2026年9月20日、上智大学経済学部経営学科の海外就学経験者(帰国生)入学試験が行われました。未来図編集部が独自に入手した入試問題の概要と、関連すると思われる社会問題、リザプロ株式会社推薦対策事業部が想定する回答の方向などをお伝えします!

問題概要

 当日は、午前に90分間の筆記試験、午後に個別面接が行われました。

 筆記試験は、国語的な読解問題と数学の2つで構成されていました。読解問題では、科学と疑似科学を区別する基準としての「反証可能性」をテーマとした文章が出題され、漢字の読み書き、文中の空欄に当てはまる語句を答える問題、そして科学と疑似科学の違いを200字で要約する問題などが問われました。

 数学は全20問で、幅広い範囲から出題されました。受験生によると、特に数学Bの統計や確率の分野の対策が重要だったようです。

 経営学科らしく、文章を正確に読み取る力に加えて、データや数値を扱う基礎的な数理能力もバランスよく求められたといえます。

用語解説:「反証可能性」とは

 反証可能性とは、「ある主張が、観察や実験によって間違っていると示される可能性をもっていること」を指します。イギリスの哲学者カール・ポパーが、科学と疑似科学を区別する基準として提唱した考え方です。

 たとえば「すべての白鳥は白い」という主張は、黒い白鳥が一羽でも見つかれば誤りだと示せるため、反証可能であり科学的な主張といえます。

 一方、「信じる人には効果がある」「効果が出ないのは信じ方が足りないからだ」といった主張は、どんな結果が出ても言い逃れができてしまうため、反証することができません。

 ポパーは、このように反証の余地をもたない主張を科学とは区別しました。つまり科学とは、「絶対に正しいこと」ではなく、「間違いを検証できる形で示され、検証に耐え続けている仮説」だということになります。

関連すると思われる社会問題

 この試験内容から読み取れる関連社会問題として、「科学的根拠のない広告や情報の拡散」が挙げられます。健康食品や化粧品などの分野では、科学的な根拠が不十分なまま「飲むだけで痩せる」「これで肌が若返る」といった効果をうたう広告が問題となることがあります。日本では、医薬品医療機器等法(薬機法)や景品表示法によって、化粧品や健康食品の効能の表示が規制されています。

 また、SNSの普及によって、根拠の不確かな情報が「体験談」として急速に広がるようになりました。経営学、特にマーケティングを学ぶうえでは、消費者の心を動かす表現と、科学的根拠に基づく誠実な情報発信とのバランスをどう取るかが重要な課題となります。

 企業の信頼性やブランド価値を守るという観点からも、反証可能性の考え方は決して他人事ではないのです。

理想回答の一例

① テーマ理解
 科学と疑似科学を分ける基準は、その主張が「正しいかどうか」ではなく、「間違いを示される可能性に開かれているかどうか」にある。要約問題では、この逆説的なポイントを外さずに示すことが重要である。


② 内容展開の方向性
A. 科学的な主張とは、観察や実験によって反証される可能性をもつものであることを示す。
B. 疑似科学は、どのような結果も説明できてしまうため反証できず、一見すると「強い」理論に見えることを示す。
C. 科学の本質は、反証の試みに耐え続けることで信頼性を高めていく点にあるとまとめる。


③ 要約例(200字)
 科学と疑似科学を区別する基準は、主張が反証可能であるかどうかにある。科学的な主張は、観察や実験によって誤りだと示される可能性をもち、その検証に耐え続けることで信頼性を獲得する。

 一方、疑似科学はどのような結果が出ても説明をつけられるため、一見すると万能に見えるが、誤りを検証する余地がなく、科学とはいえない。つまり科学の本質は、絶対的な正しさではなく、誤りを認め修正し続ける開かれた姿勢にある。

面接について

・面接の形式:個別
・面接官の人数:2人
・面接時間:約10分
・実際にあった質問:
 志望動機/滞在していた国と日本とで、自分の関心分野の商品やマーケティングにどのような違いがあるか/海外経験を通じて変わった自分の性格や価値観/最近気になったニュース/大学で勉強以外にやりたいこと など


 志望理由書の内容をふまえつつ、海外での経験を自分の関心分野とどう結びつけているかを確かめる質問が中心でした。
 「滞在国と日本の違い」という質問には、商品の特徴と広告戦略の両面から具体的に比較できるかどうかが問われたといえます。経営学科を志望する以上、「現地で何を感じたか」だけでなく、「それをビジネスの視点からどう分析するか」まで語れることが大切です。

 また、「最近気になったニュース」では、オーストラリアなどで進む未成年のSNS利用規制を取り上げ、規制への自分の意見に加えて、SNSマーケティングの対象となる顧客層が変わる可能性にまで話を広げた受験生もいました。時事問題を志望分野と結びつけて語る準備は、面接の大きな武器になります。

 なお、当日は9時30分に集合し、10時から11時30分まで筆記試験が行われました。その後2時間ほどの昼休憩をはさみ、13時45分に面接の集合、14時から面接が始まりました。

 受験生からは「面接が始まってからはスマートフォンが使えなかったため、志望理由書や教授の研究に関する記事、アドミッション・ポリシー、専門用語の定義などをすべて印刷して持参してよかった」「過去問を解いておいてよかった」という声が寄せられました。

 一方で、「入退室の練習や、2人の面接官への目線の配り方の練習が足りなかった」「漢字や、数学Bの統計・確率をもっと重点的に練習しておけばよかった」という反省の声もありました。面接は対面で行われるため、話す内容だけでなく立ち居振る舞いまで含めた準備が、合格へのカギとなりそうです。