2026年の秋も深まり、ついに推薦入試本番の季節となりました。
自信がついてきた人も、くじけそうになっている人も、様々な受験の形があると思います。

未来図編集部では、全ての受験生の頑張りを応援しています。
そこで、「実際に合格した先輩たちのリアル」をテーマに、受験体験記を仕上げてもらいました。
先輩たちの喜びと不安から、「これでいいんだ」「みんなもこうだったんだ」と感じてもらえればうれしいです。

今回掲載するのは、現在上智大学に通う斎藤花蓮さん(仮名)。
苦手だった英語を頑張ってから自信が出てきた斎藤さんは、総合型と一般を併用したオールラウンダー。
普通はどちらかに手が回らなくなる茨の道ですが、どうして彼女はこの道を歩もうとしたのでしょうか?

「メディア社会学」を軸に

私が通っていたのは、大学進学がほぼ当たり前の進学校でした。

周囲には東大や京大、難関国立、早稲田、慶應を目指す人が多く、大学以外の進路を選ぶ人はほとんどいませんでした。
特に国立大学を目指すことが当然という空気が強く、私立大学を志望することさえ少し珍しく感じられる環境でした。

そんな中で、私は比較的早い段階から私立大学を考えていました。
理由は、自分が興味を持っていた「メディア社会」という分野を学べる学部が、国立大学にはあまりなかったから。
高校1、2年生の頃から社会学部やメディア系の学科を調べるようになり、次第に早稲田大学、上智大学、立教大学などを意識するようになりました。

画像はイメージです。生成AIを利用しています。

最初から「絶対に難関私大に行こう」と思っていたわけではありません。
高校1年生の頃は、自分がそうした大学を目指せるという実感もあまりありませんでした。
しかし、高校2年生の終わり頃になると学力も少しずつ伸び、周囲の影響も受けながら、MARCH以上、さらに早稲田や上智を本気で目指すようになっていきました。

苦手な英語をてこ入れ

難関大学を目指せるようになったのは、英語が得意になったことも大きく影響しています。

中学の頃はむしろ苦手で、中学2年生頃までは学校のクラス分けでも下のクラスにいたこともあります。
ただ、英語そのものが嫌いだったわけではなく、「できないから苦手」なだけでした。

私は、勉強が得意になりたかったわけではありません。
でも、「勉強ができない自分」は嫌いでした。自分の理想像と、かけ離れていたからです。

ある日、「そうか、英単語や英文法などの基礎から始めれば、英語が得意になるかもしれないんだ」と気付く機会がありました。
そこから中学3年生頃に英語を集中的に勉強するようになり、高校では一番上のクラスに入っていました。

「基礎から始めなさい」とか「基礎固めをしっかり」とか、うんざりするほど言われて嫌になることもありましたが、振り返れば、本当に基礎から始めるべきでしたし、実際に私は基礎から始めた結果、成績が急上昇しています。
苦手だった科目でも、時間をかければ自分の武器にできるという経験は、その後の受験でも自信になっていたと思います。

音楽活動と両立

一方で、高校1、2年生の頃は勉強だけをしていたわけではありません。
軽音楽部に所属し、ライブや文化祭にも力を入れていました。

画像はイメージです。生成AIを使用しています。

大学受験が本格化したのは高校2年生の終わり頃からです。
そこから徐々に勉強時間が増えていき、高3では生活が一気に受験中心になりました。

平日は16時頃まで学校に通った後、週5、6日ほど塾へ行っていました。
授業も含めれば、1日7、8時間ほど勉強していたと思います。
休日は自習室が開く朝10時頃から夜10時頃まで過ごし、1日10時間ほど勉強する日もありました。

もちろん、ずっと集中できていたわけではありません。

集中力が切れた時には、食事をしながら好きなYouTubeを見たり、勉強する気力がなくなった時には佐藤幸夫先生の世界史の解説動画を見たりしていました。
机に向かえない時も、完全に勉強から離れるのではなく、「それがゴリラクオリティ」というYouTuberの動画を見て歴史総合の概要知識を入れるなど、自分なりに受験との距離を保っていました。

総合と一般を両立

私の受験の大きな特徴は、総合型推薦入試と一般選抜を併用したことです。

私の学校には指定校推薦が一切といっていいほどなく、そもそも推薦入試を利用する人自体が非常に少ない環境でした。
1学年200人に満たないほどの中高一貫校でしたが、前年までは総合型選抜を受ける人がほぼいないような状況で、私の学年でも受験する人は一桁程度でした。
学校全体としても一般入試、特に国立大学を目指すことが中心だったため、総合型選抜自体に少しアウェーな感覚がありました。

それでも私が推薦に挑戦した理由は二つあります。

一つは、単純に受験できる回数を増やせると思ったからです。
一般入試だけでなく総合型選抜も使えば、自分が第一志望群の大学に合格できる可能性を増やせます。

もう一つは、私はペーパーテストだけで勝負するよりも、自分の考えを話したり、自分自身を表現したりすることの方が得意だと思っていたからです。
試験の点数だけでなく、これまで自分が何をしてきたか、何を考えているのかを見てもらえる入試なら、自分の強みを活かせるかもしれないと思いました。

高校3年生の春からは、一般入試の塾に加えてオンラインの推薦塾にも通い始めました。

複数の塾を掛け持ちしながら、基本的には一般入試の勉強を中心に進めました。
感覚としては、普段は一般9割、推薦1割くらいです。
推薦対策は、一般入試の勉強の合間の「息抜き」のような位置づけでもありました。

ただし、推薦直前の9月後半から10月いっぱいまでは状況が逆転しました。

小論文や志望理由書の対策が増え、推薦6割、一般4割ほどになった時期もあります。
直前期には1日に何本も小論文を書き、添削してもらうことを繰り返しました。
それでも、当時は早稲田大学を第一志望にしていたため、一般入試の勉強を完全に止めることだけはしませんでした。

推薦で特に力を入れたのが、立教大学社会学部メディア社会学科です。

私は学校の探究活動を通して、SNSマーケティングについて研究していました。
自分で論文などを読みながら考えをまとめ、成果物も作っていました。
その内容を自らNPOの方にプレゼンしにいき、「高校生でここまで探究しているのはすごい」と評価していただいたことをきっかけに、研究をさらに深めるための協力をしてもらえるようになりました。

その中で、立教大学の先生に自分の研究内容を見てもらい、直接フィードバックをいただく機会も得ました。
先生からいただいた意見をもとに自分の研究をさらに深め、その経験を「だからこそ立教大学で学びたい」という志望理由につなげていきました。

結果として、立教大学社会学部メディア社会学科の総合型選抜に合格することができました。
合格者は非常に少なく、その中の一人に入れたことは本当に嬉しかったです。

画像はイメージです。生成AIを使用しています。

不合格から一般でリベンジ

一方で、上智大学の公募推薦には不合格でした。

この不合格は、私の受験生活の中でも特に印象に残っています。

面接では、自分の志望理由についてかなり厳しく質問され、「なぜここを志望しているのか分からない」といったことも言われました。
それでも、自分の可能性を信じていたので、結果を見るまでは受かっている可能性もあると思っていました。

合否は家で母と一緒に見ました。不合格だと分かった時は、本当に悔しくて、かなり泣きました。

ただ、私は推薦受験生であると同時に、一般受験生でもありました。
何日も落ち込んでいる余裕はありませんでした。

そこで、「落ち込むのは今日一日だけにしよう」と決めました。
その日は何もせず、泣いて、休んで、翌日から一般入試の勉強に戻りました。

不思議なことに、上智の推薦に落ちたことで、むしろ上智に行きたいという気持ちは強くなりました。
それまでは早稲田大学を第一志望としていましたが、「一般で上智に入りたい」と考えるようになったのです。

ただ、それまで私は早稲田を意識した勉強を中心にしており、共通テスト対策にはほとんど力を入れていませんでした。
上智大学の一般入試では共通テストを利用する方式があったため、そこから短期間で対策を始めることに。

急ごしらえの付け焼刃でしたが、それでも、それまで積み重ねてきた基礎が助けてくれて、最終的には9割前半ほどを取れました。

そして私は、上智大学に共通テスト併用方式で合格し、進学しました。

「最短で早稲田」より「遠回りの上智」

推薦で一度不合格になった大学に、一般入試でもう一度挑戦して合格できたことも含めて、私にとっては遠回りもすべて今につながっています。

ちなみに一般入試では、早稲田大学文学部と文化構想学部も受験しました。しかし、どちらもあと数点というところで不合格でした。

この結果だけを見ると、「推薦をやらずに、ずっと早稲田対策だけをしていれば受かっていたのではないか」と思うこともあります。
実際、推薦直前には約1か月以上、一般入試の勉強量が半分程度になっていた時期がありました。
さらに、上智を一般で受けるために共通テスト対策にも多くの時間を使いました。

その時間をすべて早稲田対策に使っていれば、結果が変わっていた可能性は十分あり得ます。
周囲からも「推薦をやっていなければ早稲田に受かっていたかもしれない」と言われました。

それでも私は、どちらか一方に絞る必要はないと考えています。
もう一度高校3年生に戻ったとしても、私はきっと、一般入試だけではなく推薦にも挑戦するでしょう。

画像はイメージです。生成AIを使用しています。

一般入試と推薦入試には、向き不向きがある気がします。
推薦入試はマッチング次第の面がある一方で、熱意が評価される点で、一般入試とは別の可能性を秘めているからです。

全く性質が違うからこそ、両方を組み合わせると、それだけ多くの時間がかかります。

一般と推薦を併用していたからこそ、最後まで受験を続けられました。
毎日同じように一般入試の問題だけを解いていたら、私の場合は途中で集中力が切れていたかもしれません。
志望理由書を書いたり、自分の研究について考えたり、人と話したりする推薦対策は、受験生活の中で違う頭を使える時間でもありました。

そして何より、総合型選抜を経験したことで、高校生のうちに自分自身について深く考えることができました。

自分はこれまで何をしてきたのか。何に興味があるのか。なぜ大学に行きたいのか。将来何をしたいのか。

こうしたことを本気で振り返る機会は、人生の中でも意外と多くありません。
大学生になれば就職活動で自分について考える機会がありますが、私はその前に一度、総合型選抜という機会を通して自分の人生の「ポートフォリオ」を作ることができました。

繰り返すようですが、一般と推薦は向き不向きの問題でしかありません。
自分がペーパーテストで力を発揮できるなら一般入試に挑戦すればいいし、自分の経験や考えを伝えることに強みがあるなら総合型選抜に挑戦すればいい。
私のように、両方を使うのもありです。

受験は、最も効率の良いルートだけを選ぶものではないと感じます。
結果だけを見れば遠回りに見える経験でも、その過程で自分自身について知ったことや、人に支えてもらった経験は、その後にも残ります。

私は一般と推薦を併用したからこそ、悔しい経験も、合格する喜びも、自分自身を深く知る時間も経験することができました。
だからこそ、みなさんにも「絶対に一般(推薦)」と決めつけずに、両方のいいところを調べてみてほしいと思います。