「受験勉強は何のため?」
そう尋ねられたとき、多くの人が「将来の収入のため」と答えるのではないでしょうか。

良い成績を取って、偏差値の高い大学に入り、良い企業に就職する。
そんな一本道のストーリーを信じて、苦しい受験勉強に耐えてきた人も多いはずです。

しかし、

良い大学に行っても高年収が約束されないとしたら?
もし、勉強せずとも、良い企業に就職できるのなら?

果たして勉強などする必要はあるのでしょうか。
そういった裏ワザを探すべく、この記事では、「どの大学・学部に入学すれば “コスパ”よく、高年収の職につけるか」に迫ります。

今回は入口の指標として大学受験の偏差値、出口の指標として有名企業400社(大手・優良企業群)への実就職率を用いました。

未来図編集長 じゅそうけん へのインタビューを通して、一緒に考えていきましょう。

じゅそうけん:「受験総合研究所」として、受験・学歴に関するデータ分析・考察を行う、学歴研究家・インフルエンサー。

■ 文系の“コスパ最強”はどこだ?

① 慶應義塾大学(文系)

入学時の偏差値:67.5(経済学部)
主要400社への就職率:46.7%(文理総合、5位)
平均年収:999万円(4位)

出典:旺文社パスナビ、大学通信オンライン、日系転職版

–なぜコスパがよいのでしょうか。

慶應文系の大きな魅力は 「数学が不要で、2科目受験で入れる」 という軽さです。
加えて 指定校推薦や総合型選抜 といった、いわば“裏ワザ”も使えるため、準備の負担はかなり小さい。

文系の雄、国公立の一橋大学には、共通テストに加えて英数国社の4科目が必要です。
しかも、偏差値は65-72.5と慶應の67.5とは一定の差があります。

にもかかわらず平均年収では一橋の1052万円に比べて、慶應は999万円と僅差に収まるのです。

—慶應の強さの理由はなんでしょうか?

理由の一つは 意識の高さに“巻き込まれる”環境です。

いわゆる”就活ガチ勢”や”タワマン文学”をはじめとした高級志向やエリサラ市場主義(エリートサラリーマン文化)が圧倒的なんです。
具体的には、 「彼氏の内定先が微妙だと別れる」という価値観すら普通、だと聞いたこともあります。

さらに、内部進学組の友人によると、高校3年生の段階で就職の話をしているのも当たり前。内部生・体育会・帰国子女は特に“予後がいい”と言われ、よほど対人能力に不安がなければ成功しているようです。

私立文系専願や指定校で現役で早慶に行く方が、浪人して東大に行くより“幸福度も収入も高い”ケースはあるでしょう。

② 神戸大学(文系)

入学時の偏差値:60-62.5(経済学部)
主要400社への就職率:33.2%(文理総合、16位)
平均年収:907万円(7位)

–神戸大学の強みはなんでしょうか。

“西の慶應”と呼ばれる就職実績の良さです。神戸大学文系は、就活市場で“異様なほど”強いポジションを占めています。

入学時は、偏差値は60-62.5(経済学部)と、同地方の大阪大学(偏差値65.0)に比べると簡単なんです。
その一方で、出口となると総合商社・大手上場企業への就職実績がよい。年によっては、阪大を上回ります。

–就職への強さの理由はどこにあるのでしょうか?

理由は「学生の雰囲気」にあります。

偏差値が高すぎないが故に、最難関大学に比べて、ガリ勉タイプが少なく、洗練されているように感じます。公立高校出身の“地頭が良い&明るい”、文武両道タイプが入学できるんです。

だから、史上初の女性首相である高市早苗首相が神戸大学出身であるということで最近受験界隈で注目が集まっており、再評価され始めています。

文系就活では、面接官が重視するのは “明るさ・コミュ力・スポーツ経験” など、“人間としての成熟度”。その点で神戸大生は、非常に就活で評価されやすいのではないでしょうか。

文系参考図表

■ 理系の“コスパ最強”はここだ

③ 豊田工業大学(トヨタ工業大学)

入学時の偏差値:62.5 (工学部)
主要400社への就職率:57.6%(1位)

–大学の強みはなんでしょうか。

なんといっても就職実績のよさです。主要400社の就職率は57.6%となんと全国1位。

毎年の定員は約100名と小規模ですが、トヨタやトヨタ関連企業をはじめとした大企業就職が“ほぼ確定”している異次元の大学。

名古屋大学工学部よりも確率が高いといっても過言ではないでしょう

–就職への強さの理由はどこにあるのでしょうか?

手に職をつけられるというところは大きいです。大学入学はラクでも、“入った後”は相当ハードなんです。
企業との連携が強く、トヨタ自動車、デンソー、ダイキン工業、三菱電機といった大企業の製造・研究開発部門で実習を行います。他にも英語教育にも力をいれていたり、研究室においても企業との共同研究に取り組むなど、手に職をつけるにはうってつけの環境なんです。

④ 四工大(芝浦工大・電機大・工学院大・東京都市大)

入学時の偏差値:47.5-57.5(工学部・理工学部)

芝浦工業大学:52.5-57.5 東京都市大学50-55
東京電機大学 47.5-52.5 工学院大学 52.5-55.0

主要400社への就職率:

芝浦工業大学 41.2%(7位)  東京都市大学:25.9%(32位)  
東京電機大学:25.5%(34位) 工学院大学:24.9%(35位)

理系の“滑り止め”と思われがちな四工大ですが、実績では第一志望群に肉薄します。主要400社への就職率は非常に高く、ソニー・ホンダ・トヨタなどの大手に就職することも全く珍しくありません。
入りやすさに対しての“リターン”が大きい、典型的なコスパ大学です。

–就職への強さの理由はどこにあるのでしょうか?

トヨタ工業大学や他の理系学部と同様に手に職がつくというのは大きいです。いわゆる就職活動で面接を始めとした競争をするよりも、不確定要素が少ないので。

理系であれば、“技術職”としての明確な出口が存在するし、場合によっては研究室からの推薦枠もある。
文系就活では学力や知識だけでなく、コミュニケーション能力や愛想、さらには顔や運といった要素まで関わってくるので。

加えて、東京圏の立地は強いのではないでしょうか。OBが各会社にいるというのは、採用担当にとっても安心材料ですし、学生にとっても就職や面接の相談をできる相手が多いですから。

理系参考図表

—あえていうなら、コスパの悪い大学はどこでしょうか?

コスパの良さ、という観点だけでみると地方の国公立大学は科目の負担も重く効率的ではない傾向にあります。

というのも、公務員や地銀への就職という文化が根強く、一定数・一定割合がそのような進路に進む。もちろんそれは一つの選択肢なんです。ただ、例えば公務員であれば、その地方のトップ大学ではなくとも公務員試験に受かれば合格は難しくない。また、安定性がある一方で、額面の収入をくらべると都会の一流企業に見劣りしてしまう。

また、京都大学などでは就活やインターンを頑張ることに対して冷笑するような風潮や、留年をするような”個性”を良しとする文化が一部感じられます。

そういった環境だとせっかく学力があっても、慶應や神戸の学生と比べて就活に力を入れず、就職先の年収でも劣るというケースは少なくありません。

まとめ

以上の4大学は、入学の難易度に比べて就職実績が突出している“コスパ大学”と言えるでしょう。
「併願校をどう組むか」「浪人するべきか」「どこに進学すれば将来の選択肢が広がるか」——そんな迷いを抱える受験生にとって、ひとつの判断材料になれば幸いです。

もっとも、この記事で扱ったのは、大学を”就職予備校”と考えた時の“コスパ”であり、一つの尺度にすぎません。

  • 大学での学びに重きをおく
  • 人との出会いやコミュニティを重視する
  • 研究者・専門職などアカデミア志向
  • 収入以外の明確な目標を持っている

こうした生徒にとっては、また別の視点が重要になるでしょう。

そして何より、勉強や学びそのものは、たとえ年収という結果が同じであっても、決して損になるものではありません。

受験を「最も効率的な道」を探すゲームと捉えるか、「自分の趣味嗜好を追い求める場所」を選ぶ旅と考えるか。あなた自身の価値観やビジョンに合わせて、最適な進学先を選んでください。