今年の灘中学の国語の問題が、SNSで話題になっています。
灘中学といえば、言わずと知れた関西中学受験界の頂点に立つ学校です。毎年、全国からトップレベルの受験生が集まり、合格者の多くがその後、灘高校を経て東京大学をはじめとする最難関大学へと進学していきます。実際、灘高校は長年にわたって東大合格者数で全国上位を維持し続けており、「日本で最も東大に近い学校の一つ」と言っても過言ではありません。
そのため、灘の入試問題は「中学受験用の問題」という枠を超え、将来トップ層として伸びていく子どもをどう見抜くかという視点で作られているのが特徴です。算数の超難問が有名ですが、国語もまた非常に完成度が高く、「ただ読める」「なんとなく書ける」レベルでは太刀打ちできません。
灘中の国語で一貫して重視されているのが、語彙力と言葉の運用力です。今年話題になっている問題も、まさにその本質を突くものでした。
東大入試を実際に突破してきた立場から見ても、「これは本当にいい問題だな」と感じます。というのも、語彙力は国語だけの能力ではなく、全教科・全思考の土台になる力だからです。
この記事では、SNSで話題になった設問(大門1・大門5)を取り上げながら、なぜ灘中がこうした問題を出すのかという視点も含めて解説していきます。
そして今回話題になっているのが、まさにその「語彙力」タイプの問題です。
東大入試を突破している自分としても、これは非常に良い問題だと感じます。というのも、語彙力は国語だけではなく、全教科の理解力の土台になるからです。
この記事では、話題になっている設問(大門1・大門5)を解説していきます。
大門1 問3:カタカナ三字の略語(元の形に戻す)
A「アプリ」は「アプリケーション」の略ですが、このように外来語をカタカナ三字に略した言葉はいろいろあります。次の言葉の省略される前の形を、指定された字数のカタカナで答えなさい。
①コスパ(十字)
②コラボ(八字)
③バイト(五字)
④ラノベ(六字)
「普段の会話で使う略語」を、正式名称(もとの外来語)に戻せるかが問われています。普段使う言葉でも、正式名称が言えずに使っているものもあるかも?ということですね。
解答は下記ですね。
コスパ(十字)= コストパフォーマンス
コラボ(八字)= コラボレーション
バイト(五字)= アルバイト
ラノベ(六字)= ライトノベル
大門1 問4:「〜先」系の語(ひらがな二文字)
「矢先」とありますが、「〜先」という形の言葉はいろいろあります。次の各文の□に入る言葉をそれぞれひらがな二文字で答えなさい。
① □□先の対策では通用しない。
② 新学期初日から□□先がいい。
③ □□先三寸で金をだましとられた。
④ 非難の□□先を向ける。
①は「その場しのぎ」系(場当たり)、②は「出だし」系(スタート)、③は「目の前」系(目前)、④は「向ける」系で、「同じ“先”でも、使われ方(熟語のジャンル)が違う」ということを突いた、面白い問題ですね。
解答
こて先 (小手先のテクニック、などで使う)
さい先(例文のように「幸先がいい」と使う)
した先(「舌先三寸」で有名
ほこ先(矛先)
大門5:「リー」で終わる外来語
次の1〜4の各文の( )に入る「リー」で終わる外来語を、それぞれ( )内に指示された字数で答えなさい。(「リー」も字数に入れる)
① 一見ぶあいそうな人が、話してみると実は(六字)な人だった。
② この大会への(五字)の手続きを忘れないでください。
③ その小説は、(五字)の展開がありふれたもので、期待外れだった。
④ 私の夫は料理作りが趣味で、和洋中と料理の(六字)は豊富だ。
解答:
- ①「実は〜な人」:フレンドリー(6字)
- ②「大会への〜の手続き」:エントリー(5字)
- ③「物語の展開」:ストーリー(5字)
- ④「料理の〜は豊富」:レパートリー(6字)
灘中の国語が毎年「語彙力」を問う理由
いかがでしたか。今年の灘中の国語も、非常に「灘らしい」良問だったと思います。
灘中学の国語は、毎年のように語彙力・言い換え・言葉の使い分けを問う問題が出題されます。それは決して、「難しい言葉をたくさん知っている子」を集めたいからではありません。
言葉を正確に扱えるかどうかは、思考の精度そのものを左右するからです。
語彙力が高いと、文章を誤読しにくくなり、設問の意図も正確につかめます。さらに、自分の考えをズレずに表現できるようになります。これはインプットにもアウトプットにも直結する力です。
実際、東大入試でも「難解な知識」よりも、「書かれている言葉をどう解釈し、どう言葉で返すか」が合否を分ける場面は数え切れません。私自身、東大入試やその指導を通じて何度も「結局、最後にものを言うのは語彙力だ」と痛感してきました。
灘中の国語が語彙力を重視するのは、目先の点数ではなく、その先にある高校・大学、さらには社会に出てからも通用する力を見ているからなのでしょう。
今回の問題は、「語彙は暗記科目ではなく、思考力の基礎体力である」ということを、改めて強く感じさせてくれる入試問題でした。





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