推薦型の入試において特に重要視されるのが「なぜその大学・学部を希望しているのか」です。

 大学側としては当然、学習意欲が強い人物を入学させたいと思っています。そのため、どれだけ強く志望理由を並べられるかは合格への鍵となりますよね。

 そしてそれは、具体的でなければなりません。仮に医学部の入学を目指している受験者が、「人を救いたいので医学部に行きたいです」とだけ述べてもあまり説得力はありません。なぜならそれは受験者が受験する特定の大学である必要性がないからです。

 大切なのはその大学、その学部でなければならない理由を述べることなのです。

 今回は、日本女子大学 社会学部 社会福祉学科に合格した人の志望理由書を見て、「この受験者はうちの大学、学部に入って欲しい!」と採点者に思ってもらえるような志望理由書の書き方のポイントをみていきましょう。

  

あなたがどのような理由により日本女子大学の本学科を志望するのか具体的に記入してください。(1000 字前後)  

 私は、難民移民を含む在日外国人の生活を保証して共生社会を実現させたい。この志を達成するために貴学人間社会学部社会福祉学科で専門的知識を身に着けて、公共政策、福祉文化、人間関係などの広い視野から福祉を学びたい。

 1年次には福島浩治教授の国際協力・ボランティア論 の授業で、国民の異文化理解のために国際協力やボランティアのあるべき姿について検討して人権問題を解決に導きたい。内閣府が行った在日外国人に関する人権問題についての世論調査で41.3%が「風習や習慣等の違いが受け入れられない」と回答していた。共生社会実現のために互いの風習や文化等の理解が必要であることから国際協力やボランティア団体が地域で異文化理解を進めていくことが効果的であると考えている。しかし、現状では実現していない。そこで、国際協力やボランティアのあるべき姿、社会関係のあり方を再検討したい。

 2年次には周燕飛教授の労働経済論IIの授業にて労働経済学の理論を基礎から学び、日本が抱えている労働力不足問題を解決に導く方法を模索したい。日本は「超高齢化」国で、総人口に占める6 5歳以上の割合が28.4%となっていることから、若い労働力を必要としている。そこで、移民難民を積極的に受け入れて若い優秀な労働力を獲得することが効果的であると考えられる。実際チリで移民難民をより多く受け入れる政策が行われ、経済成長と生産性が高まった。これを踏まえて先生の下で改革の方向性を理解し、経済学も用いて労働問題を合理的に考え解決法を模索したい。

 3、4年次には沈潔教授のゼミに入会し、国際社会福祉の基礎理論を学んでから卒業研究を行いたい。先生は日本の社会保障制度や海外保証制度などの知見をお持ちのため、移民難民を含めた在日外国人が抱える問題とその支援制度についての研究を行いたい。在日外国人が抱える社会保障制度に対する問題解決と支援に取り組んで共生社会を実現させたい。

 課外活動として、高校時代に設立したNGO団体をNPO法人化して在日外国人が抱える教育問題、労働問題の解決をサポートしたい。解決に導くには法や制度、政策の理解はもちろん、解決の為の専門知識が必要である。これらを総合的に学習する事ができる、貴学人間社会学部社会福祉学科での学びが必要不可欠である。貴学での学びから、難民移民問題という現代社会が抱える問題解決にむけてフレキシブルな感性を身に着けたい。卒業後は日本人女性代表として共生社会を目指し、難民を含めた在日外国人が抱える生活での問題を解決に導く人材になることを目指している。以上により私は貴学を強く志望している。(1090文字)

◯ポイント1:学習や行動の計画を具体的に書く。

  大学の志望理由書において最も差別化しやすい方法は「具体的に書く」ということです。

 他の志願者とは異なりつつも、説得力のある文章を書くことができれば推薦入試の合格はぐっと近づきます。そのように考えた場合、具体的に物事を書けば書くほど他の人とは内容がかぶりにくくなり、説得力を増すのは自明でしょう。

 その観点でこの志望理由書をみてみると、入学後のビジョンが非常に明確に書かれていることがわかります。

 学年ごとに受講する授業を定め、さらにはどのような課外活動を行うかまで記されています。

 そしてその全ての行動が、「難民移民を含む在日外国人の生活を保証して共生社会を実現させる」という一文目で掲げた夢に向かった行動になっています。

 さらにどういった授業を受けたいかについては、教授や授業の名前まで明記されており、よく学校のことを調べていることもアピールできています。

◯ポイント2:解決したい社会問題への深い知識

 この志望理由書を読むと、志願者が自身の解決したい問題について深い理解と知識を持っているような印象を受けます。

 なぜそのような印象を持たれるのかを具体的に考えてみます。

 一つにデータを根拠にして文章を書いているという点が挙げられます。

 『内閣府が行った在日外国人に関する人権問題についての世論調査で41.3%が「風習や習慣等の違いが受け入れられない」と回答していた。』などのように「内閣府の調査」や「41.3%」といった具体的な情報は志願者の専門性をアピールするキーワードとなっています。

 また、そのデータから何が言えるのか、そしてそれに対しての自分の起こすべき行動まで書いており、根拠を持って行動計画を立てていることが伺えます。

 このように根拠に基づいて理論的に書かれた文章を読むと、採点者側としては「口先だけでなく本当にその社会問題を解決したいんだろうな」という印象を受けると考えられるでしょう。

◯ポイント3:全ての段落に起承転結を!

 この志望理由書のもう一つの特徴として論理構成が明確なことが挙げられます。

 この志願者の論理構成は基本的に以下のようになっています。

  1. 〇〇を実現したい
  2. 1を実現させるために〇〇を学びたい。
  3. なぜなら〇〇だからだ。

    何か実現したいことがあり、その理由、そしてそれを実現するための方法までしっかりと書かれています。

    まるで科学のレポートのようなしっかりとした構成になっていますね!

 具体的な文章を見てみます。先ほどの構成に則って1年時にしたいことについて書かれた段落を分析すると以下のようになっています。

  1. 人権問題解決を実現したい
  2. 1.を実現させるために、「福島浩治教授の国際協力・ボランティア論」を学びたい。
  3. なぜなら「共生社会実現のために互いの風習や文化等の理解が必要であることから国際協力やボランティア団体が地域で異文化理解を進めていくことが効果的である」からだ

 このように明確な起承転結をもって文章を書いているため、なぜそれをしたいかが非常にわかりやすくなっているのです。

 いかがだったでしょうか?「なんとなくその大学に入学したいです!」といっても採点者の心には響くことはありません。大事なのは具体的に何をしたいかを明確にすることなのです。