「一般入試はもはや少数派」だと知っていましたか?
2023年度には大学進学者の50.3%が推薦入試により入学しており、多数派となっています。
また、東北大学は2050年までに推薦入試の割合を100%にすると発表しました。さらに、東京大学では2016年度から推薦入試が開始されましたし、筑波大学でも入学者の約3割が特別選抜を利用したりと、推薦入試が重視される傾向がみられます。
一方で、推薦入試では、学力は担保されるのでしょうか?
今回は東北大学医学部に推薦入試で入学した藤沢さん(仮名)にインタビューしました。意外と知られていない「推薦入試のハイレベルさ」について伺います。
プロフィール
<藤沢さん(仮名)>
・東北大学医学部
・AOII期入試合格
・共通テスト:約85%
・探求テーマ:「都市と地方の医療格差」
東北大の医学部を目指す
__早速ですが、医学部を目指すきっかけはなんだったのでしょうか?
中学生の時アンナチュラルというドラマを見て、法医学者に興味を持ちました。人が無くなったらそこで終わり、ではなくて、その原因を諦めずに探求する姿勢に憧れました。
単純に石原さとみさんの見た目や、登場人物がカッコ良かったもの大きかったですが笑
___では、なぜ東北大なのでしょうか。
学力が届く範囲で、条件がいくつか重なったためです。
私立の医学部の学費はあまりに高額(最低でも6年間で2000万円ほど)なので、国公立が最優先でしたし、法医学を目指すにあたり、大学自体の研究レベルや、学生時代から研究ができるか、といった点も重要だと考えました。そこで色々な大学のカリキュラムと研究室を調べたら、東北大学は半年間も研究をする学期があって、魅力的に感じたんです。
また、一人暮らしができるのもプラスの要素ではありました。
なぜ推薦なのか
____最初から推薦入試で受ける予定だったんですか?
いや、そんなことはないです。一般入試で受けるつもりで、学校のプログラムをベースに勉強を進めていました。
ただ、高校2年の秋に推薦でも受けられると担任の先生から聞いて、高校3年の4月に志望校を東北大学に決めたんです。一般と推薦は併願できたので、両方受けるつもりで準備をしていました。万が一推薦に落ちても一般で挽回できますし、形式も似てるんです。だから、合格の可能性を上げるために、推薦入試を受けない理由はありませんでした。
実際に、推薦入試と一般入試の両方を受ける人も多いですし、推薦は落ちたけど、一般で合格するのも珍しい話ではありません。
※東北大の推薦について基本情報

※編集部内の現役国立医大生ライターにも試験の内容を比較してもらったところ、「推薦入試の方が問題の難易度が多少下がるものの、大きくは変わらない」とのことでした。
推薦入試が高校3年の10月、一般入試が2月にあるという4ヶ月の差を考慮に入れれば、概ね同程度の難易度と捉えられるでしょう。
また、AOII期は面接の割合が比較的高いので、アピールポイントのある人にとっては他の形式より狙い目なのかもしれません。
試験対策
___ 試験対策や成績について教えてください。
筆記試験の勉強がほとんどでした。推薦の一次試験が筆記で、そこに通らないと話は始まらないので。一般試験においても、筆記の割合が一番大きいですし。
成績は悪くなかったと思います。評定は4.5でした。共通テストは合格した後でほぼ対策しませんでしたが、85%くらいは得点しました。模試の判定でも、東北大の医学部はC判定でした。確実に受かるほどではないですが、十分可能性はあったと思います。
実際に、推薦入試の一次試験は筆記では、約150人中人中37位でした。二次では16位まで上がりました。
___ 筆記以外にはどんな準備をしましたか?
小論文、面接、志望理由書の準備が必要でした。全然情報がなかったので、担任の先生にマンツーマンで指導してもらいました。
内容は自分でネットや本をベースに調べて作り、それに対して担任の先生に論理の穴や情報の出所など細かく突っ込んでもらいました。先生が違ったら結果が違っていたと思うくらい熱心でした。
志望動機書は高校3年の4月から6月くらいで作りました。内容はドラマだけだと浅いので、法医学者の方の本を2冊ほど読みました。
また、課外活動もアピールしました。高校1、2年生で必修の探求活動があるんです。一般入試でも面接があるのはわかっていたので、何か医学部に関わる実績を作ろうと思って頑張りました。
私が東北大学医学部医学科を強く志望する理由は3つあります。1つ目は貴学が掲げている「研究第一」に見られる通り、研究に力を入れている大学だからです。私は将来法医学を通して人類社会に貢献したいと考えています。法医学はなくなった人だけではなく、生きている人にも利益を還元できる学問です。法医学によって社会正義を正したり、新たな病気のメカニズムを解明したりすることに尽力したいです。2つ目は、貴学は海外大学との連携によって国際的な情報共有共同研究が盛んな大学だからです。私は高校3年間英語学習に力を入れ、高校2年生の時に英検準1級を取得しました。ここで培った力を生かして企画でならば、異なる文化的背景を持つ海外の医療者とあるべき医療について議論を深められると考えます。3つ目は、貴学には基礎医学修練があることです。早期に研究分野に携わることで、研究者としての心構えを持ち、キャリアを築く第一歩になると思います。高校3年間で探究活動や小論文作成を通して医療に対しての関心や志を高めることができました。ここで得た観念的理解に加えて、貴学の医療現場での体験を通して医療人としての視点を得たいと考えています。また私は中学1年生から高校2年生までの5年間〜〜部で活動してきました。中学3年生の時は部長、高校2年生の時はリーダーとして働く中で、どのような組織でも柔軟にリーダー性を発揮できる力が身に付きました。この力はチーム医療の中で活動する上で必要不可欠なものです。以上の理由から私は貴学に入学するに足る理由を持った適材であると確信し、東北大学医学部医学科への入学を強く希望します。進学後は目標実現するために精一杯勉学に励みたいです。
___ なるほど。面接試験のために、課外活動には積極的に取り組んでいたんですね。具体的にどのような内容だったんですか?
医療の都市格差についてです。都市と田舎でどれくらい医療リソースが足りているかアンケートをとりました。コロナ禍だった影響か、予想とは異なって、都市の方が医師が足りなかったんです。地元とは遠い県について研究したので、大変でした。でも、甲斐あってか面接でもとても興味を持ってもらいましたし、点数としても評価されたと思います。
___ 小論文と面接はどんな準備をしましたか?
小論文と面接はあまり準備しませんでした。筆記が通ることが先決だったので。面接は2週間で担任の先生に泣きついて突貫工事でした。小論文も高校3年生の夏から、参考書をベースに進めました。
入試を振り返って
___ 世間的に見ると推薦はまだ珍しい側面もあり、国立医学部では特にそうだと思います。実際に周囲から何か言われたりしましたか?
あまりないです。特に、東北大学は一般入試と推薦入試を両方受ける人が一定数いるんです。だから、むしろ推薦の方が競争率は高い(難しい)と言う側面は少しあります。自分で言うのも恥ずかしいですが笑。
___ 今後、全て推薦になることについて何か思うことはありますか?
私が受験し直すことはないので、あまり気にしてないです。もちろん、純粋な学力は大事ですが、医療職に関しては人柄など他の部分も大事だと思うので。
しかも、医学の勉強ってひたすら覚えることが多いんです。だから、最低限の学力さえあれば、朝起きて一限に行ける能力とかの方が大事かもしれません笑。実際に私も、物理や化学は苦手でしたが、高校時代の積み重ねの差で困ることはありません。
___ 最後に、今後の進路について教えてください。
せっかくご縁があったので、東北に残ることを考えています。法医学と臨床と両方に関わりたいなと思っています。
まとめ
「推薦は学力が不要」というイメージとは裏腹に、実際には一般入試とほぼ同等の学力が求められます。
特に医学部では推薦入試の認知度がまだ低いものの、一般入試と近い対策で挑めるため、合格のチャンスを2回に増やせる有効な手段です。そのため、多くの生徒が受験をし、競争が一般入試よりも激しい側面もあります。
一般入試が主流という考えを改めてみるのはいかがでしょうか。




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