みなさんは、どんな習い事をしていましたか? 大人も子どもも様々な教室に通う現代。何もやったことがない人のほうが珍しいかもしれません。
私自身も、貧乏ながら、公営のプールや警察の柔道など、安価で済む習い事を多々経験させてもらいました。これらは残念ながら私の気質には合いませんでしたが、「合わない」とわかっただけ収穫だったのでしょう。
子どもの習い事といえば「プール」「ピアノ」「野球」「サッカー」「英会話」あたりが定番なのでは。逆を言えば、これら以外の習い事については、あまり情報が回ってこないのが実情。周囲の子がやっていない習い事に手を出すのは、金銭的にも心情的にも勇気がいりますが、意外とそれが人生の転機になったり、自己発見につながったりすることもあります。
今回は幼少期に5年間ローラースケートを習っていたヤキライさん(仮名)からお話を伺います。
“情報の少ない習い事”との出会い
__なぜローラースケートを習い始めたんですか?
ヤキライ:もともと姉がやっていたところを、親から「やる?」って言われたから始めました。当時は家の近くにスケートパークがあって、そこでスケート教室が毎月1回だけ開かれていたんですね。スマートフォンどころか、インターネットもまだ立ち上がったばかりの時代でしたから、きっとママ友とか、地元の広報誌から見つけてきたのではないでしょうか。先生はもともとスピードスケートをやっていたらしいアマチュアの方で、そんなに堅苦しい教室ではありません。参加費とかもなくて、保険料の500円だけ払えば参加できました。同じ小学校の子はいませんでしたが、地元の子ばかり、20人くらいは参加していたのではないでしょうか。
__なかなか珍しい習い事ですよね。
ヤキライ:そうですね、ただ友達に自分から「ローラースケートやってる」という機会もなかったので、別に白い目で見られることもありませんでした。小学校で、区立のスポーツ施設に行ってアイススケートを体験した時に「なんでそんなに滑れるの!?」って驚かれたことはありましたが。とても楽しかったので、やめたいとは全く思いませんでしたね。日曜日の午前中にあるこのレッスンを毎月楽しみにしていたのを覚えています。
“みんなと違う”は、誇りだった
__みんながやっていないことで、疎外感を抱くことはありませんでしたか?
ヤキライ:全くありませんでしたね。昔から、みんながやっていないことに対して、強い興味があったんです。みんながやっていることって、大体「何をどうしたら、どうなるか」が見えてしまうじゃないですか。結果が予想できているのに挑戦しても、やっぱりわかり切った結果が返ってくる。それだと、つまらないと感じてしまうんです。誰もやっていないことなら、どうなるかわからない。ローラースケートだって、どうやって走るんだろうか、走ったらどんな気持ちになるんだろうかって、なかなか想像できないものでした。躊躇いよりも好奇心のほうが強かったので、始めるのに迷いは出ませんでした。
みんながやっていないことだと、ほかにもトランペットを個人の習い事として習っていました。吹けたらカッコいいかなぁ、程度の軽い理由でしたが、ピアノ以外の楽器を個人的に習うってあまり聞きませんよね。私は吹奏楽部でもなかったので、本当に珍しいタイプだったと思います。
それに、中学受験を志したのも、同じ理由です。このまま地元の子たちと地元の中学に入ったら、きっと交友関係は大して広がりません。中学受験で学区域外に飛び出せば、もっといろいろな人と出会えるでしょう。
トランペット、中学受験…好奇心が進路を選ぶ
__だいぶ珍しいことをされているようですが、親御さんとはどのように考えられていたのでしょうか?
ヤキライ:うちは、父親に最終的な決裁権があって、彼にうんと言わせれば、習い事でもおねだりでも何でも通りました。逆を言えば、許可を出させる熱量が必要でした。だから、何かやりたいことやほしいものができるたびに、父に頷かせるためのプレゼンを実施していました。大人を説得する話術を日常生活の中で磨いていたものですから、自然と口も達者になり、大人になった今でも役に立っています。対人関係で苦労することがあまりないので、友達を作るのもうまいし、新しい環境になじむのも早いんです。
レールの外にあった“おもしろさ”
__「人と違うこと」を心掛けられていたようですが、何か良いことはありましたか?
ヤキライ:一回人と違うことをやり始めると、どんどん連鎖していくんです。中学受験をしたから、中高一貫校に入れて、そのおかげで高校受験をしなかった。「普通の暮らし」に近い選択をしたら、逆に「普通」な選択肢が連鎖して、レールから外れにくくなっていくのでしょう。違う方向性だからよいとか、同じ方向性だから悪いとかではありません。ただ、私の場合は「面白い」と感じることが、レールの外側にあっただけ。もしも自分の興味が、世間一般から外れた場所にあるならば、勇気をもって最初の一歩を踏み出してみることが、何よりも重要なのではないでしょうか。





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