人生を変えるきっかけは、どこに転がっているのでしょうか? 周りを見渡せば、自分とは違う「特別」な人生を歩む人々の幸せそうな、充実した毎日の様子が流れてきます。SNS越しに見える彼らの人生は、自分とは全く異なるオートクチュールのようで、判を押したように同じ既製品めいた毎日を送る私たちは、ただ指をくわえて羨望のまなざしを送るしかありません。
ですが、本当に「SNSのあの人」の人生だけが特別で、私たちの人生とは違うのでしょうか? もしかしたら、誰しもが、つまらない日常から一歩を踏み出すきっかけさえあれば、ヒーローになれるのかも。問題は「きっかけ」の作り方でしょう。
このウィークでは、高校生ながら類まれな行動力をもって自らの人生を切りひらいた方にお話を伺います。法政大学2年生の斉藤大地(さいとう・だいち 仮名)さんは留学をきっかけに、世界について考え始めた経験を持つ方。今回は、分野別優秀者に選ばれたほど深く興味を掘り下げた斎藤さんに、今日から誰でも始められる「興味の見つけ方」について聞いてみました。
___なぜ法政大学を志望されたのでしょうか?
斉藤:法政の国際文化学部にあるSA(Study Abroad,留学プログラム)に魅力を感じたからです。もともと英語が好きで、塾の外国人講師と洋画トークで盛り上がりました。とにかく英語を使って話すのが楽しくて、自分の英語で相手に思いが伝わる瞬間も好きでした。そこで、留学ができて、国際開発に強い大学を調べたら、法政大学が出てきたんです。特に、法政の石森大和教授のオセアニア地域の発展や国際関係論に関する研究が当時は非常に魅力に感じて、「ここしかない!」と思いました。最終的な決め手は、母がずっと推していたからではあるのですが(笑)ちなみに他には明治学院大学や立教大学、青山学院大学などをみています。
___かなりしっかりしたビジョンをお持ちだったんですね。斉藤さんの考える「大学選びのポイント」はなんでしょうか?
斉藤:軸は3つ。「自分がどのように社会に貢献したいか」「これまでの人生が大学生活の中で活かせるか」「4年間のビジョンを描けるか」です。
個人的に、高校生とは、人生で何を学んでいくか方向を探る場所だと考えています。高校生の間に決めた方針に従って、大学で研究を頑張ってみる。だからこそ、方向性を間違うと悲惨なことになってしまいます。自分の興味関心を活かせるような場所であるか否かが重要です。
___高校3年間で何をしていいかわからない、何に興味があるかわからない人も多くいらっしゃると思いますが……
斉藤:何を学びたいかわからない方には、ニュースを見ることをお勧めします。せっかく時間をかけて学ぶなら、学んだ内容が将来に活かせるとうれしいですよね。社会に何か変革をもたらすような何かを作る、もしくは携わるなら、「社会の現状」や「いま社会に起きている変化」を知らなければいけません。私自身、現在の研究とは異なりますが、ニュースでオーバーツーリズムに関する報道を見て、興味を持ったことがきっかけでした。知っていそうで知らないことって、思っているより世の中にはたくさんあります。知っていると思ったものでも、とりあえず調べてみると、どんどん情報が出てきて、そのうちに疑問がわいてくるかもしれません。
ただ、個人的には新聞はお勧めできません。優れた情報ツールですが、ただでさえ活字離れが叫ばれる中で、活字がぎゅうぎゅうに詰まった新聞を読めと言っても、続かないでしょう。情報を継続的に得ることが重要。ならば、ニュース番組のほうが、きっと継続しやすいですよね。あくまで、新聞は発展的な情報収集になると感じます。
___斉藤さんの研究内容について教えてください。
斉藤:私は、最終的には日本の発展のためにも、アジア全体の発展に貢献できるような人材になりたいと考えています。
高校生の時にオーストラリアに留学した時、観光ガイドでお勧めされるほど美しい街に滞在しましたが、きれいな街並みから少しわき道にそれると、ドラッグやホームレスに溢れていて、あまりにも格差を感じさせられました。「日本ではそんなことないのに」と考える反面、「アジアの他の地域では?」と思い、調べてみると、貧困や格差に関する報道であふれかえる現実に気が付いた。私の考える「当たり前」は、海の向こうでは手に入らない安寧だったんです。
貧困は、もはや各地域の個別の問題ではありません。外国に出稼ぎに出る、もしくはそれを受け入れる立場になったとき、必ずお互いの文化や社会性が衝突します。お互いの立場や常識を推し測って思いやる態度が、これからは必須になってきます。そのためには、貧困地域の子どもであろうと十分な教育支援を受けられるような安定した社会基盤が普遍的なものにならなければいけません。そして、それは各国が協力して作り上げるためのものでしょう。日本を発展させたいならば、アジア全体を発展させる必要があると考えているのは、そのためです。
___非常にレベルの高い研究ですが、高校生でも自分の興味を発見できるような具体的な手法は何があるでしょうか?
斉藤:自分の興味や関心、感覚と勉強がどうつながるかが問題です。そのためには、思い出や自分の感情について、より詳しく知る必要があるでしょう。
例えば、私は保育園時代の友人とキャンプに行ったことがありますが、その思い出について、「なにを楽しいと感じたのだろう?」「もっと楽しく過ごすためには、何が必要だった?」「自分以外の人は楽しかったのだろうか?」など、色々分析できます。自分がどんな時に、何を思うのかわかるようになれば、おのずと興味関心の方向もわかってくるでしょう。
また、思い出の種類は多様であった方が分析の際に便利です。そのためにも、経験を横に広げるような、隣接する体験をやってみるといいかもしれません。多様な視点を持つためには、多様な立場に立つのが一番だからです。
私は16年ほどスキーをやっていますが、数年前からスケートボードも始めました。すると、スキーの経験からわかることと、スケボーを始めたから初めて見えてくることがあることに、気が付いたんです。どちらも板に乗って滑走するスポーツですが、共通点があれば相違点もある。これに気が付くためには、それぞれの立場に立ってみることが一番です。
地域自治体や、NPOの主催するボランティアに参加してみてもいいかもしれません。自分がこれまで体験したことのない仕事、立場、あったことのない人々、行ったことのない地域。「はじめて」に触れたとき、その経験に対して、何を感じたか、頭にとどめておき、「はじめて」に触れた前後で自分の感情や印象がどう変化したのか、分析します。すると、自分という人間が、何を喜びとするのかわかってくるでしょう。テストで100点を取るとか、いわゆる「お勉強」ではなくて、社会に生きている中で、生活している中で、経験した内容や考えたことを組み合わせて、学んだ知識を「知恵」をつけることが、第一歩になるのではないでしょうか。
斎藤さんの実際に合格した志望理由書はこちら





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