ポスター発表を課す東京大学教育学部

 2025年現在、大学入試の最前線は大きく変化しています。かつては少数派だった総合型選抜(いわゆるAO・推薦入試)が、今では過半数を突破したデータも。文部科学省のまとめによれば2023年度入試で、初めて総合型選抜による受験生の割合が50%を超えたことが報告されています。

 総合型選抜の特徴は、ペーパーテスト以外での選抜方式によってテストされること。面接、小論文はもちろん、グループディスカッションや、ポスター発表など、その選抜方式は多岐にわたります。

 「ポスター発表」を課す大学の中で一番偏差値が高いのは、東大でしょう。東大の教育学部では、二次試験でポスター発表をおこなっています。

 このポスター発表では、どのような対策が有効なのでしょうか?

 実際にポスター発表を乗り越えて東京大学教育学部に推薦合格したKさんから教えていただきました!

ポスター発表とは何か?

 まずそもそも、ポスター発表とは何か?これは読んで字のごとく、ポスターを使ってプレゼンを行う受験方式です。

 東大教育学部の場合は、ひとり7分間で発表ののち、8分間の質疑応答が設けられています。

 内容は学校や学部によってまちまちで、東大教育学部の場合には、事前に提出する「高校時代の活動成果報告書」に基づいたものに限られます。

 ポスターは当日までに紙で用意して持参するケースもあれば、事前にPDFファイルにして提出する方式もあります。自分の受験する学部がどのような方式か、しっかり調べて事務手続きでつまずかないようにしましょう。

ポスター発表の準備

 Kさんはポスター発表にあたって、まず「高校時代の活動成果報告書」を準備しました。内容は、

・高校時代に行った探究活動の概要
・仮説
・実施内容
・考察
・課題と解決策

 の5項目で、ほとんど論文に構成が近いものです。ページ指定がなかったので、あらゆる要素を詰め込んだ結果、図版や写真込みで363ページにも及ぶ長編になったそうです。

 実際の構成

 もちろん、準備も一筋縄ではいかず、高3の6月から準備を始めました。志望理由書とは別のモノなので、書き物系で大変な時間がかかることを考えると、なるべく早いうちから準備を始めるといいかもしれません。

 当時は紙で提出と定められており、A0判の大きな紙に書きつけました。これほど大きな紙は当然一般家庭にはおいていないことがほとんどで、彼女の場合も学校の先生にお願いして用意してもらったそうです。手書きならば紙を用意するだけでいいですが、印刷の場合には、専用の印刷機も用意しなくてはいけません。学校にあるならともかく、ない場合には業者に依頼する必要も出てくるでしょう。

 ただし、書類審査の合否発表からポスター提出までの準備期間が非常に短い場合もあるとか。実際にKさんの場合には8日しか猶予がなく、もしも業者に頼むなら、一次試験の合否発表よりも前から業者に印刷を依頼する必要があるだろう、とのことです。

ポスター作りはどうすればいいの?

 もちろん、そのためには、ポスター発表が必要になるもっと前の段階から、ポスターの内容を考えて、ある程度構成しておく必要があります。Kさんの場合には、出願書類を提出した直後からすぐにポスターの作成に取り掛かったそうです。構想自体は10月から練り始めており、2か月以上作成に時間をかけています。

 Kさん曰く「一週間で準備したという友人もいる」そうですが、その子は勉強を一切休んで、ポスター発表だけに時間を費やしていました。共通テストや二次試験の勉強を外せないのであれば、余裕をもって準備しておく必要があります。

何を書けばいいの?

 Kさんは高校時代に行った活動の概要と、その活動のもたらす複数の効果のうち、ある特定の側面にだけ絞って報告しています。そもそも363ページにも及ぶ報告書の内容を7分で話しきるのはほぼ不可能ですから、どうしても内容を取捨選択しなくてはいけません。「どこを残して、どこを捨てるか」が問われている可能性も高く、活動を通して、どのような考察を行ったかが見られているのではないか、とKさんは予想しています。

 Kさんがポスター作成時に意識したのは、「とにかくシンプルにする」こと。細かい内容を書いても読み取れないため、読み上げるだけの発表になってしまいます。それよりは、タイトルや概要だけ一言で書いて、あとは口頭で説明したほうが、見栄えもよいと考えたのです。とはいえ、逆に項目の詳細まで詳しく書いている人もおり、その人も合格していたそうですから、「発表のクオリティがちゃんとしていれば、ポスター自体のクオリティは問われないのではないか」とも話してくれました。

 発表に関しては何度も先生やキャリアサポーターに見てもらって、各項目の話す時間などを調整しました。「いろいろな人に見てもらったほうがいい」とアドバイスされたので、時には他校のサポーターさんに掛け合ってみてもらうこともあったそうです。

当日の発表の様子

 当日は12人の学生が6人ずつハの字型に座って、その中心で発表をしました。教授は学生の後ろから横並びで発表を見ていたそう。学生の発表の後には、学生同士の質疑応答の時間が設けられますが、「質問者側の質問内容は、評価対象ではない」と明言されていたそうです。むしろ、質問に対してどのような回答をするかが見られているのではないかということでした。非常に和やかな雰囲気で、休憩時間には受験生同士で質問したりなかったことや、お互いの発表に対する感想について話し合いました。

 質問の内容は

「○○という事例において、調査を円滑に進める工夫はどのようなものがあるか?」
「××とは、どんなプロセスを経てなされるか?」

など、それぞれの活動や考察に対する、更なる考察や課題解決案などを考えるものが多く出たそう。

 いろいろな活動を通して、どのようなことを考えたか、ほかにどんなケースが想定されるかなど、一度の考察で満足せず、何度も反芻して考え直す姿勢が問われていると考えられます。また、自己批判的な姿勢が重要になりそうです。

 興味分野について調べておくのは当たり前で、その上でわからないことや知らないことについてもつかみに行く姿勢が重要ではないか、ということでした。

まとめ

 いかがでしたでしょうか! まだまだ謎の多いポスター発表ですが、どうやらポスターそれ自体というよりも、発表でどんなことを話すか、どんなことを考えたか伝える方向性が重要そうだとわかりました。中身のある発表をするためには、自らの探究活動についてしっかり考察をし、理解を深める必要があります。

 一度考えたことについて、「考えた」と満足せず、何度も考え直すようにしてみるといいかもしれませんね!