長かった冬も終わり、待ちに待った春がやってきます。大学入試に見事勝ち抜き、大学生活へ期待に胸を膨らます方も多いのでは。

大学生ともなれば、一人暮らしも珍しい話ではありません。地元を離れ、新天地に赴くにあたり、最大のハードルが「新居探し」でしょう。

全く土地勘のない見知らぬエリアで、数年間腰を落ち着ける拠点を、しかもたかだか1か月程度の間に決めなくてはいけません。早い者勝ちで消えていく物件に、引っ越しや入学の諸手続きのあわただしさが重なり、どうしても冷静な判断がつきにくい。

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特に、近年東京の家賃は異常な上昇を続けており、都心部ではワンルームですら10万円を超えることも珍しくありません。そこで、今回は現役大学生に「実際に住んでみた感想」を聞き、「東京で家賃が安くて済みやすい街」を2つ挙げてみました。新居探しの参考になれば幸いです。

東京メトロ東西線「西葛西」駅

最初に紹介するのは、東京メトロ東西線にある「西葛西」駅周辺エリアです。東西線は千葉県「西船橋」駅から東京都「中野」駅までを繋ぐ地下鉄線で、「日本橋」「大手町」「高田馬場」など東京都心部や繁華街にもアクセス可能。

もちろん沿線エリアの家賃相場は高騰しており、中野~門前仲町あたりまではワンルーム・1Kの家賃相場が10万円を超えます。東京以外だと異常な数値ですが、東京ならばこれが普通になっているのが恐ろしい。

ですが、東京都内はいくつかの河川でエリアが区切られており、川を一本渡っただけで大きく家賃が下がることがあります。西葛西・葛西エリアは門前仲町エリアから荒川を超えて渡った先にあり、家賃相場は大きく下がって7万円台に突入します。

7万円でも高いと感じるかもしれませんが、現代の東京23区は7万円台が最安クラスに位置する魔境。もちろん、築年数や利便性を犠牲にすれば下げることは可能ですが、筆者の肌感覚としては月額5万円を切ると風呂トイレなどが共用になる物件も増えてくるため、安全性などを気にする大学生としては、やはり6~7万のラインは切りたくないところ。

都心部では7万円だとロクに住める家も見つかりませんので、次点で「都心にアクセスしやすい準都心エリア」を探すことになります。

葛西・西葛西エリアはこれら条件を満たしており、大きな駅ビルがなかったり、複数路線が開通していなかったりする代わりに、スーパーや飲食店街が広がっており、少し歩けば大きな公園やショッピングモールがあるなど、非常に暮らしやすい割には家賃が7万円台と比較的安く、東西線を使えば東京都心エリアへも1本でアクセスできるとんでもない好立地として近年注目が集まっています。

特に、今回おすすめしたいのは「西葛西」駅周辺。葛西駅より1つ都心部に近い駅ですが、駅周辺にはスーパー・居酒屋・外食チェーン店が立ち並び、徒歩10分の距離にはイオンモールも建っています。さらに、行船公園など自然に触れられる大きな公園もあるうえに、公園内には無料動物園も設置されているので、動物好きな方にはたまらない天国のような場所。駅前からバスに乗れば葛西臨海公園にもアクセスできます。

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ここで気になるのが治安の問題ですが、取材した現役大学生からは「葛西駅の治安は悪いと聞くが、西葛西に住んでいる自分としては気にならない(20代・男性)」との声が上がりました。徐々に人気が高まっており、近年家賃が上昇し続けている「密かな人気エリア」です。

ただし、朝夕の混雑はとんでもない。かつては「日本一混んでいる」と呼ばれた東西線ですが、コロナ後はマシになったといわれる今ですら乗車率は150%を突破しているそう。車内は身動きがほとんどとれないほどパンパンで、ラッシュ時間帯は息もできないほど。遅延することもしょっちゅうですし、先ほどの意見をあげてくれた方も「混みすぎて乗り込めず、泣く泣く1本見逃すのは日常茶飯事」と語ってくれました。

また、地味に困るのが東京駅へのアクセスの悪さ。新幹線に乗り込みたくても、日本橋駅、もしくは大手町で下車して10分ほど歩かないといけません。一応大手町駅から丸の内線に乗り換えれば東京駅に向かえますが、乗り降りの手間を考えると、若干の面倒くささが勝るところ。

山手線へも高田馬場駅から乗り換え可能ですが、逆を言えば高田馬場まで行かないといけません。さらに、池袋エリアへは一応乗り換え1回で行けるものの、馬場まで乗ると微妙に遠回りでありつつ、飯田橋で有楽町線に乗り換えると、駅構造の問題で駅内を数百メートル歩くことになり、やはり取り回しが悪い。

「都心へのアクセスが良い!」と語られる東西線沿線部ですが、門前仲町~大手町のオフィス街に用がある学生はそう多くありません。早稲田や中野、総武線直通列車で行ける三鷹エリアに大学があるならばお勧めですが、それ以外だと、東西線の不便な面ばかりに悩まされてしまう危険もあります。

東京メトロ千代田線「綾瀬」駅

次に紹介するのは、東京の城東エリアから東京メトロ千代田線の「綾瀬」駅。千代田線は「北綾瀬」駅から「代々木上原」駅まで東京の東西を結ぶ路線であり、しかも綾瀬駅からは常磐線直通として柏・取手・我孫子方面へ、代々木上原からは小田急線直通として成城学園前・唐木田方面へそれぞれアクセス可能と、非常に拡張性の高い区間でもあります。

気になる家賃は破格の6万円台が相場と、とびぬけて安い。沿線には東京大学明治大学など名門も多く、意外と地方から上京した東大生なども候補にしがちな区域。実際に、話を聞いた大学生・大学院生からは「検討した」「実際に住んだことがある」など声が上がり、大学生に人気のエリアなんです。

足立区といえば、まずは治安の悪さが気になる方もいらっしゃるでしょうが、ここ20年で急激に改善していることをご存じでしょうか? 2001年には約17,000件と最悪レベルだった犯罪件数(刑法犯認知件数)でしたが、2021年には約3000件と大幅に下落しています。これは東京都平均とほぼ同等であり、かつてあった「極悪都市・足立区綾瀬」のイメージは徐々に払拭されつつあるのです。

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また、足立区は最近非常に再開発が進んでいる地域でもあり、綾瀬駅前にはタワーマンションが建ち、北綾瀬駅前には三井ショッピングモール「ららテラス」が開業されるなど、どんどん暮らし向きは改善されています。駅前には、スーパー・居酒屋・外食チェーンが並び、派手なお店こそないものの、一人暮らしの日常には欠かせないラインナップが勢ぞろいしており、少し歩けば閑静な住宅街が広がるため、喧騒から離れて暮らしたい方にもピッタリでしょう。

それに、隣の亀有駅にはアリオ亀有が、逆隣の北千住駅にはマルイ・ルミネが入っており、大型ショッピングモールへのアクセスも非常に良いのも特徴。「ちょっとそこまで買い物に」のテンションで、一駅行けば映画館・劇場付きの大型モールへ立ち寄れるため、雨の日の休日も予定が立てやすい

千代田線沿線だと、根津(東京大学)新御茶ノ水(明治大学・東京科学大学など)へアクセスしやすく、西日暮里から山手線に乗り込めば、池袋・新宿エリアにも40分程度で移動可能です。ただし、東京の極東に位置するので、三鷹・調布・多摩エリアへのアクセスに時間がかかるのは難点。

ほかの欠点としては、やはり電車の混雑が挙げられます。常磐線直通電車は千葉方面から都心部へ出勤・通学する人々の需要が高く、やはり身動きが取れないほどすし詰め状態で乗り込まなくてはなりません。ただし、綾瀬・北綾瀬にはそれぞれ始発ダイヤが設定されており、これに乗れれば、座って移動することも可能。多少駅で待つ必要はありますが、慣れれば問題ないでしょう。

足立区・荒川区・葛飾区などは東京の下町エリアであり、間違っても高級感に溢れたキラキラなエリアではないことも念頭に置いたほうがいいかもしれません。表参道や赤坂といったファッショナブルな地域へ一本でアクセス可能な反面、綾瀬は非常に落ち着いた昔ながらの下町地域であり、よく言えば人情味のある、悪く言えば垢ぬけず雑多な雰囲気がまだまだ漂っています。曲がりなりにも23区内なので、全国的に見れば非常に発展したエリアではありますが、渋谷新宿など都心部の繁華街や、日本橋など高層ビルが立ち並ぶイメージをもってやってくると、拍子抜けするかもしれません。

現実的な選択を

東京は公共交通機関が発達していますが、その分人通りも多く、乗り換え自体がストレスになりやすい。「どれだけ乗り換え回数を減らせるか」「どれだけピーク時間帯を避けて移動できるか」が検討基準となり、そういった意味で始発・終着駅は非常に高い価値を持ちます。

一方で、大学は東京都心部に集中していることも多く、都心を通る路線の沿線部は通勤需要の高さから、家賃が跳ね上がりやすい。電車で30分程度の距離まで離れれば安心できるかもしれませんが、今度は遅延や運休に悩まされるようになります。

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先ほど紹介した西葛西・北綾瀬ですが、両方とも路線は1本しか通っていません。そして、両駅ともに「都心から見て荒川の向こう側」という特徴を持っている。これは、「東西線・千代田線が運休した場合、あっという間に身動きが取れなくなってしまう」ことを表しており、リスクを抱えるが故の安さなのです。

かといって、都心部に居を構えると、居住コストは1.5~2倍以上に跳ね上がる。同じワンルームでも、綾瀬なら6万円台からありますが、新御茶ノ水駅周辺では13万以上出さないとまともな物件には住めません。

年間支出は72万円から156万円まで急上昇しますから、「都心に住む」選択は「年間80万~のコストを払ってでも、利便性と移動手段を購入したいか?」を問われているのと同義になります。仮に綾瀬から隣接するターミナル駅の北千住までタクシーで移動すると3,000円程度かかりますが、年300回近くタクシーを使わなければ、運休回避代としての80万のもとは取れません。つまり、現実的ではない。

80万の中には交通の利便性以上の理由がこめられるべきであり、少なくとも「都心の方が便利そうだから」という理由で都心部を選ぼうとしているならば、避けたほうが無難でしょう。もし家選びで迷ってしまうようならば、「大学生活に本当に必要なのは何か」をもう一度話し合ってもいいのかもしれません。