みなさんは佐野という地名を聞いたことがありますか?
耳にしたことはあっても、どこにある地域なのか、わからない人がほとんどかもしれません。関東にお住まいの方は「佐野プレミアムアウトレット」に休日などに遊びに行ったことがあるかもしれませんね。
佐野とは、栃木県佐野市のことで、栃木県の南西部に位置し、関東平野の北端に位置する都市です。栃木県といえば「宇都宮餃子」が有名ですが、実は他にも魅力的な観光資源があります。代表とされる佐野プレミアムアウトレット以外にも「佐野厄除け大社」やゆるキャラグランプリ1位を獲得した「さのまるくん」があります。
このさのまるくんは、ちょっと変わった帽子をかぶっています。
まるでラーメンどんぶりのような。
実は、このキャラは佐野市のご当地ラーメンである「佐野らーめん」に着想を得ているのです!
実は佐野らーめんを活用した地方創生を提案し、筑波大学に合格した人がいます。
それが磯部さん(仮名)です!今回は磯部さんがどんな活動をしていたのか一緒に見ていきましょう!!!
幼少期の経験が「問い」の土台に
週末には両親が科学未来館や美術館に連れて行ってくれたこともあり、自然科学からアート、そして社会の仕組みにまで幅広く興味を持つようになりました。これがのちの探究テーマにもつながっていきます。
一方で、中学時代は少し内向的に過ごすことも多かったと言います。仲間外れにされた経験から、一人で過ごしていくうちに「自分が本当に夢中になれることを見つけたい」という思いが芽生え始めていたといいます。
高校に入ると、理系を選択。磯部さんは、小さい頃ドイツで暮らしていたこともあり、英語に対する抵抗がなく、英語は得意科目のひとつでした。しかし、国語が壊滅的にできなかったために、理系の選択をせざるを得なかったのです。
磯部さんは、ただの理系男子ではありませんでした。なんと、高校2年生の時点で数学の受験範囲をほぼ独学で終えていたというのです。成績表には“提出物未提出”の文字が並び、学校の評定3.8とそこまで良くなかったものの、模試では東北大学A判定。「地頭の良さ」と「圧倒的な自学力」を持った一般受験に最高の適材でした。
「探究に意味なんてない」からの、どハマり
高校1年の頃は、受験勉強一筋の“ガリ勉”モード。成績も順調に上がり、達成感を感じていたそうです。しかし、高2になると燃え尽きたのか、勉強に対するモチベーションが急落。かといって部活は書道部でゆるゆると続けるくらいであったため、時間にぽっかりと穴が空きました。
そんなとき、否が応でも向き合わなければいけなかったのが「探究」。学校では、探究の提出物が非常に多く、担当教員による進捗管理も徹底されていたため、サボることができない環境だったのです。
「だったら、ちゃんとやってみようか」
軽い気持ちで始めた探究が、思いがけず面白い。自分で問いを立て、調べ、考え、発信する。既存の答えを暗記するのではなく、自分の頭で社会と向き合うことの楽しさに、どんどんのめり込んでいきました。
テーマは「佐野らーめんで地方創生」!?
彼がテーマとして選んだのは「都市と地方の格差」
きっかけは、祖父母が暮らす栃木県足利市への帰省中に感じた、地方都市の空気感。
「 東京とそれ以外の場所ではこんなに町が違うんだ、、」と格差に驚いたそうです。
と同時に
「足利と近くであれど、佐野は足利と違って佐野厄除け大社や佐野アウトレット、わさびの生産など、観光資源がたくさんあるのに、どうして発達していないのか、、」
という疑問が浮かんできたそうです。
また、佐野市の観光資源について考えていた時に、
「ラーメンを使った観光は日本各地にあるのに、佐野らーめんって有名なのに、東京ではあまり見かけない。もっと知られていいはずなのに……」
という疑問が浮かんだそうです。磯部さん自身、ラーメンが大好きであったため、ご当地ラーメンの中でも有名で世間からの認知度が高い「佐野らーめん」やゆるキャラグランプリでも1位を取ったさのまるくんを佐野市のために活かせていないことがもどかしかったそう。
そこで彼は、佐野市の観光資源である「佐野らーめん」と多くの人を集客する「佐野プレミアム・アウトレット」を掛け合わせた観光活性策を考案。なんと、内閣府が主催する「地方創生☆政策アイデアコンテスト2023」に応募することに。
結果は惜しくも最終選考で落選……かと思いきや、驚きの展開が待っていました。
まさかの「佐野市長に直接プレゼン」!
落選からしばらくして、内閣府の職員から1通のメールが届きました。
「磯部さんの提案が素晴らしかったので、佐野市長に直接ご提案いただけませんか?」
思わぬ形でチャンスをつかんだ磯部さん。佐野市役所を訪れ、金子市長をはじめ、関東経済産業局の方々、市内の観光関係者、地元高校生などを前に、自身の研究をプレゼンしました。
栃木県佐野市の観光資源である「佐野らーめん」と「佐野プレミアム・アウトレット」を活かした観光戦略の可能性について、地域経済分析ツール「RESAS(リーサス)」を活用して分析を行いました。特に、観光客の動線や時間帯別の人流データ、検索傾向などをもとに、佐野市の現状と課題をデータで可視化し、説得力のあるプレゼンでした。
注目すべきは、「アウトレット」と「ラーメン」という、佐野市が誇る2大資源をかけあわせた新しい観光コンセプト『アウラー(アウトレット×ラーメン)』の案です。磯部さんはこの戦略のもと、いくつかの具体的施策を提案した。
一つ目は、「佐野らーめんタクシー」の導入です。これは、ラーメンに詳しいタクシードライバーが、観光客にラーメン店を案内しながら市内を巡るというもので、ご当地グルメと観光体験を組み合わせたサービスです。香川県の「うどんタクシー」など、他地域の成功事例を参考にしたアイデアであり、タクシー事業者との連携も視野に入れた現実的な提案となってます。
二つ目は、「佐野らーめんモール」の構想です。これは、複数の佐野ラーメンの人気店を一か所に集約し、観光客が気軽に食べ比べできる施設を整備するというものです。アウトレットのように“集客力のある場所”に併設すれば、流動人口の拡大や回遊性の向上にもつながると考えられます。
こうした施策を通じて、観光客がアウトレットだけで完結せず、まちなかにも足を延ばしてもらえる仕組みを構築し、地域経済の活性化を目指す案を直接プレゼン。
これには金子市長も「いただいた提案の実現に向けて、取り組んでいきたい」と前向きな反応を示しました。
以下が実際に磯部さんが作成し、使用した資料です。

まとめ:探究にこそ、本当の意味がある
磯部さんは、「ラーメン×地方創生」という一見ユニークなテーマで推薦入試に挑み、筑波大学の門を叩きました。共通テストでラーメンの知識は問われませんし、探究活動は直接的に偏差値を上げてくれるわけでもありません。
でも、そんな“役に立たなそうなこと”を誰よりも深く掘り下げたからこそ、彼は合格を勝ち取ることができたのです。
問いを立て、自ら調べ、現場に出向き、データを分析し、行政に提案まで行う
——そんな本気の探究に、大学は確かに価値を見出しています。
「好き」をとことん突き詰めた経験は、推薦入試のためだけの活動ではありません。
大学に入ってから、そして社会に出てからも、自分の軸として生き続けるはずです。
探究とは、「誰かに言われた答えをなぞる」のではなく、「自分の問いに、自分で向き合っていくこと」そこには教科書にはない学びがあり、他人と差がつく強みが眠っています。
ラーメンが好き。だから、考え抜いた。その結果が、筑波大学合格という形で結実したのです。
探究に意味なんてない——そんなふうに思っていた磯部さんが変わったように、もしかすると、あなたの「好き」も、未来を変える原動力になるかもしれません。
「探究は、推薦の人だけのものじゃない。」
そう、みんなにとっての“武器”になりうるのです。
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