1. はじめに

本レポートは、2026年度慶應義塾大学入試における「学校推薦型選抜」および「総合型選抜」の合格者数を高校別に集計したものです。一般選抜の結果は含まれていません。

なお、慶應義塾高等学校、慶應義塾女子高等学校、慶應義塾湘南藤沢高等部などの附属校からの内部進学は本ランキングの集計対象外としています。数値は2026年度入試の速報値に基づきます。

2. 総合ランキング表(1位〜8位)

順位

学校名

所在地

合格者数

🥇1位

東洋英和女学院高等部

東京都港区

18名

🥈2位

聖心女子学院高等科

東京都港区

14名

🥈2位

立教女学院

東京都杉並区

14名

🥈2位

横浜共立学園

神奈川県横浜市

14名

5位

横浜雙葉

神奈川県横浜市

13名

6位

雙葉

東京都

12名

7位

桐蔭学園

神奈川県

11名

8位
(5校同着)

国際高校

東京都

10名

三田国際科学学園

東京都世田谷区

10名

法政大学国際

神奈川県

10名

日本女子大学附属

神奈川県川崎市

10名

湘南白百合学園

神奈川県藤沢市

10名

3. 各校詳細解説

🥇1位:東洋英和女学院高等部(18名)

  • 所在地:東京都港区六本木5-14-40
  • 創立:1884年(明治17年)
  • 宗教:プロテスタント(メソジスト)
  • 校訓:敬神奉仕
  • データ:卒業生数181名(2025年3月)。慶應義塾大学への全合格者数は27名(うち推薦・総合型が18名)。
  • 特徴:六本木に位置する伝統あるミッションスクール。英語教育に定評があり、推薦・総合型選抜での慶應合格率は卒業生比で約9.9%に達します。

🥈2位(同着):聖心女子学院高等科(14名)

  • 所在地:東京都港区白金台
  • 創立:1908年(明治41年)
  • 宗教:カトリック(聖心会)
  • データ:慶應合格14名の学部内訳は、文学部3・法学部6・総合政策1・理工1・環境情報1・看護医療2となっています。
  • 特徴:世界的なネットワークを持つカトリック女子校であり、一人ひとりを大切にする全人教育が行われています。

🥈2位(同着):立教女学院(14名)

  • 所在地:東京都杉並区久我山4-29-60
  • 創立:1877年(明治10年)
  • 宗教:プロテスタント(聖公会)
  • データ:立教大学への内部進学率は約59%。2025年の慶應全合格者数は22名で、そのうち14名が推薦・総合型選抜による合格です。
  • 特徴:学部別内訳(全選抜)は、法9・商5・文1・経済1・総合政策3・環境情報1・理工2と、法学部への進学が目立ちます。

🥈2位(同着):横浜共立学園(14名)

  • 所在地:神奈川県横浜市
  • 創立:1871年(明治4年)
  • 宗教:プロテスタント(米国改革派教会)
  • 校訓:地の塩、世の光
  • データ:2025年3月の卒業生数は170名。慶應全合格者は26名。指定校推薦枠として法1・商2・経済1・理工4(計8枠)を有しています。

5位:横浜雙葉(13名)

  • 所在地:神奈川県横浜市中区山手町88番地
  • 創立:1872年(明治5年)
  • 宗教:カトリック(サレジオ修道会)
  • 特徴:横浜山手の丘に位置するカトリック校。1872年創立の非常に長い歴史を持ち、堅実な教育で知られます。

6位:雙葉(東京・四ツ谷)(12名)

  • 所在地:東京都
  • 宗教:カトリック
  • データ:2025年3月卒業生数173名。慶應全合格者数は52名(うち推薦・総合型が12名)。同年の東京大学合格者数は15名です。
  • 特徴:女子御三家の一つとして知られ、高い学力水準とカトリック精神に基づく教育を両立しています。

7位:桐蔭学園(11名)

  • 所在地:神奈川県
  • 共学化:2019年
  • 特徴:2015年にアクティブラーニング型授業を導入し、探究学習などの革新的な教育手法を積極的に取り入れています。

8位(5校同着・各10名)

国際高校(東京都立)

  • 所在地:東京都
  • 特徴:公立の共学校であり、国際教育に重点を置いています。

三田国際科学学園

  • 所在地:東京都世田谷区用賀2-16-1
  • 創立・変遷:1902年創立(旧・戸板学園)。2015年に「三田国際学園」へ改称し共学化。2025年4月より「三田国際科学学園」へ改称。
  • 特徴:PhDを持つ教員が6名在籍するなど、理数・国際教育に特化した教育環境を整えています。

法政大学国際

  • 所在地:神奈川県
  • 特徴:法政大学の附属・系属校でありながら、他大学への進学サポートも充実しています。

日本女子大学附属

  • 所在地:神奈川県川崎市多摩区西生田1-1-1
  • データ:日本女子大学への内部進学率は約75%(2024年度実績:卒業生365名中271名)。慶應の指定校推薦枠として理工4名・商1名を有しています。

湘南白百合学園

  • 所在地:神奈川県藤沢市
  • 創立:1936年
  • 宗教:カトリック(サレジア修道女会)
  • 校訓:従順・勤勉・愛徳
  • データ:2025年の慶應全合格者数は19名(医1・環境情報1・経済1・商1・総合政策1・文3・法3・薬4・理工4)。2021年よりUPAA(海外協定大学推薦制度)に加盟しています。

4. 上位校の共通点分析

慶應義塾大学の推薦・総合型選抜で合格者を多数輩出する高校には、どのような共通点があるのでしょうか。今回のランキングを詳しく見ていくと、いくつかの顕著な特徴が浮かび上がってきます。

まず注目すべきは、私立女子校の圧倒的な強さです。8位の都立国際高校を除くと、ランクインしたすべての学校が私立であり、しかもその大半が女子校となっています。なぜ女子校がこれほど強いのか?それを考えるとき、このランキングの多くが「キリスト教系学校である」ということも考慮する必要があると思います。1位の東洋英和女学院から6位の雙葉まで、上位を占める学校はすべてプロテスタントまたはカトリックのミッションスクールです。「敬神奉仕」「地の塩、世の光」といった校訓に象徴されるように、これらの学校では単なる知識の習得だけでなく、他者への奉仕や社会貢献といった価値観が教育の根幹に据えられています。

歴史の厚みも共通する特徴です。明治時代に創立された伝統校が多く、長年にわたって築いてきた大学との信頼関係が、指定校推薦枠の獲得にもつながっています。横浜共立学園の法・商・経済・理工の8枠や、日本女子大学附属の理工4・商1枠などは、その証左といえるでしょう。

教育内容の面では、英語・国際教育への注力が目立ちます。東洋英和女学院の英語教育、立教女学院の国際理解教育、三田国際科学学園の国際プログラムなど、グローバル人材の育成に力を入れる学校が上位を占めています。慶應義塾大学が求める「世界に通用する人材」像と、これらの学校の教育方針が合致しているのです。

さらに、リベラルアーツ・全人教育という哲学も共通しています。受験テクニックの詰め込みではなく、人間形成を重視する教育方針――これこそが、総合型選抜で求められる「人物評価」「主体性」「多様性」といった資質を育む土壌となっているのではないでしょうか。

最後に、総合型選抜への制度的な適応力があります。慶應義塾大学のFIT入試(法学部)やAO入試(SFC)が求める「学問への意欲」「社会課題への関心」「自ら考え発信する力」を育むカリキュラムが、これらの学校では着実に整備されています。探究学習、ディスカッション型授業、プレゼンテーション機会の提供――こうした教育実践が、推薦・総合型選抜での実績に直結しているのです。

つまり、慶應義塾大学の推薦・総合型選抜で成功する学校とは、「伝統」「価値観教育」「国際性」「全人教育」「制度対応力」という複数の要素を兼ね備えた学校だといえるでしょう。