「安心感」が一転...英検要件ないのに英語ガチ出題

2025年9月21日(日)、慶應義塾大学法学部FIT入試B方式の二次試験が実施された。

受験生を待っていたのは、これまでの常識を覆す「まさかの展開」だった。

慶應法学部FIT入試B方式について、多くの受験生が抱いていたイメージは「A方式より取り組みやすい」というものだった。

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実際、B方式の出願要件を見ると:

✅ 高校での調査書成績(評定平均4.0以上) 

✅ 推薦・評価書(高校教員作成)

✅ 志望理由とその明確さ

といったもので、英検(実用英語技能検定)などの語学資格は出願要件ではないA方式のような特別な活動実績も求められず、「真面目に高校生活を送って成績を維持していれば受験できる」という印象が強かった。

確かに出願書類で英語検定・TOEFL・IELTS・TOEICなどのスコアを記載することはできるが、あくまで必須ではないという位置づけ。多くの受験生は「B方式なら英語はそこまで重視されないだろう」と考えていた。

ところが、蓋を開けてみると...

突然の方針転換...「総合考査II」でまさかの英語長文

ところが今年の「総合考査II」では、ハーバード大学出版の政治学書『The People vs. Democracy: Why Our Freedom Is in Danger and How to Save It』からの英語長文が出題された。

内容は「リベラル民主主義の衰退」について論じたもので、「過去1世紀にわたってリベラル民主主義が支配的だった時代が終わりを迎えつつある」「北米や西欧では民主主義が後退している」といった、かなり高度な政治理論

英検準1級レベルの語彙がバンバン出てくる本格的な学術文献だった。

しかも、この英文を読んだ上で、日本の人口減少データと関連付けて400字で論述しなければならない複合問題だった。

実際の試験問題(抜粋)▽

受験を終えた東京都から来た受験生(18歳・女性)は「急に英文を読んで答える問題が出ました。同じ会場で受けた友人みんな”できなかった”と言っていました。面接も口頭試問もちょっと不安な箇所があります...」と肩を落とした。

去年までは「英語が出てもグラフ問題」程度...

実は、B方式で英語が全く出題されなかったわけではない。過去にも英語のグラフや統計資料が出題されたことはあった。しかし、それらは「英語で書かれたデータを読み取る」程度の出題で、今回のような本格的な長文読解は初めてのことだった。

去年まで比較的取り組みやすかった「総合考査」が、今年は一気に難化。この変化の背景には何があるのだろうか。

【変化の背景①】法学部教育のグローバル化

この出題変更の背景として、まず考えられるのが慶應法学部の教育方針の変化だ。現代の法学・政治学研究では、英語文献の読解が不可欠となっている。特に今回テーマとなった「民主主義の危機」は、まさに世界的な課題として英語圏で活発に議論されているトピックだ。

大学側としては、入学後に英語文献を使った授業についていけるかどうかを、入試段階で確認したいという思惑があったと推測される。

【変化の背景②】A方式・B方式の「格差解消」

もう一つの要因として、A方式とB方式の間にあった「難易度格差」の是正という側面も考えられる。

これまでB方式は「地方の優秀な学生にチャンスを与える」という趣旨で、比較的基礎的な出題が中心だった。しかし、入学後の学習レベルは当然A方式と同じ。この「入口と出口のギャップ」を埋めるため、B方式でもA方式並みの学力を求めるようになった可能性がある。

【変化の背景③】受験生の学力水準への期待

「評定平均4.0以上」という出願条件を満たしている学生であれば、ある程度の英語読解力は期待できるという大学側の判断もあったのかもしれない。

特に近年、高校教育でも英語教育の充実が図られており、4技能(読む・書く・聞く・話す)をバランスよく学習することが推奨されている。大学側は「現在の高校生なら、この程度の英文は読めるはず」と考えていた可能性がある。

受験戦略の見直しが急務

この変化は、来年以降のB方式受験生にとって重要な警告となった。これまでの「B方式は英語軽視でもOK」という常識は完全に通用しなくなった

特に地方の受験生にとって、都市部との「情報格差」や「学習環境格差」は深刻な問題だ。B方式の本来の趣旨である「地方学生への配慮」が、皮肉にも損なわれる結果となっている。

FIT入試全体の高度化【今後の展望】

2026年度のFIT入試を振り返ると、A方式の「多角的調査とSNS民主主義」、B方式の「英語長文と民主主義の危機」と、どちらも従来の予想を大きく上回る難易度となった。

これは単なる一時的な変化ではなく、慶應法学部が求める人材像の根本的な変化を反映している可能性が高い。つまり、出願方式に関係なく「世界レベルで通用する総合力」が求められる時代になったということだ。