「総合的な探究の時間」「世界史探究」「古典探究」…。みなさんが学校で受けている授業には「探究」という名が付いた科目がたくさんありませんか。
そして、きっとこんな課題を出されたことがあるでしょう。
「自分が探究したいテーマを見つけてきてください」「興味のある社会問題について調べてみましょう」
そんなとき、みなさんはどうやって「探究したいこと」を探していますか?
Googleで検索したり、ChatGPTに頼ってみたりする人も多いのではないでしょうか。もちろん、それは便利な方法です。
でも「そもそも何を知りたいのか分からない」時にはちょっと使いにくいかもしれません。検索するためにはまず検索する言葉を決めないといけないのですから。
じゃあどうしたらいいの…?
そんなあなたにおすすめの方法があります。それは、「新書を読むこと」です。
そもそも新書って?
新書ってなんだろうと思ったみなさん。図書館や本屋さんの一角に、薄くて同じような表紙の本がずらっと並んでいるのを見たことはありませんか?
あれが新書です。
新書とは、新書版と呼ばれる105mm×173mmのサイズで作られた本のことで、文庫本より少し縦長の書籍です。
タイトルを見てみると、「●●化する社会」とか「××とは何か」とか、何やらちょっと難しそうな本が並んでいます。
でも大丈夫。
実は、新書はさまざまな社会課題を知るカタログみたいなものなのです。
政治、経済、環境、教育、ジェンダー、歴史、文化など、新書のテーマは多岐に渡ります。
しかも、その道の専門家が研究の話を一般の読者にも分かるようにまとめたものなので、社会で起こっている問題や大学で研究されているテーマをお手軽に知ることができちゃいます。
だから、普段は本を読まない方も、小説は好きだけど専門書はちょっと…という方にとっても、手に取りやすいのが新書なのです。

どうやって新書を見つけるの?
でも、書店や図書館にはとにかくたくさんの新書が並んでいます。「この中から一冊選ぶの難しくない?」と思った方もいるのではないでしょうか。
新書を読めと言ったって、何から手をつけたらいいか…。
そんなあなたに朗報!「新書マップ」を使ってみましょう!新書マップは、興味のあるテーマから関連するおすすめの新書を探せるサイトです。
まずは「新書マップ」と検索してみてください。たくさんの新書が収納された本棚が出てきますね。

その下にある「テーマリウム」というページを開いて、気になるキーワードを入れてみましょう。例えば、「差別のない世界」と入力してみます。

すると、「差別」「人種差別」「ジェンダーギャップ」など、10個の関連するテーマが出てきました。
試しに「差別」のテーマページをクリック。今度は関連する新書がずらっと出てきます。

あとは、ここから気になる一冊を選ぶだけ。
なんとなくピンときたとか、知っている著者だったとか、そんな理由で構いません。これなら一冊選べそうですよね。
①新書マップで問いを見つけてみよう
読みたい新書が決まったら、まずは目次を眺めてみましょう。
目次をぱっと見るだけで、どんな内容が書かれているのか大まかに把握することができます。
「なぜ日本では○○が起きているのか」「○○は本当に必要なのか」などの章を見て、「それ本当?」「どういうこと?」と思ったら万々歳。
その疑問があなたの探究テーマになります。
「探究の問い」というと、「社会をどう変えるべきか」など立派な問いを考えなければと身構えてしまっていませんか。
でも、「本当?」「なんで?」という小さな疑問が探究のスタートになります。
例えば、先の「差別」の本棚から、中西正司・上野千鶴子著『当事者主権』という本を手に取ったとしましょう。
目次を見ると、「当事者宣言」「家族介護という「常識」?」「当事者は誰に支援を求めるか」などの項目が書かれています。
ここで、「えっ介護って家族がするものじゃないの?」と思ったとします。
すると、「じゃあ、家族以外が介護する方法もあるのかな?」「実際、当事者が必要としている支援って何だろう?」「本人が必要な支援を決めるってどういうこと?」
など、どんどん疑問が出てきます。
これが探究です。こうして浮かんだ疑問を出発点にリサーチを始めましょう。
もし仮に、選んだ本の内容に興味が持てなくても大丈夫!ざっと目次に目を通したので、その本の分野についてちょっと詳しくなれました。
それをヒントに次の本を探せば良いのです。
②さっそく新書を読んでみよう!
目次を読んで探求したいテーマが定まったら、今度は本文を読んでみましょう。先に目次を見ているので内容が入ってきやすく、サクサク読めると思います。
新書は、テーマに関する基本的な用語や歴史などがまとめられていることが多く、探究を進める土台となる知識を得るのにとても役立ちます。
そして、新書を読んでいる途中で「もっと知りたい!」と思うことに出会ったら、次はインターネットで調べたり、論文を探したり、別の本を読んだりしてみましょう。
例えば、先の『当事者主権』で、「ピアカウンセラー」という言葉が出てきます。
「ピアカウンセラーって何だろう?」「実際どんな人が利用しているのかな?」そう思ったら、「ピアカウンセラー」と検索したり、この本の著者である、中西正司氏や上野千鶴子氏の他の本を探すことがおすすめです。
このように、新書をきっかけに探究を深めていくことができるのです。

③新書は小論文対策にもつながる
実は新書を読むと、もう一つ良いことがあります。小論文にも強くなるのです。
学校のテストや現代文の記述、推薦入試など、みなさんが小論文(のようなもの)を書く機会はたくさんありますよね。
そのとき、「私はこう思います」と自分の意見を書いて終わり、というわけにはいきません。
「社会でどんな問題が起きているのか」「どんな立場の人がいるのか」「どんな解決策が講じられてきたのか」
そうしたことを知った上で、自分の考えを組み立てる必要があります。新書を読むと、こうした背景知識が少しずつ増えていきます。
さらに大切なのは、新書を読むと、自分とは違う考えに出会えることです。
例えば『当事者主権』では、「専門家よりも当事者が自分自身のことを一番よく知っている」という考え方が示されています。
これを読んで「確かに自分のことは自分が1番分かっている」と思う人もいるでしょう。
でも、「自分では気づいていないこともあるのでは?」「周りに教えてもらって初めて気が付くことも多いんじゃない?」と考えることもできますよね。
こうやって自分と違う考えは何だろう、なぜ違うのだろうか、と問い直すことで自分の考えが深まっていきます。
実際、私は「代替医療を信じている人をどう扱うべきか」という小論文を解いたことがあります。代替医療とは、科学的な検証が十分に確立されていない医学体系や健康管理法・施術のことです。
何を書こうかと迷っていた時、ふと思い出したのが、実はこの『当事者主権』なのです。
この本の「当事者が自分自身のことを1番よく知っている」という考えを手がかりに、医者が一方的に治療法を決めるのではなく、患者の考えを理解し、尊重する姿勢も大切ではないかと考えることができました。
このように、新書で出会った考え方は、別の問題を考える時の土台になるのです。

まずは一冊手に取ってみよう
ぜひ、まずは新書マップを開いてみてください。そして、気になる一冊を選んでみましょう。
そこで今まで知らなかった社会の問題や考え方に出会い、気になる問いを探してください。
そこから探究を始めてみませんか。





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