「公立高校は、模試の費用は授業料外になるため、保護者負担です。
それに対して、私立高校は模試の費用も授業料に入るため、無償化の対象になります」
これは、実際に大阪府の私立高校の学校説明会で先生が保護者を対象にお話しした内容の一部です。
現在、高校無償化に関しては全国的に大きな議論を呼んでいます。
大阪府教育庁が3月7日発表した「府内公立高校入試一般選抜」の最終出願状況によると、全日制の公立高校128校の平均倍率は、1.02倍。過去最低を記録しています。偏差値61〜68の伝統ある公立高校も倍率が1倍を切り、定員割れを起こしています。
その原因は、私立の高校無償化にあると考えられています。2026年度から、大阪府では世帯年収の制限なく、授業料が無償化することになります。これを受けて、私立に生徒が流れ、公立の定員割れが発生した……というのが、今回の定員割れの原因だと考えられます。
とはいえ、あくまでも「授業料」が無償化するだけで、入学金や制服代・修学旅行積立金などの費用は無償化の対象外となっています。私立の方が家庭の負担が大きい……というのが、今までの通説でした。
しかし現在、私立高校の中には、模試の費用を授業料として換算し、それを無償化の対象としている場合があるということが取材の中でわかりました。この問題について、今回はみなさんにも考えていただきたく、記事を書かせていただきました。
高校無償化とは?
まず、現在の高校無償化の内容について状況を整理します。現在政府は、授業料の一部を助成する「私立高等学校等授業料軽減助成金」を実施しています。ここに、東京都や大阪府を始めとする県では、独自の「授業料支援補助金」を上乗せすることで、授業料の無償化をおこなっています。
特に大阪府はこの高校無償化が手厚く、2026年度からは私立高校授業料完全無償化になり、保護者の授業料負担はなくなるとされており、その影響から「私立の人気・公立の不人気」が発生・今年度のいくつかの公立高校の倍率低下に繋がりました。
この流れは全国的なものになるとされており、2026年4月からは、私立高校を対象に加算されている支援金の上限額の所得制限が撤廃され、年収に関係なく、私立の全国平均の授業料である45万7000円に支援金を引き上げるとしています。それに対して維新の会の提案によれば、『最大年63万円』に引き上げることを要求し、これが通るのではないかと言われています。
完全な無償化ではない
とはいえ、これは「完全な無償化」というわけではありません。私立高校で勉強を受けるためには、授業料以外にも、たくさんのお金が必要になります。入学金や制服代・修学旅行積立金などですね。
特に修学旅行は、お金がかかりますね。日本修学旅行協会の「2018年度実施の国内修学旅行の実態とまとめ(高等学校)」によると、2018年には95%以上の高校が修学旅行を実施しています。修学旅行がない学校なんてほぼないというくらいです。私立となると、海外に行く学校もありますから、かなりの家庭への負担があると言えます。
そのほかに、副教材指定されている参考書を買ったりする必要もありますよね。学校指定の英単語帳があった、という人も多いのではないでしょうか?学用品・実習材料費等もかかります。これらの負担は、私立高校の方が高くなる傾向があります。
ですから、「公立の方が家庭の負担が少ない」ということは変わらない事実として存在している……と、されていました。
模試は私立なら「授業料」!?
しかし、私立高校の中には、模試の費用を授業料として換算し、それを無償化の対象としていることが明らかになりました。全ての学校というわけではありませんが、私立高校の中には模試の費用を授業料の範疇として無償化の対象にしている場合があるのです。この点は、私立高校なら全てというわけではありません。
問題は、冒頭でもお話しした通り、これを推しのポイントとして説明会で話している私立高校があるという事実です。公立高校ではなく私立高校の推しポイントとして、これを話している学校があるのです。
模試は、1回あたり5000円から7000円程度の負担となります。難関大学への受験を考える生徒であれば、高1〜2であれば年間3回程度、高3であれば年間6回程度受ける場合が多いので、合計で平均12回程度は受けることになります。そうなると、大体6万円〜8万円程度の負担がタダになると考えることができます。
金額としては、入学金や制服代・修学旅行積立金に比べると安価です。とはいえ、これを推しにして「公立だとここでお金がかかっちゃうんですよ!私立の方がお得ですよ!」とアピールしている学校があるというのは、驚きというしかありません。
「模試」=「授業」か?
そもそも、模試は「授業」でしょうか?
確かに、河合塾や駿台などの予備校に関しては、自社の模試を受験する際の金額が授業料に含まれる場合があります。しかし「私立だったら模試が無料」というのは、明らかに不均等と言わざるを得ません。
そして、このポイントを使って生徒募集をおこなっている私立高校があるというのも驚きとしか言いようがありません。実際、この問題に関する取材を行った大阪の府立高校の校長先生は、「この私立のやり方(説明会)を見て、自分達の説明会のやり方を見直さざるを得ない」とコメントしています。
今回の記事はここまでになります。今後、なぜこういう制度設計になっているのか、追加で取材を行う予定です。





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