本日から、書籍「東大理Ⅲ 合格の秘訣」の中身を引用し、今年東京大学理科3類に合格した人がどのように勉強をしていたのかについて、記事を掲載していきます。

 第一回目は、「宮地晃太朗(みやち こうたろう)」さん。1浪のあと、奈良県立医科大に進学しつつも、大学に行きながら受験勉強を続け、今年東大理Ⅲに合格した彼の人生を追っていきましょう。

臨床医になりたい★★☆☆☆ 

研究医になりたい☆☆☆☆☆ 

医者以外の道もあり★★★☆☆

私立ラ・サール高校卒 再受験

 現役時

 共通テスト 813点

 前期 東大理Ⅲ ×

 1浪時

 共通テスト 835点

 前期 東大理Ⅲ ×

 後期 東京医科歯科大 ×

    奈良県立医科大学(二次募集) ○

 合格時

 共通テスト 953点

 前期 東大理Ⅲ ○

 後期 一橋大学経済学部(出願)

得意科目 英語

不得意科目 数学

 

「ハーバードってすごいの?」

 1浪のあと、奈良県立医科大に進学。大学に行きながら受験勉強を続け、今年東大理Ⅲに合格しました。そこまでこだわったのは、小さい時から理Ⅲに行きたいと思っていたことも大きいですね。

 出身は大分県なのですが、小5くらいの時、大分県からハーバード大学に進んだ人を取り上げていたローカル番組を見て、「ハーバードってすごいの?」と親に聞いたら、「ハーバードはすごいよ」と言われるのと同時に、日本のトップは東大理Ⅲだということも親から聞いたのだと思います。それが頭に染み込んで、東大理Ⅲに行きたいと思うようになりました。

 

想定外なラ・サール生

 物事を覚えるのが好きで、小学校の時は中学受験ではあまり必要のない元素周期表を覚えたり、日本国憲法の前文を覚えたりしていました。

 中学受験の時は、「かず家」という地元の塾で小3の秋から勉強しました。灘を目指して勉強したのですが、灘は不合格で、ラ・サールと久留米大附設は合格。ラ・サールに進学しました。

 ラ・サールでは、基本的に中1から寮生活を送ります。夜には自習しなければいけない時間があるのですが、僕はつい居眠りしてしまって、見回りに来た寮の先生に起こされていました。

 大分にいた時は、塾でも学校でも周囲の人はわりとおとなしめだったのですが、ラ・サールでは型にはまらない自由奔放な人が結構いてびっくりしましたね。遠足のたびにリコーダーを持ってきて吹く人とか。登山の時にも持ってきていたのは流石に動揺しましたね(笑)

 部活はバトミントン部で、平日に3時間くらい練習していました。

 

現役時の不合格

 高校の時は体育祭の実行委員を頑張りました。プログラムも生徒の配列も全部生徒が主体で動かすので、夜9時頃まで活動とはいえ、やりがいがありました。ラ・サールの体育祭では皆金髪にして終わったら丸刈りにするのが伝統。高3の時には応援団の会計係もやりました。

 現役時の受験では、塾には行かず1日10時間くらい勉強していました。この頃、父の転勤の都合で東京へ引っ越しており、夏休みは自習室で朝8時半から夜9時頃まで勉強していました。

 この年の出願は前期が理Ⅲで、後期は受けませんでした。判定はDやCだったのですが、なんだか受かるような気がしていたのです。

 この年は理科と数学の問題がすごく難しくて、皆解けてないだろうな、と思いながら解きました。自分が取れるところを取りきれば受かるな、と思ったのですが、結局点数が足りませんでした。

 70%くらいの確率で受かったと思っていたので、不合格を知った時は結構ショックでしたね。

 

お茶の水の浪人生活

 数学は、「大学への数学」の「学力コンテスト」に応募したり、駿台の友達と、京大の理系数学を解いたりしていました。東大の過去問は現役の時に解いていたし、浪人になってからは直前期に残しておきたかったので、前期はあまり手をつけませんでした。

 英語は週に6コマの授業があって、それを受けるほかはほとんどやっていませんでした。

 物理・化学は駿台のテキストや、学校で現役の時に受けたテストの復習もしていました。

 夏休みは京大の問題を解いていたのですが、1日6時間くらいしか勉強できませんでした。浪人生としては少ない方でしょう。

 東大模試の判定は夏こそ全部Aだったのですその時は現役でトップのところに受かることしか頭になかったので、それが叶わないのならもう大学に行かないで働こうと思っていたんです。ところが、親が「駿台に申し込んでおいたよ」と言うので、渋々駿台のお茶の水3号館に通い始めました。でも駿台で友達ができてからは、すっかりここで頑張ろう、と思うように。

 でも浪人の時は、高校生でも大学生でもない、という身分のなさと、目標に向かって進んでいる実感がなかなか湧いてこなかったこともあって、つらかったですね。勉強していてつらくなったときは、漫画を読んでリフレッシュしていました。

 御茶ノ水3号館に通っていたのは、EX東大理系演習という、東大の理Ⅲなどを目指す人たちが演習をするコースでした。数学の小林隆章先生の授業は答えに至るが、秋は駿台がB、河合がA、そして代ゼミがEでした。代ゼミに関しては判定が厳しいと聞いていたので、あまり気にしないことにしました。

 東大の過去問は秋以降35〜40年分はさかのぼってやりました。共通テストの対策は、共通テストぼけが怖いのでギリギリまでやらないことにして、正月も東大の過去問をやっていました。

 1浪の東大受験の時は、数学と理科が去年より簡単だな、と感じたのに解けず、「ほかの人より遅れた。落ちた」と確信。結局、後期の医科歯科大も落ちてしまい、奈良県立医大で二次募集があったので、受けてみたら合格しました。

 

理Ⅲへのこだわりが捨てられない

 奈良県立医大は出願した時点で受かっても行くか悩んでいたのですが、いざ合格してみると、親の意向もあり、結局入学することにしました。

 けれどやはり理Ⅲへのこだわりが捨てられない。この頃には医学の道に進みたいという気持ちが強くなっていたのですが、それ以外の道も捨てきれなかった。進振りがあり様々な進路を選べる理Ⅲは非常に魅力的だったんです。

 再受験を決めたものの、落ちても奈良県立大に通い続けられるようにはしていました。最低でも全授業の3分の2に出席しないといけないので、それ以上の欠席は避けました。友達もできましたが、理Ⅲ再受験の決意は揺るぎませんでした。仲のいい友達には再受験のことを打ち明けたこともあって、「頑張れよ」と応援してくれました。「一緒に受けない?」と聞いた時は、「俺はいいかな」と断られましたが(笑)。

 奈良県立医大は、滑り止めの後期で受かった人も多く、再受験を考える人はほかにもいました。そういう友達と自宅で模試の過去問を一緒に解いて勉強することも。大学のテストは大学の友達にアドバイスをもらって乗り切りました。

 

日本史は満点ねらい

 仮面浪人をし始めてから数学の点数が安定してきました。駿台では授業を聞くだけで復習が十分できていなかった。浪人中の過去問演習を通してようやく身についてきたのかも知れません。受験の肝はやはり数学だと2年の受験生活で実感したので、数学の演習に注力。模試の過去問を浪人友達と一緒に解いては交換して採点し、彼らの答案から自分に足りないものを学びました。

 理科は現役の時に使った教材で、まだ十分やれていなかったものを使っていました。英語は大学の授業でも触れましたし、中高時代から先生のアドバイスに従って薄い洋書を読んでいたこともあり、ほぼ対策していません。古典は模試の前ごとに見直した程度でした。

 共通テスト対策は基本的にやっていませんが、日本史だけは勉強しました。地理にしなかったのは、以前友達が「地理は覚えることは少ないけど、満点は取りにくい。日本史は覚えることは多いけど、満点は取れる」と話しているのを聞いたからです。勉強中の目標は満点で、実際に今年の共通テストは100点でした。今年から共通テストに増えた情報は、試行問題をもとに勉強しました。

 秋になると学校で実験も始まり帰宅も遅れますが、それでも帰ってから受験勉強を続けました。実験は受験で学んだことをこの目で確かめられるチャンスでもあるので、意識して吸収するようにしていました。

 

大学と受験勉強の両立

 共通テストの後に、大学の試験もあったので、両立が大変でした。成人式もこの時期にあり、本当に忙しかったです。大学のテストが終わったら、東大や模試の過去問を解いて、追い込みを行いました。

 今年の東大模試の判定は、夏が駿台と河合が両方B、秋は駿台がA、代ゼミがBでした。

 今年は判定が去年より上がっていたので自信がありました。1日目の国語は、簡単でしたが採点のブレ次第なので安心はできませんでした。

 数学は、あまりできませんでしたが、周りもできてないだろうし、自分が取れるところは取ったと感じました。完答した問題はなかったのですが、第3問は最後のほうまで解けたので大丈夫だろうという見通しでした。

 理科は物理こそよくできましたが、化学は難しかった。ただ、手ごたえは悪くなかったですね。

 英語は、あまり触れていなかったので1浪目の時より出来が悪いかなと感じましたが、それでもたくさん失点した気はしませんでした。

 

回り道をしてよかった

 2日間の手ごたえでは、合格は五分五分。受験も3回目になると、出来具合から点数をある程度読めるのですが、本当に微妙なところでした。

 発表は奈良に借りていた家で、「大丈夫、大丈夫」とつぶやきつつ見ました。合格と出た時には、ようやく終わったと笑みがこぼれました。

 いまは東大に入って本当に楽しいです。サークルもいっぱいあって、選びがいがあります。いまは料理に凝っていますし、東京のいろんな街を歩いていろんなことを学びたいです。将来は医師だけでなく、官僚の道にも興味があります。

 2年も回り道をしましたが、現役の人にはできない経験を数多くできたので、本当によかったと思います。自分がいかに恵まれているのか気づけましたし、そのおかげで周囲の人に素直に感謝できるようになりました。再受験を許してくれた両親や応援してくれた友人には頭が上がりません。これを読んでいる理Ⅲを目指す人たちも、勉強だけではなくて、時には回り道をしてでもいろんなことを経験してみるといいかもしれませんよ。