東京大学は2015年度を最後に後期日程入試を廃止し、2016年度より新たに推薦入試を導入しました。それまでは、1次試験にあたる大学入学センター試験(現・大学入学共通テスト)と、東大が独自に実施する2次試験を受験することでしか東大に入学する方法はありませんでしたが、推薦入試によっても東大に入学できるようになりました。
推薦型選抜により東大に入学するために、どのようなことができるのでしょうか?
東大では、一体どのような選抜が行われているのでしょうか?
この記事では、東大の推薦入試がどのように行われているか、どんな対策ができるのかをご紹介します。
どの学部にも共通すること・出願できる人数に制限がある?
東大には全部で10の学部があり、そのすべてで推薦入試を受けることができます。選抜は学部ごとに行われ、募集人数も学部ごとに定められています。
2024年度の募集人数と倍率は下記のようになりました。
学部 募集人数 志願者数 最終合格者数
法学部 10人程度 25人 13人
文学部 10人程度 17人 7人
教養学部 5人程度 17人 4人
理学部 10人程度 40人 12人
薬学部 5人程度 6人 4人
経済学部 10人程度 17人 9人
教育学部 5人程度 18人 5人
工学部 30人程度 81人 30人
農学部 10人程度 16人 4人
医学部 医学科 3人程度 16人 2人
健康総合科学科 2人程度 3人 1人
合格人数や倍率は年によってもまちまちで、それぞれの学部が本当に求める人物を選抜して合格としていることがわかります。
東大の推薦入試は、学校推薦型選抜です。それぞれの高校から東大へと出願できるのは、4名まで(男女各3名まで、同一学部へは男女1名まで)と制限されています。
推薦入試が始まった頃は各校で男女1名ずつまでと厳しく制限されていましたが、2021年度から緩和されました。それでも各校から推薦できる生徒の人数は限られているため、校内で推薦希望者が複数いる場合、まずは校内のライバルと競うことになります。
どんな人が出願できるの?
一般的な選抜入試では、高校での評定が一定以上であることを受験資格の要件とする場合が多くあります。その意図としては、志願者に一定以上の学力を求めているということがあり、その点においては東京大学も例外ではありません。
募集要項における表現は学部によって様々ですが、どの学部でも共通して、志願者に対して高い基礎学力を有することを求めています。ここには、高校内で上位の成績であることも含まれます。
また、志望する学部における学問に対する興味があること、高校生の時点でその学問分野に精通していることなどが求められています。
東大の推薦入試のスケジュール
東大の推薦入試は、このようなスケジュールで進んでいきます。
・10月中旬 志願者によるインターネット入学志願票作成
・11月初旬 書類出願
・12月初旬 一次試験合格発表
・12月中旬 面接試験
・1月中旬 大学入学共通テスト
・2月中旬 最終合格発表
以下、詳しく見ていきましょう。
10月中旬 志願者によるインターネット入学志願票作成
出願登録はインターネットで行います。志願者自身の情報や顔写真などを登録します。入学志願票を作成したのち、検定料を納付します。
11月初旬 書類出願
出願に際し、下記のような書類を用意する必要があります。
・入学志願票
・調査書
・選抜志願書
その学部の志望理由などを書いたものです。
・推薦書
・学部が求める書類
賞状のコピーや論文など、学部によって求めるものは様々です。
・書類一覧表
提出書類の目次のようなもの
学部によって、どのような書類の提出が求められているかは様々ですので、募集要項をよく確認しましょう。たとえば法学部では、
・在学中に執筆した論文
・ 社会に貢献する活動の内容を具体的に証明する資料(表彰状、新聞記事など)
・外国語に関する語学力の証明書(TOEFL、英検、IELTS、(中略)など)
などが例として挙げられていますが、同時に「以上はあくまでも例示であり、志願者が本学部の推薦要件に合致することを証明できる資料であれば、上記以外の資料でもかまいません」と提出書類にはある程度の自由を認めています。
一方で、文学部では「論文(日本語で書かれたもの)」の提出が必須の要件となっています。工学部では、「求める学生像」に記載されている要件を客観的に示す志願者自身の説明書と、本人の能力をよく知る人物(高等学校等の内外を問わない)による推薦書2通以内の提出が求められます。
それぞれの学部がどういった人物を求めているのか、という特徴が色濃く反映されている要件であると言えます。
全ての書類が用意できたら、高校と協力してこれらの書類をpdfデータにします。高校がシステムを通じアップロードすることで、出願が完了します。
12月初旬 一次試験合格発表
ここで一次の合格発表です。書類による一次試験に合格すると、二次試験である面接以降に進むことができます。
12月中旬 面接試験
学部によって実施される内容が異なるため、こちらも募集要項をよく確認する必要があります。
経済学部や工学部、理学部など、単に個別面接を行うとしている学部もあれば、法学部ではグループディスカッション、文学部や教養学部では小論文の執筆が求められます。教育学部では出願書類の内容について発表したのち質疑応答があるなど、ここにも学部の個性が反映されています。
特に薬学部は個性的で、志望理由や自己の将来像などを発表することが求められますが、事前にA4用紙2枚程度の用意が可能であるとされています。
筆者の知人は経済学部の推薦入試を受験し、面接の場では東大経済学部の教授3名と1対3の面接をしたと話していました。自身の提出書類について説明を求められたり、その場で数学の問題を読み上げられて答えを求められたりと、様々な角度から志願者の特性を見極めようとしていたようです。
1月中旬 大学入学共通テスト
どの学部でも共通して、5教科7科目を受験し、80%以上(医学部医学科は85%以上)の得点が必要になります。この基準はかなりシビアで、過去にこの基準を割り込んだ受験者は概ね不合格になっているそうです。
2月中旬 最終合格発表
東大の推薦入試の合否は、書類、面接、共通テストの総合評価によって判断されます。
具体的には、書類、面接、共通テストのそれぞれをABCDの4段階で評価し、3つの総合的な評価がB以上で合格となります。たとえば面接が奮わずCの評価となってしまったとしても、それ以外の書類や共通テストでAの評価を取り、総合的にB以上の評価を獲得すれば合格できるということになります。しかし上述の通り、共通テストだけはB(80%)以上の評価を獲得することが重要になります。これらの評価については入学後に成績開示があり、合否に関わらず自分の評価を知ることができます。
東大の推薦入試のメリットって?
では、そんな東大推薦入試で合格することのメリットとは一体どんなものなのでしょうか?実は一般入試の人とは違う扱いになる部分があるのです!
「進振り」に参加しなくて済む
東大の新入生は全員が前期教養学部に入学し、2年間は学部の枠にとらわれず様々な分野の講義を履修することになります。その後、2年生までの前期教養学部での成績に基づき、3年生以降に所属する学部が決まります。この「進学振り分け(進振り)」と呼ばれる制度のために、東大生は所属学部の決定を2年間猶予されている一方で、希望の学部に進学するためには前期教養学部で高い成績を収める必要があるのです。
しかし、推薦入試で合格した人が出願した学部にそのまま進学する場合、この「進振り」制度を免除されます。「進振り」のためだけに自分の興味外の勉強をする必要がなくなるので、1・2年生のうちから自分の好きな分野だけを追求することができます。
学部の授業を早期履修できる
さらに、本来なら3・4年生しか履修できない学部の授業を、推薦生であれば1・2年生の段階から受講することができる早期履修というシステムがあります。募集の時点で「その学問分野に精通していること」が要件にあるくらいですから、推薦生は1・2年生の時点ですでに学部の講義を受けるに値する前提知識を有していると見なされているということです。
担当教員が2名つく
また、推薦生1名に対し、担当教員が2名つきます。担当教員には、興味分野に関する質問はもちろん、進路相談などに乗っていただくことも可能です。
おわりに
以上のように、東大の推薦入試では学部それぞれが独自の「求める人物像」に合致した人物を求めていて、その前提として高い基礎学力を有していることが求められています。
興味分野に対して熱量があり、どこまでも追求したいという意欲のある方にとって、推薦で東大に合格した後というのはまさに最高の環境であると言えます。ぜひ東大を視野に入れてみてください。




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