「バレエなんてマイナースポーツ、推薦で使えるわけがない」

 入試対策を始める前はをそう思っていたと、バレエを活かして早稲田に合格した澤北さんは語ります。

 推薦入試といえば、野球やサッカーといったメジャースポーツ、あるいは数学オリンピックのような勉強系の実績が評価される。

 特に難関大学では、「全国大会出場」「○○オリンピック入賞」といった輝かしい経歴が必須だ。

 そんな風に思っていませんか?

 しかし、実はバレエやフェンシング、アーチェリーといった競技人口の少ないスポーツこそ、推薦入試で強みになるケースがあるのです。

 大学側が求める人物像とマッチすれば、むしろ競争率の高いメジャースポーツよりも有利になることすらあります。

 なぜ、マイナースポーツが推薦で評価されるのか? どのようなポイントが合格につながるのか?

 今回は、バレエを武器に早稲田大学への推薦合格を勝ち取った実例をもとに、その理由を解説します。

全国レベルのバレエ選手として育つ

 澤北さんは幼少期からクラシックバレエに打ち込み、全国大会への出場経験もありました。

 偏差値68と高知県内1番の高校へ進学したものの、バレエに打ち込むあまり、勉強時間を確保することが難しく、大学受験への不安が募っていました。

 そんな中、バレエ経験を活用できる指定校推薦に照準を定め、高校2年の冬からの準備を開始。その結果、早稲田大学でも難関学部である国際教養学部へ進学をしました。

一流大学へ進むことは当然の家庭環境

 高学歴な家族に囲まれて育ち、高校も県内トップの進学校へ進んだ澤北さん。

 「レベルの高い大学で学びたい」「優秀な同級生と肩を並べられる大学に進みたい」という思いから、一流大学への進学を希望していました。

 また、幼少期からバレエを通じて海外への遠征や様々なダンサーと交流する中で、移民問題に関心を持つようになりました。

 「国境を越えた環境で学び、移民問題の解決に貢献したい」-そう考えたとき、最も有益な学びができる場所として、早稲田大学国際教養学部を目指すようになりました。

補足:早稲田の国際教養学部とは?  早稲田でも難関の学部

学部の特徴

 早稲田大学の国際教養学部は、全授業が英語で行われる国際色豊かな学部。学生の約3割が外国籍であることや、海外留学が義務付けられていることから、グローバルな視点を養うことができます。

難易度

 国際教養学部は、早稲田大学の中でも看板学部の一つです。一般入試の偏差値は 70 とされており、早稲田全体の偏差値(62.5〜70)の中でも特に高い難易度を誇ります。

バレエに打ち込み、勉強時間はわずか1時間

 県内トップの進学校に進学した澤北さん。一見、大学受験には有利なスタートを切ったように思えます。実際、早稲田大学の国際教養学部も、高校入学時から勉強に集中すれば、筆記試験で十分に合格を狙える成績でした。

 しかし、彼の生活はクラシックバレエ一色。練習に打ち込むあまり、平日に確保できる勉強時間はわずか1時間。土日でも3時間取れれば良い方でした。周囲の同級生が受験勉強に本格的に取り組む中、「このままで本当に一流大学に合格できるのだろうか?」と、不安を募らせていきます。

 それでも、バレエは譲れない。勉強しなければ志望校の合格は難しい。-そんな葛藤の中で、「バレエの経験が有利になる入試」があると知りました。それが指定校推薦だったのです。

バレエが活かせる入試 ー 指定校推薦

 指定校推薦とは、特定の高校でのみ受けられる推薦入試です。

 一般的には以下のような要素が評価されます。

  • 高校の成績(評定平均)
  • 志望動機書・自己PR書
  • 面接試験

特徴的なのは、筆記試験が不要な点ですね。

どんな人に向いているのか

 指定校推薦は、筆記試験よりも、自分の経験や強みを評価してほしい生徒に適した入試方式です。特に、澤北さんのように部活動や習い事に打ち込み、十分な勉強時間を確保できなかった生徒にとって、有力な選択肢となります。

 筆記試験がない分、面接では部活動などで培った自身の強みや、将来のキャリアビジョンを具体的に伝えることが求められます。 大学は、学びへの意欲や、これまでの経験が大学生活や将来にどうつながるかを重視しているためです。

バレエがなぜ推薦で有利なのか

 「バレエなんて推薦で使えるわけがない」。そんな偏見とは裏腹に、実際は有利になる理由は何なのでしょうか。その理由を3つの視点から解説します。

1. 人間性が評価される

 指定校推薦では、部活動などの単なる実績だけでなく、人間性や個性も重視されます。大学は、困難を乗り越え、成長できる生徒を評価します。そのため、「継続力」と「協調性」を証明できるバレエ経験は、大きな強みになります。

 長年の練習を積み重ねてきた経験は、努力を継続できる力の証明になります。また、仲間と作品を作り上げる過程で培ったチームワークは、大学のグループワークでも活かすことができます。

2. 志望動機を強化できる

 推薦入試では、「なぜこの学部を志望するのか」という明確な理由が求められます。バレエは西洋文化に根ざした芸術であり、海外のバレエ団の公演や異文化に触れる機会も多い競技です。

 そのため、バレエを通じて異文化に関心を持った経験を語ることで、志望動機に説得力を持たせることができます。 特に、国際教養学部などグローバルな視点を重視する学部では、異文化理解の深さが評価されやすくなります。

3. 面接官の印象に残る

 バレエのような芸術的活動は、推薦入試の場で目を引きやすく、他の受験生との差別化につながります。

 野球やサッカーといったメジャースポーツに比べ、競技人口が少ないため希少性があり、面接官の記憶に残りやすいのも利点です。

実際の面接・書類作成での工夫

 澤北さんは以下のようにバレエの経験を推薦に活用しました。

1.書類・面接でのアピール方法

 澤北さんは、自身の強みとして「チームワーク」と「客観的な視点」をアピールしました。

 「チームワーク」については、仲間と協力して1つの作品を作り上げた経験を伝えました。目標を共有し、役割を理解することの大切さは、大学でもグループワークやプロジェクト活動にも活用できることをアピールしました。

 「客観的な視点」については、自身の演技の癖を冷静に分析し、改善する姿勢を大切にしてきたと説明しました。自己を客観的に評価し、向上させる力を培ったことを強調し、大学ではディスカッションやフィードバックを柔軟に受け入れられることを伝えました。

実際の志望理由書がこちらです。

 また、面接では、海外に興味を持つきっかけとして、「海外のバレエ団の公演を見て異文化に興味を持った」と答えました。幼少期からの経験を交えることで、志望動機に説得力を持たせることができるからです。

 このように、バレエで得た経験を、自身の強みや大学の志望動機として活用しました。


2. 面接での印象付け

面接では、バレエ経験が伝わるように、姿勢を意識しました。 背筋を伸ばし、堂々と受け答えすることで、面接官に良い印象を与えるよう工夫しました。

バレエを武器に推薦入試を受ける人は少なく、特に男子のバレエ経験者は珍しいため、面接官の印象に強く残りました。 実際に、「バレエをやっていたんですね!」と興味を持たれることが多く、「バレエの澤北さん」として覚えてもらうことに成功しました。

マイナースポーツを強みに、推薦合格を目指そう

このように、マイナースポーツは推薦入試において大きな強み になります。特に、以下の点で有利です。

  • 継続力と努力を証明できる
  • 個性的な経歴で、他の受験生との差別化ができる

バレエだけでなく、フェンシングやアーチェリーなどのマイナースポーツの経験を活かし、推薦入試での合格を目指してみませんか?