本日、2025年の医師国家試験の合格発表がありました。

 医師国家試験は、医学部を卒業した人が医師として働くために必ず受験しなければならない、最も重要な試験です。「医学部に入ればゴール」ではなく、「国家試験に合格して初めて医師になれる」のです。

 そのため、国家試験の合格率は各大学を評価する上で、最も重要な基準の一つです。 医学部受験を考える生徒や保護者にとっては、見逃せない指標になります。

全体の合格率の変化は?
予想外の結果となった大学は?
男女別や新卒既卒で合格率は変わるのか?

 この記事では、2025年の医師国家試験の最新結果をもとに、現役医学生が注目ポイントを解説します!

医師国家試験とは?

 医師国家試験は、医学部卒業生が医師としての資格を得るための試験です。医学部を卒業するだけでは医師にはなれず、国家試験に合格して初めて医師免許が取得できます。試験は毎年2月に実施され、毎年1万人程度が受験し、3月に結果が発表されます。

 試験は400問の選択肢問題で構成され、2日間の日程で行われます。合格基準は例年75%前後、合格率は90%前後で推移しています。さらに、「禁忌選択肢」と呼ばれる、絶対に選んではいけない選択肢を3問以上選ぶと不合格となる制度があり、受験者は細心の注意を払う必要があります。

 もし不合格になった場合は、1年間の浪人生活を強いられますこの1年間の遅れによって、生涯年収が約2000万円減少すると指摘されています。

2025年の試験結果(全体の合格率・合格点)

 ここからは、厚生労働省からの公式データを元に分析していきます。

合格率

 今年の合格率は92.3%でした。過去5年では90-92%前後で上昇傾向となっています。直近での「医師不足の影響はある」と言えるかもしれません。

合格点

 今年の合格点は500点中381点で、76.2%の得点が必要でした。難化したとの声が多い中で、やはり昨年比では合格点は下がっています。

 しかし、過去5年では73-78%と上昇傾向となっています。


属性別での合格率の違いー大学別・男女別・新卒既卒
学校別の合格率(公立・私立・偏差値)

 大学別では、国際医療福祉大学合格率100%1位になりました。

 上位と下位の5大学は次の表の通りです。

 上位5大学

 下位5大学

 国立と私立では、合格率は国公立と私立で大きく変わらない傾向にあります。

 2025年では、国公立の合格率は94.5%、私立の合格率は93.3%と例年と同様でした。

 また、偏差値と合格率には強い関連はみられません。

 例えば、全国82校中、旧帝国大学の京都大学で89.3%で75位、中堅私立大学である藤田医科大学で97.3%で8位となっています

 意外にも、国公立大学をはじめとした人気大学・高偏差値大学が必ずしも合格率の上位ではないのはなぜなのでしょうか?

 理由はなんと、卒業の難しさなのです。

 医学部では、国家試験の合格率が受験者向けの重要な指標となります。そのため、名声を気にする私立の大学では、卒業試験を難しくすることで、成績が不十分な学生を卒業させない(=国家試験を受けさせない)ケースが少なくありません。結果として、十分な成績の学生のみが国家試験を受けることになり、合格率を上げることができるのです。

男女別割合について

 男女別では、女性の合格率がやや高い傾向があります。過去5年では、男性は90-92%、女性は92-95%となっています。

 2025年の合格率では男性が91.2%、女性が94.0%とこの傾向は同様でした。

 理由としては男女の「①性格の差」と、「②キャリアへの考え方の違い」があると考えられます。

①性格の差ー安全志向・失敗への恐怖

 一般論として、女性の方が安全志向な性格であると考える人は多いのではないでしょうか。これが影響していると考えられるかもしれません。

 例えば、大学受験でも医学部以外の理系学部ではなく、国家資格を求める手堅さがあります。科目別でも、数学の閃きよりも英語のコツコツとした勉強で合格する学生が多い印象です。

 また、良い家庭で育ったお嬢様が多く、失敗への恐怖が強いようにも感じます。実際に、大学の定期試験でも「再試験になって恥ずかしい」といった声を多く聞きます。結果としても、女性の方が再試験にかかる割合は少ない印象です。

 これらの理由から女性の方が勉強の量と継続力で上回っているのだと推測できます。

②キャリアへの考え方

 医学部は6年制のため、卒業時に24歳と文系学部に比べて2年のビハインドがあります。また、「卒業後2年間の研修医が終わって、ようやく医者のスタートライン」という考え方も根強く、研修医終了時では26歳です。

 さらに、激務かつリモートワークもしづらいため、若く立場の低いうちに妊娠・出産をすることへのハードルは高い業種といえます。

 このように、出産しやすい年齢が早くとも30歳前後である医学部では、出産を望む女性にとって、国家試験に落ちて無駄にする1年間が非常に大きいのです。

新卒既卒別

 新卒既卒別での医師国家試験の合格率は、新卒が既卒を大きく上回ります。 過去5年では、新卒生の合格率は94-96%と安定していますが、既卒生(浪人生)の合格率は50〜70%程度と低めです。皆さんも知っている有名youtuberなどでも、国家試験に何浪もしている人がいるのではないのでしょうか?

 2025年でも新卒が95%、既卒が59%とこの傾向は同様でした。

 理由としてはモチベーションの維持があげられます。大学在学中は、周囲の友人も勉強に励んでおり、自然と学習に取り組む環境が整っています 一方、国家試験浪人になると、一人で計画を立て、継続して勉強を進めなければなりません。 学習のペースを保つことが難しく、モチベーションの低下が合格率の低下につながる要因の一つと考えられます。

まとめ

 医師国家試験は、医学部卒業後に必ず受験する最終関門です。不合格になった場合、生涯年収の大幅な減少やキャリアの遅れ、さらには出産時期の影響など、人生設計に大きく関わる可能性があります。

 そのため、医学部を選ぶ際には、「どの医学部が国家試験に強いのか?」をしっかりと見極めることが重要です。しかし、私立大学の合格率は、卒業試験の厳しさによって数値が高く見えるよう補正されている場合があるため、注意が必要です。合格率だけでなく、進級率なども確認しながら、総合的に評価することが大切です。

 医学部選びは将来のキャリアに直結する重要な選択です。ぜひ、本記事の情報を参考にしながら、最適な医学部を見つけてください。