医学部医学科の受験は、医師になる上で必ず乗り越えなければならない壁であると共に、その壁さえ乗り越えてしまえばかなりの確率で人生の保証を得られる、まさに人生のプラチナチケットを巡る入試といえよう。

 昨今の情勢の中で医学部人気は確実に増しており、特に保護者の視点で「我が子には食いっぱぐれない安定した道を歩んでほしい」と医学部受験を望む親御さんも多いのだとか。

 そんな医学部に、いわゆる受験戦争を経ずに入ることができたら…。

 そんなことができたら最高ではないだろうか?

 そこで今日は、そんな夢を叶えることができる「指定校推薦や学内推薦で医学部進学の可能性が比較的高い高校」3選をお送りしたいと思う。

まさか早稲田の附属校!?日本医科大学との提携の裏に導入された指定校枠とは

 医学部に指定校・学内推薦などで入れる高校その1は、早速1校でなく恐縮だが、早稲田大学高等学院、早稲田大学本庄高等学院、早稲田実業学校の3校を取り上げたい。

 早稲田の附属校が医学部への推薦枠を持っていることに驚く方もいるかもしれないが、経緯としては2020年7月に早稲田大学と日本医科大学の提携が発表されたことを記しておく。

 これは吸収合併ではなく、早稲田大学の理学・工学分野の研究と日本医科大の医学分野を連携することでシナジーを生み出そうというものなのだが、その中で日本医科大の「ただ偏差値が高いだけの学生」でなくこの領域に興味を持つ学生を受け入れたいという意向もあり、各校2名ずつの指定校推薦枠が導入された。

 日本医科大学と言えば、私立医大の御三家と称される大学である。もし附属校への進学が叶えば、早稲田大学入学よりもさらに高難度の医大への進学が叶うことになったのである。

①「親の医学部志向」関係なしでバイオ関係を志望する「主体性」が早稲田附属→日医の鍵か

 そもそもだが、早稲田大学の附属校に入学する生徒は、親の医学部志向とは離れたところにいると考えて間違い無い。

 これは、中学受験であればトップの筑駒や開成を受け、その下の学校の選定となれば当然早慶附属は視野に入るものの、親がこの時点でどうしても医学部に行かせたいのであれば早稲田附属はかえってその進路を狭めることになる。そのため、もう一個下のレイヤーの海城中高や駒場東邦、芝中高などを受けさせるためだ。
 これは、高校受験でも同じで、親の医学部志向があったとしたら同偏差値帯の都県トップ校などに進むケースが多いだろう。

 それが故に、早稲田の附属校に在籍する生徒でバイオ関連や生化学に興味を持つ生徒は、純然たる興味でその分野を志向していると言える。

 実際に早稲田大学高等学院から日本医科大に推薦で入学したケースでは、生物の研究に関心を持ち「初級バイオ技術者」資格を自主的に取得していた生徒や、部活動のスポーツでの怪我の経験から医療従事者の存在の大きさに気づき、外部受験も検討していた生徒が該当したという。

 このように、早稲田大学の附属校という医学部進学が選択肢に上がりづらい環境の中で、原体験から興味を持つ人こそ、日本医科大が迎え入れたい人材というわけだ。

 入学時からこの推薦枠を目指すというのは非現実的かもしれないが、早稲田大学への進学という基本路線の中で、本人の興味がそちらに向いても選択肢があるのが早稲田の附属だ、という事実は頭に入れておいて損はないだろう。

②医学部の指定校枠を多く抱え、高い医学部進学率を実現する埼玉県の中高一貫校!

 医学部に指定校・学内推薦などで入れる高校その2は、埼玉県川越市にある秀明中高だ。

 首都圏では唯一の全寮制高校であり、全寮制であるがゆえに1学年120名程度と少ない生徒数だが、国公立医学部に5名前後、私立医学部で見れば20名ほど医学部に合格する年もある。

 120名中の25名と考えれば学年の2割強となり、かなり高い医学部合格率と言えるだろう。

 また、開校当初より医師の子息が多く、入学時には3-4割程度の生徒が医学部を志望しているという。

 その長年の蓄積の甲斐もあり、本校は埼玉医科大学、北里大学、獨協医科大学の医学部から数名ずつの指定校推薦枠を設けられており、中学受験時はほぼボーダーフリー、高校受験時でも偏差値57程度の入口の難易度を考えると、その中で上位に位置すれば指定校で医学部進学が叶うならお得というほかないだろう。

指定校だけでない蓄積された知識と指導が下支えする医学部進学

 本校はHPの進学実績の項に「医学部・歯学部等の合格率は開校以来全国トップクラスです」と謳っているだけあり、長年の受験指導によって医学部受験に関する知識・情報が蓄積されている。

 本校では、医学部対策として、主要教科の教員が医学部の入試問題の傾向分析をし、対策をしている。

 高校1年生から授業や定期考査の中で医学部の入試問題を導入しているという徹底ぶりだ。

 元々は医学部志望が多いが実績は伴わないといったイメージの本校だったが、こうした取り組みの中で実績を挙げているとあれば、仮に指定校推薦に漏れてしまったとしても、医学部進学にグッと近づく進路選択となるだろう。

③日本一学費が高いことで知られるあの医大の付属校!6000万円の資金パワーであなたの子息もドクターに!

 医学部に指定校・学内推薦などで入れる高校その3は岡山県倉敷市にある川崎医科大学附属高等学校だ。

 国内唯一となる医科大学の附属校であり、学内の推薦制度を利用して毎年生徒の9割近くが川崎医科大学医学部へ進学する。

 更に仮に現役で不合格でも翌年もう一度受験が可能で、さらに他大の医学部に進学した生徒も含めれば「9割5分は医学部に進む」という医師確定ルートっぷりだ。

 本校及び本校の系列の川崎医科大学は「日本一学費が高い私立の医学部」として広く知られ大学だけで4550万円。9年間の合計は6100万円にも上り、とても一般家庭で払えるような額ではない。 

 ただ、本校の高校受験での偏差値は61程度、岡山県内でも15位と難易度は高くなく、この難易度で医師のルートが確定するのは美味しいと考える富裕層もいるのだろう。

高校時から歩む「ドクターロード」、現役進学が何よりのメリット

 本校のメリットは大きく2つあり、1つは「高校時代から医療に触れることができること」だ。

 医学部の付属校だけあり、3年間みっちり医学漬けの学生生活を送ることとなり、とりわけ総合学習の時間では、現役医師による講演や病院での実習、高校生向けに平易にアレンジした医学部講義など、高校生のうちから本物の医療に触れられる「ドクターロード」という授業を設けている。

 2つ目は「現役で医学部に入学できること」だ。多浪の末潰れてしまった、というエピソードが珍しくない医学部受験では、この事実は生徒だけでなく親にとっても大きい。

 第一子の医学部受験で『こんな苦労はもうこりごり』と感じた両親が、下の子をこの附属校に入学させるといったルートもしばしば見られるらしく、絶対に子供を医学部に入れたい親にとってはありがたいルートだろう。

 ただ、考慮しなくては行けないのは、大学進学後は当然だが熾烈な受験戦争を突破したソルジャーたちと肩を並べなくてはいけないということだ。

 本校に進学する過程の生徒の多くは、「親の意思」がその意思決定に大きく影響していることは間違いなく、自覚と地頭の欠ける状態で医学の専門分野を学んでも、ただでさえ厳しい医学部の試験を突破するのは至難の業だろう。

 医学部入試の熾烈さを考えれば、高校で附属校を狙うのも悪くない選択肢だと言えるが、保護者は本人の自覚や医師になるという覚悟の面で、手綱を握る必要があるかもしれない。