受験の冬も終わって、いよいよ大学生活!
今頃は、新居探しに大忙しな方も多いのではないでしょうか?
私自身も、この時期は家族総出で家探し。
便利な駅や地域、治安などをリサーチするも、調べても調べても実際に住んでみないとなかなか分からないものです。
そこで選んだのが、食事つきの寮でした。
私が選んだところは家賃こそ駅周辺と遜色ないものの、「家賃に約2万円を上乗せすれば、月曜から土曜日まで朝晩食事が出てくる」サービスがあったのです。一人暮らしだと、どうしても自炊に手が回らないこともしばしば。結局外食頼りで出費がかさむ上に栄養バランスもガタガタ……なんて目も当てられません。だからこそ、寮が責任をもって管理してくれるのは、親からすれば、この上なく嬉しいでしょう。
しかし、私は結局2万円上乗せしたにもかかわらず、その半分のサービスも受けられなかったのです。
今回は「食事つき寮生活」に潜む意外な落とし穴についてお伝えします。
お金で時間を買う?
高校生の頃は、大学生活にとても夢を抱いた方も多いのでは?
研究にバイト、サークルなど様々な自由を手にするために、がむしゃらに走り続けた受験生活。「やりたい研究ができる場所」を探し、見事志望校に合格した時の達成感は忘れられません。
「第一志望に合格し、春からいよいよ大学生!」
受かってホッとしたのも束の間、入学までにはやるべきことが山積みでした。入学金振り込み、入学書類の準備や発送、パソコンなど機材の購入……そして、一番の難関が「一人暮らしに使える新居探し」でした。
地方出身の私が目指したその大学は、東京にキャンパスがあったので、晴れてキラキラ東京ライフとなるわけですが、家族全員は土地勘がなかったため、スマホとにらめっこ状態。家族総出で家探しするも、都内の治安や便利な駅など結局どこに住むのがベストなのかわかりませんでした。
そこで浮上してきたのが、学校の担任から勧められた”食事つきの大学寮”。

築浅で都心部にも近く、駅から徒歩10分以内。近くにスーパーもあって、寮内には同じ大学の仲間たちがおり、大学公式の寮ならば運営元も信用できる。
この選択は、当時の私たちにとって唯一の正解のように見えました。周りの環境もガラリと変わり、住み慣れた街からも離れる不安を、一気に吹き飛ばしてくれたのです。
何よりも朝晩ご飯付きだったのが、ずぼらな私には何よりも魅力的でした。
忙しい大学生にとって自炊は大変な仕事です。当時は料理に対して億劫さを感じていたこともあり、「時間をお金で買ったも同然」と舞い上がっていたのです。
「授業に、サークルに、バイトに、留学……色んな人と出会って、大学生にしかできないことをやり尽くそう!」そんな期待でいっぱいでした。
しかし、これが大きな間違いだったのです。
「食事つき寮」の"意外な落とし穴"
憧れていた大学生活は、思った以上に楽しいスタートを切りました。
文化系のサークルに毎日入り浸り、毎日21時過ぎまで練習に明け暮れました。もちろん、練習後もすぐには帰れず、片付けと施錠をしたら「ご飯行こうよ!」と誘われることもしばしば。
さらに、同時期に申し込んだインターンシップ先も、夕方から22時までが通常勤務シフトだったので、終電帰宅も当たり前な毎日が続きました。
一見普通の大学生活ですが、このせいで、私は「食事つき寮生活」のメリットを自分から手放していたのです。
私の住んでいた寮では、食事が提供される時間が決まっていました。
朝は6時半から8時半まで、夜は18時半から22時までに帰宅して注文しなくてはいけなかった。
つまり、私が帰宅する頃には、食堂は真っ暗。人の気配すらありませんでした。

大学1年生の夏からは忙しさがさらに増してきて、夕食はほとんどパスする状態に。忙しくなるにつれて、朝食夕食の回数も減っていき、週に1度か2度しか食べない時も出てきました。
最終的に、1年生の冬の時点でもはや食堂に出入りすらしなくなったのです。
さらに、この契約自体にも、大きな罠が仕掛けられていました。
一時解約が認められていなかったのです。
「どうせ寮で食事するように務めるから大丈夫だろう」と考えているかもしれませんが、勉強熱心な方ほど損をしてしまう可能性が高いのです。
大学生のうちに留学を考えている人も多いのではないでしょうか。私もその一人で、2年生の秋学期に約5か月間の留学を控えていました。
留学中はもちろん寮を空けますから、その最中は食事を打ち切ろう。
そう考えて、寮に相談したところ「一時的に契約をストップすることはできず、留学中も月額を払い続けるしかない。仮に契約を打ち切った場合には、在寮中の再契約は認められない」と衝撃的な答えが返ってきたのです。
つまり、食費5か月分——約10万円をドブに捨てるか、もしくは契約を打ち切って今後は外食や自炊に努めるか、究極の二択を迫られていました。

もともと時間的に食事をしていなかったこともあり、私の場合は契約打ち切りを選択しましたが、中には食費を払い続ける人も。もちろん、食費が割り引かれることも、還元されることもなく、払った分は丸損となってしまいました。
目先の金に釣られた末路
今から入寮当初を振り返ると、あの時こそ賢い選択をしたと信じていましたが、果たして本当に私は得をしていたのでしょうか。
私が通っていた寮の食費は月額約2万円。月曜から土曜までの朝晩が保証されており、毎月50食程度が出てくる計算になります。毎日食べれば400円と安価に済ませられますが、「食べても食べなくても2万円は変わらない」ことに注意するべきでした。
先述の通り、忙しかった時期は、週に1回か2回しか寮の食事を利用していませんでした。すると、月あたりの食事回数は、4回から8回となり、月額2万円を回数で割ってみると、当時の私は一食当たり2500円から5000円の食事をしていたことになります。

そもそも全国大学協連による『第60回学生生活実態調査』によると、一人暮らしをする大学生の平均食費は1か月あたり26,110円だそうです。これは、月曜から日曜までの3食をまかなっていると考えれば、90食分の数値となるわけで、一食平均300円近くでまかなっていると計算できます。
ただし、もちろん、一人暮らしの大学生が300円程度で作れる食事量や栄養バランスを考えると、そこは寮の食事に軍配が上がることは間違いない。とはいえ、私の通っていた寮は、毎月50食で2万円だったわけで、裏を返せば残りの40食は自分で調達する必要がありました。
仮に、一食300円でまかなったとしても、月の食費は合計で3.2万円となり、「学生生活実態調査」の平均食費を大きく上回る数値となります。さらに、ここから時間制限などで食べられない食事が出るたびにコストパフォーマンスは段階的に低下していくので、実は事前に考えていたほどのコスパはない。
「そこまでコスパで考えるならば、寮で食べればいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、そもそも東京の大学に進学したのは、地元よりもたくさんのチャンスや新鮮な出会いを期待してでした。400円のご飯のために、人脈作りや自己成長の場を制限されては上京してきた意味がないのです。

もし、当時の私にアドバイスを投げかけられるなら、「宅配冷凍弁当があるよ」というでしょう。宅配弁当ならば、一食当たり500~600円程度から届けてくれるサービスがありますし、仮に食べられなくても冷凍庫の中に入れておけば長期保存も可能です。
寮の食事よりコスパは落ちますが、代わりに時間的な柔軟性を手に入れることができます。
実際になってみてわかりましたが、現代の大学生は意外と思ったよりも忙しい。勉強、仕事、サークルなど「やりたいこと」「やるべきこと」が複雑に絡み合っており、しかも都市部の大学生活は就活など卒業以降の人生とも密接に関わっています。
私が寮の食事を捨てて手に入れた「時間的な自由」こそ、本当に必要だったものなのかもしれません。
行動の自由の確保が最重要
大学は研究機関ですが、この時期だからこそできることもたくさんあります。最近の大学生は就活の早期化も影響し、かなり多忙な人も多い。サークルや部活、バイトのコミュニティーに属することで人脈を作れます。
「人脈」は大げさな表現ではありません。私のような上京組にとって、東京では孤独が命取りになります。時期を逃さず、適したコミュニティに属して、孤立しないように立ち回ることが、生きるうえで大きな強みになる。
本当に買うべきだったのは、”自炊の手間”ではなく、”自由に動ける時間”でした。一見便利な寮生活ですが、実態は時間的な制約が大きく、むしろ自由を狭める存在です。
もちろん、私の体験がすべての大学生に当てはまるわけではありません。中には、寮生活がしっくりくる方もいるはず。重要なのは「自分が何を大学生活に求めるか」見極めること。
これを機に大学生活では何を重視したいのか、そのためにはどのような住環境を選ぶべきなのか、考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
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