先日、サンデー毎日の中で「東大推薦合格者数」のデータが公表されました。未来図ではそれを元に、東大推薦合格者数ランキングベスト5(10年間の累計)を出しました。その結果がこちらです。

特に目を引くのが、秋田高校ですね。詳しく調べてみると、秋田高校はほぼ毎年に近く、コンスタントに東大推薦合格者を輩出していることがわかります。
東大推薦合格者の多い学校では、どんなカリキュラムが行われていて、なぜ合格者が多いのか?
この記事では、東大推薦合格者数が多いトップ5校について、深掘りしてみました。
1位 渋谷教育学園渋谷高校 20名
渋谷教育学園渋谷高校(通称「渋渋」)は、東京都渋谷区渋谷1-21-18に位置する私立の共学中高一貫校です。都心にありながらアクセスの良い立地が特徴であり、最寄り駅は「渋谷駅」から徒歩7分、「明治神宮前駅」から徒歩8分となっています。
2024年4月のデータによると、生徒数は男子293名、女子332名で、合計625名が在籍しています。 教育理念は「自調自考」で、生徒が自ら調べ、自ら考える力を育成することを重視しています。また、国際人としての資質を養うため、帰国生の受け入れや海外研修など、国際教育にも力を入れています。2024年度には一般入試も含めた東大合格者数ランキング16位であり、学力も非常に高いです。
渋谷教育学園渋谷高校の東大推薦合格者が多い要因として考えられるのは、充実した論文指導がその一つです。この学校では高1から高2にかけて、約2年間で1万字の「自調自考論文」を執筆するカリキュラムがあります。ここで、生徒の探究心や論理的思考力を養成しているのです。また、この論文を実際にコンクールに提出することも多く、これが東京大学への推薦合格に繋がっている場合もあるとのこと。
2位 東京都立日比谷高等学校 17名
2位は東京都立日比谷高等学校(通称、日比谷高校)です。この学校は、東京都千代田区永田町2丁目16-1に位置する公立の共学校です。最寄り駅は「永田町駅」6番出口より徒歩8分、「赤坂見附駅」11番出口より徒歩8分、「溜池山王・国会議事堂前駅」5番出口より徒歩7分と、こちらも1位に続き都心に位置していてアクセスが良好なのが特徴です。
2024年4月のデータによると、生徒数は約960名で、各学年約320名が在籍しているとのこと。クラス数は1学年あたり8クラスで、男女比はほぼ1:1となっています。学力も非常に高く、2024年度には一般入試も含めた東大合格者数ランキング8位でした。また、文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けており、最先端の学問や科学技術に触れる機会が提供されています。
日比谷高校から東大推薦合格者が多い要因の1つとして考えられるのは、「総合的な探究の時間」での進路探究の一環として、2年生の3月に「星陵セミナー」が実施されていることが挙げられます。
これについて、同校のパンフレットでは、このように記述されています。
この星陵セミナーは、日比谷高校の諸先輩方の専門力が、 現役生徒の活動に示唆を与えられる場となっています。 本校の同窓会である「如蘭会」の協力を得て、各分野にわたり卒業生を講師として配置し、生徒の選択により1教室 10 〜 20 名前後、2時間半のゼミ形式で実施しています。最先端で活躍されている先輩から直接講義を受け、あるいは質問ができ、生徒にとって大変有意義な時間です。(リンク)
高校以上の学びを得ることができる時間が、高校2年生の段階であるわけですね。この経験をもとにして東大推薦を出すことができるのは1つの大きなポイントだと考えられるかもしれません。
3位 秋田県立秋田高等学校 15名
3位は、秋田県立秋田高等学校(以下、秋田高校)。ここは、秋田県秋田市手形字中台1に位置する公立の共学校です。 2024年4月のデータによると、生徒数は男子458名、女子355名の計813名が在籍しています。
2025年度の東京大学学校推薦型選抜(推薦入試)において、秋田高校は2名の合格者を輩出し、これは全国で3位タイでした。すごいですね。2024年度の同校からの東京大学合格者数は8名であり、1位・2位の学校と比べて東大が「近い」学校というわけでもありません。なぜこのような結果になっているのでしょうか?
この成果の背景になっていることは何なのかについて調べてみたところ、1位2位の2校と比べ、特別な取り組みとして挙げられるものはない印象でした。実際、サンデー毎日の取材でも、同校の進路指導副主任兼学校推薦型総合型選抜対策室長の方は東大推薦合格者が多い要因について、このように述べています。
「特別な対策をしているわけではなく、東大が求める学生像と合致する生徒が自然と育成され、評価されている結果だと思います。」(リンク)
とはいえ、他にも要因がないか調べてみると、秋田高校は他の学校と比べて、探究の時間が充実しているという意見がありました。生徒が主体的に学ぶ姿勢を育む教育環境が整備されているのではないか、と。
秋田高校から東大推薦生が多い理由は?
それに加えて、当たり前ではありますが、東大推薦を目指せるような経歴・能力を持った生徒がいたときに、しっかりとその背中を教えてあげる先生がいる学校なのではないか、と考えられます。
例えば、秋田高校から東大推薦で合格した人の合格体験記がネット上に載っていますが、その中で「東大推薦を目指したきっかけ」について、このように語られています。
推薦入試で受験することになったきっかけは、2年生の冬に担任の先生から僕を東京大学に推薦したいと伝えられたことです。(リンク)
これは実は、大きなポイントだと考えられます。
そもそもの話、すごく輝かしい経歴を持っている人であっても、自分で「東大に推薦で受験しよう」と思う人は少ないのではないでしょうか。そもそもそんなシステムがあるということすら知られていませんし、システムを知っているとしても、「自分が受験する資格を持っているのか」については、おそらくどんなに素晴らしい人であっても自分を信じることができないのではないかと思います。
そこに対して、学校の先生が「君ならいけるよ!」「君なら東大のこの学部の条件を満たしているよ!受験してみない?」と声を掛けることには、非常に大きな意義があります。生徒の背中を押す先生が1人いるだけで、全然違うのです。
実際、東大推薦合格者の多くは、自分で東大推薦を選んでいません。学校の先生から「やってみないか?」と言われた場合が多いのです。
「蔵付きの酵母」のように受け継がれている精神性
また、逆説的ですが、「秋田高校から毎年東大推薦生が出ている」という事実自体が、東大推薦合格者の維持につながっているのではないかとも考えられます。
秋田高校の進路指導主事教諭に対して、サンデー毎日にてインタビューが行われています。その中で、このような言葉がありました。
「来年度に150周年を迎える当校は、勉強や課外活動、学校行事など全てに全力で向き合い、そこに楽しみを見いだす精神が『蔵付きの酵母』のように受け継がれています。こうした気風と学校のシステムが、東大に連続で合格できる要因。先輩が合格することで後輩も頑張れるという循環も大きい」(リンク)
蔵付きの酵母というのは面白い表現ですね。でも確かに、先輩が行っているというのは1つの大きな精神的な安心感がありますよね。
4位 広島県立広島高等学校 14名
4位は広島県立広島高等学校(以下、広島高校)。この学校は、広島県東広島市高屋町中島31-7に位置する公立の中高一貫教育校です。 最寄り駅はJR山陽本線「西高屋駅」で、徒歩約10分の距離にあります。
2024年5月のデータによると、生徒数は男子288名、女子383名の合計671名が在籍しています。2位の都立日比谷高校はSSHでしたが、この広島高校はスーパーグローバルハイスクール(SGH)指定校です。これにより、国際的に活躍できる人材の育成を目指した教育プログラムが実施されており、生徒のグローバルな視野と課題解決能力が養われていると考えられます。
この学校で東大推薦合格者が多い要因は色々あると思いますが、その中でも今回は2つ紹介します。
まず1つは、高校3年生の時に作る卒業論文です。各自の興味関心に基づいた卒業論文を作成するカリキュラムがあり、またこの過程で、実際の広島大学の大学院生がサポートしてくれるのです。
東大推薦入試では、自分の書いた論文を提出することで評価される学部もあります(経済学部や教育学部など)。この卒業論文はそのまま東大推薦入試でも活かせるということですね。
ちなみに、この卒業論文を課す学校で、同じように東大推薦合格者を近年増やしているのが鳥取県青翔開智中学校・高等学校です。このようなカリキュラムは、東大推薦入試に限らず、総合型選抜入試において有効だと言えるのかもしれませんね。
もう1つの要因として考えられるのが、独自の言語活動です。中学校段階から「ことば科」という特設の教科を設け、論理的な思考力や表現力を育成しています。これが高校での探究活動や卒業論文作成に繋がり、生徒の総合的な学力向上に寄与しているのではないかと考えられます。
5位 灘高等学校 13名
灘高等学校(以下、灘高)は、言わずと知れた名門校ですね。2024年度には東大合格者数ランキング3位の名門校が、東大推薦合格者ランキングでも5位でした。
この学校は兵庫県神戸市東灘区に位置する私立の男子校で、中高一貫教育を行っています。生徒数は中学・高校合わせて約1,000名で、各学年約160名が在籍しています。最寄り駅は阪神電鉄本線の「魚崎駅」や、六甲ライナーの「南魚崎駅」です。
とにかく関西圏の賢い生徒たちがたくさん集まっている学校であり、高い学力に裏打ちされた探究活動・研究が東大推薦合格の背景になっているのではないかと考えられますね。
強いて他の理由を考えるのであれば、学問だけでなく、クラブ活動や文化祭などの課外活動が盛んな点が挙げられるかもしれません。他の学校と比べて盛んな課外活動が行われていることで、生徒の多様な才能・人間性を育まれ、これらの経験が推薦入試での評価ポイントとなっているのではないかと考えられます。
いかがでしょうか?ぜひ参考にしてみてください!
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