入試で有利になる課外活動とはなんなのでしょうか?

 多くの方は『意識高い系』のボランティアや〇〇オリンピックなどの活動が浮かぶと思います。

 そのため、運動部の活動に力を入れている高校生や保護者の中には、

 「運動部の実績って、スポーツ推薦しか使えないんでしょ?」

 「せっかく部活を頑張っても、受験では有利にならない」

と思っている方も多いのではないでしょうか?

 実は、そんなことはありません!スポーツ推薦でなくとも、部活動の実績を推薦入試に活用することは可能なのです。

 今回はサッカー全国2位の実績を活かして、早稲田の社会学部に自己推薦入試で合格した、大野さんの例を解説します。

 「推薦入試のためには、どれくらいの実績が必要なの?」

 「部活動の実績はあるけど、どの大学なら受かるの?」

この記事を通して、こうした疑問を解決していきましょう!


サッカー漬けの環境で育つ

 父親の影響で3歳からサッカーを始めた大野さん。
 小学生の頃からクラブチームに所属し、中学ではさらにレベルの高いチームへ移籍。次第にプロのサッカー選手を目指すようになり、高校は県内屈指の強豪・桐光学園へ進学しました。

 しかし、サッカーに打ち込む中で、怪我や引退後のセカンドキャリアへの不安を感じるようになります。「サッカーだけでなく、学びの場も大切にしたい」と考え、有名大学への進学を視野に入れました。

 特に、推薦入試を目標とした大野さんは、部活動にさらに力を注ぎました。
 平日は毎日3時間の練習、休日も試合でほぼ休みのない日々を送りながら、着実に実力をつけていきました。この努力が実り、高校3年の夏には全国2位を達成します。

 このように、部活動の実績を活かすことで、早稲田大学に合格しました。
 現在もプロサッカー選手を目指して、トレーニングと学びを両立しています。

将来の夢はサッカー選手

 「気づいたら、サッカーをしていた。」

 父親の影響で、3歳からサッカーを始めた大野さん。ボールを蹴るのが当たり前の環境で育ちました。

 すぐに、サッカーに夢中になり、小学生になる頃には地元のクラブチームに所属します。ボールを追いかけることが楽しくて、気づけばサッカー漬けの日々を送るようになっていました。

 中学校では、さらにレベルの高い環境で挑戦したいという思いから、より強豪のチームでプレーしました。

 このように、サッカーへの愛から「プロのサッカー選手になりたい」、そう思うのは自然な流れでした。

 そのため、高校では当時神奈川県で最もサッカーの実績がある、桐光学園に進学しました。

大学進学が最良の選択

 サッカー選手になるために高校を選んだ大野さん。

 しかし、真剣にサッカー選手を目指すほど直面する問題がありました。それはリスクの高さでした。

 実際に、どれほどサッカーに打ち込んでも、プロになれるのは一握り。サッカー部では、実力がある先輩たちでさえ、プロになれない姿を目の当たりにしました。

 仮にサッカー選手になれたとしても、怪我やセカンドキャリアの問題は付き纏います。

 そこで、「サッカーでどこまで通用するのか」「もし怪我をしてしまったらどうするのか」と考え始めた大野さん。最終的には、「大学進学」という道を選択しました。

 実際に、日本代表の三苫選手や長友選手など、大学卒でのサッカー選手も近年は増えています。サッカー選手としての成功のために、大学でじっくり練習を積むことは一つの有効な手段です。

 さらに、難関大学に入れば、怪我をした時や引退後のセカンドキャリアでも有利になります。

早稲田に行きたい。しかし、指定校推薦は…

 大学進学を考えた時、大野さんは早稲田大学を第一志望にしました。

 「プロのサッカー選手が目指せる」「就職にも強い」、の二つの条件で考えた時、どちらの質も高かったのが早稲田大学だったのです。

 そのため、高校入学当初は、指定校推薦での進学を目指していました。

 しかし、高校内での競争が激しく、高校3年生の始めには指定校推薦での進学が厳しい状況に陥ってしまいました。

 「このまま一般入試に切り替えるべきか?」と悩みましたが、サッカーに打ち込みながら受験勉強をするのは簡単ではありません。そこで、大野さんは他の選択肢を模索します。

早稲田大学自己推薦を目指す

 高校3年生の春に指定校推薦を諦めた大野さん。

 最終的には、自己推薦入試での早稲田大学の社会学部の受験を決意します。

 もちろん、スポーツ推薦も視野にはありました。しかし、決め手は倍率でした。

 スポーツ推薦では募集が若干名しかありません。

 実際に、大野さんが先輩に話を聞いた際にもスポーツ推薦では3人しか合格しないよと言われ、圧倒的な倍率であることを悟りました。

 そこで、大野さんが目をつけたのが自己推薦入試だったのです。

早稲田大学の自己推薦入試とは

 早稲田大学の社会学部とスポーツ科学部で行われており、定員は社会学部で約40名、スポーツ科学部で60名です。倍率は、社会学部では約7倍となっています。スポーツ推薦の3人の枠を争うよりは、競争率が低いことが伺えます。

 過去3年のデータが以下です。

受験の対策としては、主に以下の3点が必要となります。

・評定:5点中4.0点以上

・課外活動:スポーツ、学芸活動での全国大会以上の実績 

・英語資格:英検2級以上

難易度としては、早稲田大学の他の入試形式や他の大学と比べると、評定や英語に関しては容易な水準です。例えば、指定校推薦であれば評定4.3以上、英検準1級以上を課す場合も多いからです。

自己推薦入試の特徴

 自己推薦入試に特徴的なのは、課外活動の基準が高いことです。最低でも全国大会の出場が必要となります。

 具体的には、大野さんがサッカー部の先輩から聞いた話では、「全国大会ベスト4以上でないと安心できない」とのことでした。

 実際に、面接で周囲の受験生の中には、オーケストラで全国1位をとった人や地学オリンピックで優勝した人がいたそうです。また、関東地方など地方に分かれた選考がされるため、同じ地方の高校生と比べられる点も特徴的です。

試験対策①サッカーでの実績が必要

 上述の通り、早稲田大学の自己推薦では、「全国大会ベスト4以上」が一つの基準とされます。

 高校2年生までは、県内ベスト8が最高だった大野さん。高校3年の夏の最後の大会では、単なる部活動ではなく、受験の一環として死に物狂いでプレーしました。
サッカー部の同級生とも、「いい大学に入るために勝とう」と目標を設定することで、結束力を強めました。一つ上の先輩達が、サッカーに打ち込んだ一方で、有名大学に進学できなかったことも後押しになりました。

 結果としては、今までの成績を遥かに上回る、全国2位という実績を手にすることができました。

試験対策②志望動機書

 一般的に、推薦入試で重要になるのが志望動機書です。せっかく課外活動の実績があっても、アピールできなければ意味がありません。
 
大野さんの志望動機書から、実績の活かし方を紐解きます。

問題:

①あなたの最もアピールしたい活動についての詳細
②そこから学んだこと
③合格したら、社会科学部での4年間において、それをどのように活かしたいか

(合計800字)

志望理由書:

私が所属する桐光学園高校サッカー部は、今年度の全国高等学校総合大会において、全国準優勝の成績を収めたが、大会前の強化試合では、3連敗を喫していた。大会を目前にして、焦りや不満を露にする選手も見受けられ、チームの一体感が失われていたため、私は大会に向けて全員のベクトルを合わせることが必要だと考えた。副キャプテンを務める私は、キャプテンと協力し、選手全員と個別面談を行い、各々の考えを共有するとともに、グラウンド上ではポジティブな雰囲気作りに徹し、チーム内におけるコミュニケーションの質と量の向上に務めた。その結果、組織の結束力が高まり、全国準優勝の成績を収めることができた。全体を俯瞰して見ることでチームとしての課題を見極め、解決のために積極的に行動したことが良い結果に繋がったことから、組織の中でのリーダーシップとそれを発揮するための主体的な行動の重要性を学んだ。

私が生まれ育った小田原市は、スポーツに取り組む環境整備が遅れているため、私は地元から離れた都市部のチームに所属してきた。その経験から、私は将来、小田原の地でスポーツにおける地域格差の解消に取り組みたいと考えている。自治体と連携し、スポーツの力を活用して地域を活性化させることで、若者が地元を離れることなく、本気で競技に取り組める環境を作ることができるのではないか。そのために、まずは私自身に多くの価値観と幅広い視野が備わっていることが不可欠だと考え、学際性を養うことに特化した貴学部は、私の夢を叶えるための最適な場所であると確信した。またその中で、特に興味のある分野に関して、フィールドスタディを実践する貴学部のゼミナールで臨床性を身につけ、自身の強みにしていきたい。これまでサッカーを通して培ってきたリーダーシップや課題解決力を活かして、貴学部をリードするとともに、個人としても大きく成長していきたい。

 各問題についてのポイントを簡単に解説します。

①あなたの最もアピールしたい活動についての詳細

 まずは、アピールポイントが明確な点が重要です。「全国大会準優勝」はわかりやすく、また、目を引く内容です。

 加えて、構成も高評価です。「大野さんが何をしたか」「どのような課題に対処したか」がとてもわかりやすいです。

②そこから学んだこと 

 この設問は端的である点が重要です。3つの設問の中で最も内容が少なく、簡潔に書くことが求められます。


③合格したら、社会科学部での4年間において、それをどのように活かしたいか

 この設問では、現状の課題と、大学での学びがどう解決に生かされるか、を明示することが重要です。この書類では、スポーツの地域格差という課題の解決に、大学で得られる多様な視点が必要である、ということが示されています。
 また、フィールドスタディという、早稲田大学の社会学部特有のカリキュラムに言及できている点も素晴らしいです。事前準備の量志望度の高さをアピールすることができます。

部活動の実績は推薦入試で武器になる!

 「スポーツ推薦でなければ、運動部の実績は受験に活かせない」- そんな誤解を持っている人は少なくありません。しかし、大野さんのケースからも分かるように、運動部の実績を強みとして、推薦入試に合格することは可能なのです!

 特に、早稲田大学の自己推薦入試では、全国大会レベルの実績があれば出願が可能です。他の入試に比べて、成績や英語力の要求水準は低いので、実績がある生徒にとっての垣根は低いと言えるでしょう。

 運動部に打ち込んだからといって、「難関大学は無理」などと諦めず、むしろ推薦で有利になる大学を探してみてはいかがでしょうか?