不登校問題の現在

 近年、全国的に増加傾向にある「不登校」の問題。文部科学省の最新データによると、11年連続で過去最多の人数になっているということがわかります。

小・中学校(国公私立):約34万6千人
高等学校(国公私立):約6万9千人

 全国的にその影響は波及しており、都会の生徒だけでなく地域の生徒も不登校数が増えていると言われています。背景には、SNSの進展やいじめ問題・複雑な心理的・社会的要因が存在していると言われています。

 今回は、都道府県別にみた不登校の「割合」に注目し、1000人あたりの中学生の不登校率が高い5つの都道府県をランキング形式で紹介するとともに、上位3県についてはその背景や要因についても掘り下げて考察していきます。 

人数で言うと東京が圧倒的!

 まず、人数ベースで考えると、下記のようなデータになります。

小学校(2024年データ)
1.東京都:13,481人
2.神奈川県:9,667人
3.愛知県:9,375人

中学校(2024年データ)
1.東京都:20,718人
2.神奈川県:14,964人
3.大阪府:14,818人

 ということで、圧倒的に都会が多いということがわかるのですが、しかこれらの都道府県は人口が多いため、不登校者数も多くなる傾向があります。都会でばかり不登校の問題が起こっているわけではなく、人数規模で不登校問題は捉える必要があります。

不登校率の高い都道府県、1〜5位は?

 ここからは、生徒数1000人あたりの不登校人数を見て、不登校率が高い都道府県をランキングで紹介します。

小学校

順位

都道府県

不登校率(1,000人あたり)

1位

沖縄県

32.7人

2位

長野県

30.5人

3位

島根県

29.2人

4位

宮城県

27.4人

5位

静岡県

26.7人

中学生

順位

都道府県

不登校率(1000人あたり)

1位

宮城県

83.2人

2位

北海道

80.7人

3位

島根県

77.6人

4位

栃木県

77.5人

5位

福岡県

76.2人

ニュースクより抜粋

中学校不登校率1位は宮城県

 まず、中学校の不登校割合が1位になっているのは宮城県です。これには、少なからず震災の影響があるのではないかと考察できます。

 東日本大震災以降、地域社会や家庭の環境に長期的な影響が残っていることが示唆されています。家庭の不安定化、地域コミュニティの崩壊、保護者の経済的負担などが子どもたちの心理的ストレスを高めている可能性があります。また、教育支援やスクールカウンセラー・フリースクールの存在がまだ都会の地域と比べて配置に差があれてないかとも指摘されています。こうした施設・人材の不足によって、早期のケアが難しい状況が生まれているのではないかと考えられます。

小学校不登校率1位は沖縄県

 小学校の不登校割合が1位は沖縄県です。沖縄県は、子供の出生率が高く、県内人口に占める子供の数の割合は高い一方で、経済的には所得の低い家庭も多く、経済的な困難から子供のケアが十分にできていない可能性があると言われています。

 また、地域性・県民性も関係しているのではないかと言われています。受験が活発な都会に比べ、教育に対する熱量が都会よりも低く、それによって学校に行かないという選択肢を取ることにも抵抗感が少ない家庭が多いのではないかという指摘もあります。

小学校中学校ともに不登校率が高い島根県

 島根県は、小学校中学校ともに不登校率3位となっています。これは宮城県と同様にフリースクールの少なさも指摘されていますが、学校規模の小ささも関係しているのではないかと言われています。人口に対しての子供の割合が少ない島根県の学校では、1学年に1クラスのみという学校も多いです。

 そうなると、ちょっとした人間関係のトラブルが逃げ場のない深刻な問題になりやすい傾向があるのではないかと指摘されています。

 子供の数が多い沖縄県でも、子供の数が少ない島根県でも、不登校の割合が高いというところに、なんとなく不登校の問題の根深さが見えますね。

フリースクールの少ない県は不登校率が高い?

 不登校率が高い都道府県に共通する特徴のひとつとして、「フリースクールの数が少ない」という点が指摘されています。たとえば、島根県や長野県など、人口が少なく教育機関が限られる地方では、不登校児童生徒の受け皿となるフリースクールが非常に少なく、本人や家庭が代替の学びの場を見つけにくい現状があります。その結果、学校に通えない子どもが孤立しやすくなり、不登校が長期化・深刻化する傾向にあるのです。

 そもそもフリースクールとは、学校以外の学びの場であり、不登校の子どもたちが安心して過ごし、自分のペースで学習したり社会とのつながりを取り戻したりするための施設です。公的な学校とは異なり、学年制やカリキュラムにとらわれず、個々の事情に合わせた柔軟な対応が可能です。

 近年、フリースクールの存在意義は全国的に認知されつつあるものの、その数や質には都道府県によって大きな差があります。そしてやはり東京などの都市圏では多くフリースクールが存在しているというのも実情です。こうしたことが、不登校率の開きを生んでいる可能性も示唆されています。

まとめ

 不登校は、単に「学校に行っていない状態」を意味するだけではありません。その背景には、家庭環境、地域格差、学校内の人間関係、経済的困難、そして個々の心理的要因など、実にさまざまな事情が複雑に絡み合っています。都市部でも地方でも、不登校の子どもたちは存在しており、必ずしも「特定の地域だけの問題」ではありません。むしろ、支援体制や代替の学びの場――たとえばフリースクールの数などが、不登校の深刻度を左右しているとも言えるでしょう。不登校を「悪」と断じるのではなく、「学びの多様性」の一形態として社会全体で受け止め、支える姿勢が今、強く求められています。