みなさんは、中学受験における「御三家」といえば、どの学校をイメージしますか?

 中学受験において、2000年〜2020年ごろまで、御三家といえば、男子は「開成」「麻布」「武蔵」、女子は「桜蔭」「女子学院」「雙葉」という伝統校が想起されていました。もちろん正式な呼び名ではありませんが、一定この呼び名で広まっていた部分が大きいです。

​ しかし、近年首都圏では、「新御三家」と呼ばれる存在が注目を集めています。​

 新御三家は、男子校では「駒場東邦中学校」「海城中学校」「巣鴨中学校」、女子校では「豊島岡女子学園中学校」「鷗友学園女子中学校」「吉祥女子中学校」が「新御三家」とされています 。​

 本記事では、男子新御三家とされる3校がなぜ注目されているのか、どのような教育を行っているのかを分析し、現代の中学受験の価値観の変化を考察します。

まず、それぞれの男子新御三家の学校概要です。

1. 駒場東邦中学校(駒東)

 駒場東邦中学校は、1957年に創立された私立男子校で、東京都世田谷区に位置しています。​少人数制や習熟度別授業を取り入れたきめ細やかな指導が特徴で、すべての教科で「自分で考え、答えを出す」という習慣をつけることを重視しているとされています。ちなみに東大の駒場キャンパスから近いため、文系の東大受験生は学校に一度集合してから試験会場に行くことになっています。

2. 海城中学校

 海城中学校は、1891年に創立された私立男子校で、東京都新宿区に位置しています。​

 学校のポリシーとしては、「リベラルでフェアな精神」「思いやりの心」「民主主義を守る意思」「明確に意思を伝える能力」を身につけた高い知性と豊かな情操を持つ人物を「新しい紳士」と定義しており、その育成に取り組んでいます。​伝統を重んじつつも、時代に即した教育改革を進めており、生徒の主体性と社会性を育む教育が特徴です。

3. 巣鴨中学校

 巣鴨中学校は、1899年に創立された私立男子校で、東京都豊島区に位置しています。​厳格な校風の中で、生徒指導がかなり厳しく、生徒の精神力と学力を鍛えていた過去がありますが、​近年では進学実績の向上とともに、ICT教育の導入やグローバル教育の推進など、現代的な教育改革にも取り組んでおり、昔ほどの厳しさはないと言われています。

なぜ「新御三家」が注目されるのか

 かつての「御三家」は、東京大学への合格者数などの進学実績によってその地位を確立していました。​この東大合格者の実績はいまだに「開成」「麻布」などが高いですが、その中で「新御三家」も上位に食い込んできています。そしてそれと同時に、大学入試改革やグローバル化、ICT化などにより、教育に求められる価値観が大きく変化しています。​海外大進学にも積極的だったり、ただ学歴を得るためだけの教育ではなく自由な校風があったり、エリート教育が行われていたりと、現代の教育ニーズに応える柔軟な教育改革を進めている学校がこれらに該当すると言われています。

 ちなみにこの「新御三家」という概念は、簡単に変動するものであり、「これ」という定義はありません。場合によっては、「渋谷教育学園幕張中学校(渋幕)」「渋谷教育学園渋谷中学校(渋渋)」「広尾学園中学校」などもこの新御三家だと言われる場合があります。

渋谷教育学園渋谷中学校(渋渋)

 東京の渋谷という立地を活かし、都市型の先進的な教育を展開しているのが「渋渋」です。渋幕と同じく「自調自考」の理念を共有しつつも、より多様性を重んじる校風が特徴です。

 生徒の雰囲気は非常に自由で、大学のようなキャンパスライフを早くから体験できると言われています。一方で、学業に対しては極めてストイックで、東大や医学部はもちろん、海外名門大学にも強いです。

 実は、渋谷教育学園幕張中学校(渋幕)と渋谷教育学園渋谷中学校(渋渋)は、いずれも学校法人渋谷教育学園が運営する共学の中高一貫校で、教育理念「自調自考(自ら調べ、自ら考える)」を共有しつつ、​両校の創設者である田村哲夫氏が長年にわたり両校の校長を務めてきました。

渋谷教育学園幕張中学校

 千葉県に位置しながら、東京の最難関校に匹敵する進学実績を誇るのが「渋幕」です。特に近年は東大・京大・医学部のみならず、ハーバードやMITといった海外大学への合格実績も出ています。

 実は2010年代初頭までは、「渋幕=千葉受験生のトップ校」や「首都圏難関校を受ける前の“前受け”」というイメージが根強くあり、2月の東京入試に向けた“本番慣れ”として受験する生徒が多かったです。しかし、教育内容の深化と国際進学実績の飛躍により、そのポジションは大きく変化し、「新御三家」だという見方も強いです。

広尾学園中学校

 医進・インターナショナルの2本柱で急速に人気を伸ばしたのが広尾学園です。特に「医進・サイエンスコース」では中学から本格的な研究活動に取り組むことが可能で、大学や研究機関との連携も多いです。中学の時からかなり発展的な教育を受けることができ、海外大学の進学実績もかなり強いです。

 グローバル教育に重きが置かれており、インターナショナルコースではすべての授業が英語で行われるクラスもあり、帰国子女や英語に強い生徒が多く集まります。英語4技能に特化したカリキュラムは、英検準1級・1級取得を中高生で目指すほどハイレベルです。自由な校風と個性の尊重が魅力ですが、しっかりと競争も行う校風があると言われています。

おわりに

 今、「学歴を得るだけではダメ」という価値観も広がってきました。東大だけがゴールではない、と。しかしだからといって、東大の合格実績がない学校が評価されづらいのも都内進学校のリアルです。新御三家がこれからどうなっていくのか、注目が集まっています。