今回は「日本女子大学 人間社会学部 社会福祉学科」に提出された志望理由書の一部を紹介したいと思います。

 今回抜粋するのは、「自己アピール」に関する項目です。「実績やエピソードはあるけれど、どうすれば効果的にアピールできるか分からない」「自分の強みを押し出す書き方が難しい」という受験生は非常に多いです。

 せっかく様々な実績を積んでいたとしても、それを志望理由書で適切にアピールしなければ、学校側にはうまく伝わりません。単に実績を列挙するだけでは、印象に残りにくいのです。

 では、先輩方はどのように工夫していたのでしょうか?実際の志望理由書を見てみましょう。

日本女子大学 人間社会学部 社会福祉学科 総合型選抜

主体性・多様性・協働性を意識して取り組んだ経験について(自己アピール)
今までに学校の内外で、主体性・多様性・協働性を意識して取り組んだことを取り上げ、その内容とそれをとおして学んだことについて具体的に記入してください。(1000 字前後)

 私は高校時代に難民、移民や在日外国人が生活する上で抱える労働と教育問題の解決策を導くため、主に三つの活動を行ってきた。

 まず一つ目の活動として、オンラインを活用して全国の高校生と協力し、NGO団体ルミチャーを代表として立ち上げた。そこで現代社会が抱える問題について学生が議論を行うイベントを開催した。参加者は計100名を超えて、英語でのイベントにはマレーシア、フィリピン、シンガポール、モロッコ、フランス、インド、香港からの参加者が集まった。議論を通じてコロナ禍であっても国境を越えて繋がることが出来た。そして難民移民や在日外国人が抱える問題に関心を持った。しかし、実際に行動しなければ社会の現状は変わらないことを知った。

 二つ目の活動は、移民難民を含めた在日外国人が抱える悩みを聞きサポートして、在日外国人を取り巻く劣悪な労働環境を知った。厚生労働省の在日外国人に対する監督指導の状況によると、労働基準関連法令に違反していた企業は約70%を上るとされている。特に労働時間の違反事例が最も多く確認されていた。実際に悩みを聞いた難民のアウンティンさんと 移民のアリさんは過去に工場で1日に十時間以上の労働を強いられていた。これは労働基準法で定められている1日8時間の労働時間を超えている。これらを改善しようと活動しているのは主にNPOやNGOといった民間団体である。活動から難民移民の生活の現状や、劣悪な労働環境について知ったことで民間団体の必要性を学んだ。

 国内だけではなく三つ目の活動ではマレーシアの難民学校にオンライン上での教育支援活動を開始した。活動はBSフジテレビや、日本テレビに取り上げられて代表として取材を受けた。代表として主体的となって行動したこの経験を世間に伝えるべく松下政経塾主催のスピーチコンテストで倍率24倍を突破して全国大会へ出場した。これを機に、社会に価値を生み出す支援に力を入れたいと思った。

 これらの活動から難民移民、在日外国人が生活する上で抱える問題について学ぶことが出来た。コロナの時代であっても諦めずに自分が今出来ることを模索して実行する、行動力を得た。一方で問題解決するには、在日外国人の社会保障制度、日本の難民移民の受け入れ政策や労働法などについての専門的な知識が必要になる。国際社会福祉制度について学び、難民移民を含めた在日外国人が自立した生活を送れるような支援を行いたい。私はこれらの知識を身に着けて、将来NPO法人の代表として移民難民問題を解決し、生活の支援を続けて共生社会を実現させたいと強く思った。(1069文字)

ポイント1 最初に「全部でいくつ話すか」を明示しよう 

 この志望理由書では、まず冒頭で「私は高校時代に難民、移民や在日外国人が生活する上で抱える労働と教育問題の解決策を導くため、主に三つの活動を行ってきた。」と、これから3つの活動の話をするんだ、という前置きから話を始めています。

 この志望理由書のように、数字を使って「これからいくつの項目の話をするのか」を最初に示してあげることで、読み手にとっては話の全体像がつかみやすくなります。

 特に、今回のように「難民、移民や在日外国人が生活する上で抱える労働と教育問題」という複雑なテーマについての取り組みである場合、それぞれの活動がこのテーマに対してどういう位置付けにあるのかを考えながら読むので、読んでいるうちに話全体の流れが追いにくくなってしまいます。そんなとき、最初に「これから3つの活動について話をしますよ」とガイドがあるだけで、読み手の中で「これは2つ目の活動」「ここから別の話だな」と整理しやすくなり、「読みやすい文章だった」と高評価につながるのです。

ポイント2 単なる出来事で終わらせず、「そこから学んだこと」を書こう 

 自分の実績やエピソードについて書いたはいいものの、その話をどう締めたらいいのかわからない…という悩みを持つ受験生は多いものです。

 今回の志望理由書は、そこをとても上手に書いています。特に、二つ目の活動の最後は、「活動を通じて難民や移民の生活の現状、特に劣悪な労働環境について知り、民間団体の必要性を学んだ」という一文で締められています。ただ「活動を行った」ことを述べるだけではなく、そこから得た学びや気づきを具体的に示している点で、非常に優れた話の締め方だと言えます。 

 「活動の結果、どのように成長したのか」「将来の進路や学びにどのように活かそうとしているのか」を示すと、単なるエピソードが深みを増し、志望理由やイメージした将来像に説得力を持たせてくれます。例えば今回の志望理由書では、「民間団体の必要性に気づいた」という学びを踏まえて、自分が社会に対してどのように貢献していきたいかを語っています。自分が経験から何を学んだのか、どう成長したのか、それが将来のビジョンにどう繋がってくるのか、というような点を明確に書くことで、語り口に説得力を持たせることができます。

ポイント3 いいことばかり書くのではなく、課題を感じたことも書こう 

 エピソードの締めで学んだこと・成長したことを書くことも大切ですが、必ずしもいいことばかり書けばいいというものでもありません。今回の志望理由書では、一つ目の項目の最後が、「実際に行動しなければ社会の現状は変わらないことを知った」という課題意識で締められています。 

 このように、志望理由書では成功体験ばかりを並べるのではなく、活動を通じて感じた課題や難しさを具体的に述べることも重要です。なぜなら、大学側が受験生に求めることとして、ただ経験したことに満足するのではなく「社会の現実に対する深い問題意識を持ち、それを克服するために行動する力があるか」を重視している場合が多いからです。 

 「行動しなければ社会の現状は変わらない」という記述は、ただ理想論を語るだけではなく、現実の難しさをちゃんと認識したうえで学んで活動していきたいという真摯な態度を大学に示しているポイントです。さらに、「行動しなければ」という意識は受験生自身がこれから社会に対して行動していく原動力にも繋がってくるので、本気度のアピールになもなっています。

 いかがでしょうか?

 以上の3ポイントを踏まえて、自分の実績・エピソード・経験してきたことを印象的に伝えられるような「自己アピール」を書けるようになりましょう!

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