今回は、All HEROs合同会社代表/IPU環太平洋大学特命教授/元・岡山大学教育推進機構准教授の中山芳一先生にお話を伺っていきます。非認知能力研究の第一人者として、『教師のための「非認知能力」の育て方』(2023年、明治図書)、『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』(2018年、東京書籍)、『東大メンタル―「ドラゴン桜」に学ぶやりたくないことでも結果を出す技術』(2021年、日経BP)など多数の書籍を出版されている中山芳一先生ですが、今回我々「未来図」の顧問になっていただくことになりました。
そこで今回は、未来図という取り組みについて、どのようなことを感じていらっしゃるのか、お話を伺いました。(インタビュアー・西岡壱誠)。
ただモデルケースを求めるメディアではない?
―――まず率直に、『年内入試における志望理由書の無料データベース化』及び『それに対する分析を行う未来図というメディア』の活動について、どのように感じましたか?
「最初は、『年内入試における志望理由書のデータベース』ということで、『受験生のみなさんのためのモデルケースなんだな』と感じました。受験生が、『こういう感じで書いている受験生が多いんだな』というのを見ながら受験をするっていう話なんだな、と」
―――受験生が参考にするメディアなんだな、とお考えになったということですね。
「はい。しかし、未来図編集部の方々とディスカッションをしている中で、『それだけではないな』ということを感じました。これは、『大学側がこういう人材を求めているんだ』ということがわかるようになるメディアとして機能するのではないか、と。
例えば、非認知能力の1つにレジリエンスというものがあります。逆境からの回復力、と評されるものです。志望理由書に、逆境から立ち直った経験を記載している人であれば、必然的にこの人はこういう能力が高い人なんだな、ということがわかると考えられます。もし仮に、A大学の●●学部に合格している人に志望理由書を分析したときに、このレジリエンスを感じ取れるものが多かったとしましょう。そうなると、必然的にA大学の●●学部はこの非認知能力を求めているんだな、ということがわかりますよね」
―――その大学が何を求めていて、その学部がどんな人を求めているのかがわかるということですね。
「そうです。そういうコンテンツとして見ることができるだろうな、と。ただ大学の志望理由書をコピー&ペーストするだけで合格できるほど大学受験は甘くないじゃないですか。だから、合格者の志望理由書からそういった大学の情報を読み取って欲しいですね」
大学側が求めている人材を考えてみよう
―――その大学が何を求めているのかを読み取る、ということですかね。
「『こういう人がこういうことを書いているんだ』というくらいの使い方しかできないのであれば、おそらく合格は難しいでしょう。『この文章から読み取れる、大学が求めている学生像ってなんだろう?』というところまで分析していくことを求めたいですね。」
―――なるほど。志望理由書の文章を読んで、「その人がどう書いたのか」、ではなく、「大学はどこを見たのか?」を考えるのはとても面白いかもしれないですね。
「まさにそうです。それって、受験だけの短期的な話ではなくって、就職活動でも使えますよね。メタな視点で、『大学側は何を見ているのか』の読み取りをトレーニングしてほしいと感じます。
―――書いている側ではなく、「見る側」を読み取るということですね。
自己PRの罠……受験生目線の自己認識とは違う場合がある?
―――受験生目線と大学目線だと、やはり評価ポイントが違ったりすることもあるんでしょうか。
「乖離はあり得ると思いますよ。例えば、旧AO入試で合格した学生が、『自分はAOの面接のとき、奇を衒う行動をしたんです。それが評価されて、受かったと思っています。』って認識していたのですが、実はその奇を衒う行動が、むしろマイナスポイントで、実際に彼が評価されたのは、彼の話している内容がとても論理的で明快だったため、そこがプラスのポイントになったという話があります。」
―――本人はそれを知らないんですね。
「そうなんです。だから、本人がどう思っているかではなく、『見る側』として推理して欲しいんです。受験生の視点を持つのはある種、当たり前です。それを当たり前として、その逆方向から、その受験生を見ている側として、志望理由書の分析を行ってもらいたいと思いますね」
―――なるほど。
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