今年2025年の東北大学の国語の入試問題では、「現代思想2024年3月号 特集=人生の意味の哲学」の中の一節である松井哲也氏の「AIの手を掴むくらいなら溺れて死ぬ」から引用された入試問題が出題されました。そしてその内容が非常に面白く、ネット上で大きな話題になりました。

 まず、その冒頭がこちらです。

東北大学 第一問 冒頭

「得意な事があった事 今じゃもう忘れてるのは

それを自分より 得意な誰かが居たから」

BUMP OF CHICKENの『才悩人応援歌』は、このような歌い出しで始まる。

 まさか東北大学の入試問題で、BUMP OF CHICKENが引用されるとは!?と言う感じです。しかも才悩人応援歌。もちろん名曲ですが、「カルマ」とか「天体観測」ではなく、まさかのこれか!?という感じですね。そして、その後にも驚くべき記述が続きます。

東北大学 第一問 該当箇所

 ゲーム「アイドルマスターシャイニーカラーズ」(以下「シャニマス」)の登場人物の一人である樋口円香は、常に幼馴染(おさななじみ)である浅倉透(あさくらとおる)との関係性を通じて自分を位置づけるという宿命を背負ったキャラクターとして描かれている。

 作中で、透はカリスマ性を備えたある種の「天才」であり、俗人から見れば「異類」として描かれており、周囲の人間からもそのように評価されている。そのような中で、円香だけは「透にできることで、私にできないことはない」と言って、その異類性を否定する。この言葉は、一見すると、円香自身も決して異類にはなれないという自己評価に他ならないように見える。

 透と円香の関係は、表面的にはAI(それを自分より得意な誰か)と人間(私)との相剋のようにも読める。しかし、円香の態度は、実はこのような相剋をそもそも無効化しようとしている。円香はシャニマスのプレイヤー間で最も人気のあるキャラクターであるが、それは円香を通じて描かれている問題が、極めて現代的で普遍的であるからに他ならないだろう。ロボット・人工知能と人間とのインタラクションを研究対象としている情報工学者である私は、この極口円香の態度の中に、AIと向き合った時の人間の生き方のヒントを読み取りたいと思う。

 「シャニマス!?」「樋口円香!?」という驚きがありますね。まさか、アイドルマスターシャイニーカラーズのキャラクターの関係性が掘り下げられて国公立大学の入試問題になるなんて、と。

 その上、ここではしれっと、「円香はシャニマスのプレイヤー間で最も人気のあるキャラクターであるが、」と書かれています。

 「シャニマスのプレイヤー間で最も人気のあるキャラクター」!?

 いや、確かに大人気ですよ!?SNSでもPixivでもファンアートがめちゃくちゃ多いし!でも一番人気って言っていいのかなあ!?それ、シャニマスの他の推しキャラがいるオタクから怒られないの!?とツッコみたくなってしまいますね。

 もちろん、東北大学が「シャニマスで一番人気は樋口円香!」と言っているわけではありません。え?この記事のタイトルはなんだって?それは見なかったことにしてください。

 でも、こんな問題を引用している以上、東北大学には強烈な樋口円香推しがいるのかもしれない……なんて妄想してしまいますね。

 「みんなのランキング」というサイトでは、円香は3位になっています。3位なので、とても人気があるのはもちろんわかるのですが、「最も人気がある」という言葉の客観的根拠は!?と考えてしまいます。

 この文章を書いた松井先生は、非常に優秀な先生で、香川大学で教鞭をふるっていらっしゃいますが、それはそれとしてオタクで、ご自身のnoteでアイドルについてしっかりと考察をされています。ちなみにリンクをつけていますが、ガチすぎて若干引くレベルで深い考察をされています

 ちなみに、樋口円香を知らない人のために説明すると、プロデューサーである主人公が感謝祭で円香にお手伝いを依頼するとき、他のアイドルからは「わかりました!」「任せて!」みたいな返答が返ってくる中で、一人だけ、

 と言った人物です。(ちなみに、こう回答しているにもかかわらず、なぜかイベントとしては進行し、手伝ってくれる)

 え?説明になっていない?すいません、こういうキャラクターなんです。

 さて、それは置いておいて、東北大学の入試以外でも、サブカルについて触れられていた入試問題は他にもいくつかあります。この記事では、過去に引用されたびっくりな問題について触れたいと思います。

1 リカちゃんと「やおい」文化 2016年のセンター試験国語第1問

 まずは2016年のセンター試験国語第1問です。ここでは「リカちゃん」が題材になっていて、「やおい」という言葉も登場しています。

1 着せ替え人形のリカちゃんは、一九六七年の初代から現在の四代目に至るまで、世代を超えて人気のある国民的キャラクターです。その累計出荷数は五千万体を超えるそうですから、まさに世代を越えた国民的アイドルといえるでしょう。しかし、時代の推移とともに、そこには変化も見受けられるようです。かつてのリカちゃんは、子どもたちにとって憧れの生活スタイルを演じてくれるイメージ・キャラクターでした。彼女の父親や母親の職業、兄弟姉妹の有無など、その家庭環境についても発売元のタカラトミーが情報を提供し、設定されたその物語の枠組のなかで、子どもたちは「ごっこ遊び」を楽しんだものでした。

2 しかし、平成に入ってからのリカちゃんは、その物語の枠組から徐々に解放され、現在はミニーマウスやポストベットなどの別キャラクターを演じるようにもなっています。自身がキャラクターであるはずのリカちゃんが、まったく別のキャラクターになりきるのです。これは、評論家の伊藤剛さんによる整理にしたがうなら、特定の物語を背後に背負ったキャラクターから、その略語としての意味から脱却して、どんな物語にも転用可能なプロトタイプを示す言葉となったキャラへと、リカちゃんの捉えられ方が変容していることを示しています。

3 物語から独立して存在するキャラは、「やおい」などの二次創作と呼ばれる諸作品のなかにも多く見受けられます。その作者たちは、一次作品からキャラクターだけを取り出して、当初の作品のストーリーとはかけ離れた独自の文脈のなかで自由に操ってみせます。しかし、どんなストーリーのなかに置かれても、あらかじめそのキャラに備わった特徴は変わりません。たとえば、いくらミニーマウスに変身しても、リカちゃんはリカちゃんであるのと同じことです。

出典:土井隆義 キャラ化する/される子どもたち 排除型社会における新たな人間像

 リカちゃんやミッキーマウスなどのサブカルチャーの変遷が語られていますね。このように、真面目にそのカルチャーが一体どうして盛り上がっていき、どのような受容のされ方をしているのか、その変化とは何かについて語られています。

2 妖怪ウォッチが絵で登場!?2017年のセンター試験日本史A

 次に、2017年のセンター試験日本史Aの問題です。ここでは、あの人気ゲーム「妖怪ウォッチ」のキャラクターが登場しています。登場しているというか、もう画像ごと使われてそれが問題になっています。こちらをご覧ください。

 ロボニャン!画像まで載ってるのかよ!!!とツッコみたくなってしまいますね。

3 ハリーポッターと英語の並び替え 2008年 青山学院大学英語

 最後は、2008年の青山学院大学の英語の問題。総合文化政策(総合文化政策),社会情報(社会情報,社会情報,社会情報)の問題です。

 「ハリー・ポッターは何が起きたのか、次に何が起きるのかと思った。」「ハリー・ポッターは学校のことが恋しくて、おなかの痛くなるような気分だった。」と書いてありますね。ハリーポッターを読み込んでいる人であれば、簡単に答えることができた問題……というわけではないでしょうが、面白いですね。

 いかがでしょうか?クスッと笑える面白い問題でしたね。ぜひみなさんも探してみてください!もし見つけたら、編集部までご連絡を!