することが有効でしょう。

 中央大学法学部政治学科の英語運用能力特別入学試験では、英語力に加え、国内外の社会問題を政治学的な視点から考察する力が重要になると考えられます。受験を予定している人は、SNS規制や外国人住民の政治参加など、制度設計をめぐって議論が分かれる問題について、自分の立場とその根拠を説明できるよう準備しておくとよいでしょう。