近年、通信制高校の人気が爆発している。
少子化でこともの数は年々減っているのにも関わらず、こうした学校の生徒数は鰻登りだ。
以前は「不登校生徒の受け皿」というイメージもあった通信制高校だが、コロナ禍以降「必ず学校に行かなければいけないと信じていた生徒と親たちが、別の選択肢があるということに気がついた」こともあり、人気を増した。今や高校生の10人に1人が通信制高校に通っているのが現状だ。
中でも最も話題に上るのは、学校法人角川ドワンゴ学園N高等学校(N高)だろう。
インターネットと通信制高校の制度を活用した「ネットの高校」として2016年4月に開校。2021年には、2校目となるS高等学校がスタートしている。
N高・S高は、2024年8月30日時点の在籍生徒数が3万人を超え、この春、9962人が卒業した。新たに3校目のR高も開校した。
ユニークな学校として知られるが、実は進学実績も上がっている。
2024年度大学入試合格実績を見ると、 国公立大学の合格者数は189名、そのうち東京大学の合格者数は7名。医学部医学科に13名、早稲田・慶應に82名、関関同立に291名 合格と、年々難関大への合格者を増やしている。
この勢いの秘密を探るべく、今回はN校S校のカリキュラムやコース、学習サポートについて深掘りしていきたいと思う。

N校・S校にはどんなコースがある?
N校S校には大きく分けて3つのコースがある。
1つずつ見ていこう。
- ネットコース
ネットコースは、N高に通うほとんどに人が所属するコースだ。
基本はインターネット上で学習を進めることになるが、年に合計で10日程度、全国にあるキャンパスのいずれかに登校することで単位を取得することができる仕組みとなっている。
ネットコースでは、N予備校というサイトで決まった授業をすべて受講した後に単位認定のためのテストを受けることによって進級・卒業をすることが可能になる。
このテストはそこまで難しくなく、赤点を取ってしまっても追試をインターネット上で受け、合格することで問題なく単位を取得することができる。
- 通学コース
通学コースは、全国にあるキャンパスに毎週決まった日数通うことができるコースだ。
この「できる」というのが重要で、あくまで通学コースはネットコース+αなので、通学コースに通っているからと言ってネットコースの卒業要件が必要なくなるなどの優遇措置はなく、ネットコースとまったく同じようにN予備校から授業を受け、単位認定テストを受ける必要がある。
通学コースには、主に三つのコースがあり、平日に毎日通学する週5コース、月・水・金に通う週3コース、木に通う週1コースが存在する。
通学コースの特徴は、主に2つある。
1つは友人を作りやすいこと、2つは既存の学校とは違った授業を受けることができることだ。
実際の通学で友人が作りやすいのは言うまでも無いので、2つ目について言及する。
通学コースにはいくつか特徴的な授業が存在する。
まず、プロジェクトN(以下プロN)だ。
これは、いわゆるPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)というもので、実際にプロジェクトを自分たちで作ることで、社会人に必要なスキルを養うことができるというものになっている。
また、N高の通学コースではプログラミングを行う時間も用意されており、TA(ティーチング・アシスタント)の力を借りながら、またN予備校に用意されたプログラミングの授業を受けながら、プログラミングをすることができる。
その他、特進という受験に特化したコースも選択することが可能で、多様な学習をサポートしているのが通学コースの特徴なっている。
- オンライン通学コース
オンライン通学コースは、生徒たちがネット上に集いプロジェクト型学習やグループワークに取り組むコースだ。
クラスの時間帯(午後/午前)や頻度(週1日/3日)を選ぶことができ、自分のライフスタイルに合わせて学ぶことが可能だ。
さらに、オンライン学習以外にもさまざまな活動がある。
その1つに「コミュニティ活動」通称“コミュ活”と呼ばれる人気授業がある。
コミュニティ活動の目的は、共同作業を通して話ができる仲間を作ることだ。
授業では、コミュニティを「大切にしたいことを軸に集まって活動する集団」と定義し、好きなことややりたいことが同じメンバーがビデオ会議ツール「Zoom」内でそれぞれのブレイクアウトルームに集い、さまざまな実践を重ねて仲を深めていく。
これまでに、ゲーム制作、音楽、『Minecraft(マインクラフト)』、スポーツ観戦、イラスト、健康など、多種多様なコミュニティが生まれてきた。

学習のサポート体制
N高には、「N予備校」という、オンラインで授業を受講することができる仕組みが存在する。
受験で必要な数学や英語などを始め、プログラミングや、大学で学ぶような量子力学の入門などの講座も受講可能だ。
N高、S高の特徴として、成績がかなりゆるくつけられている(遅延なく授業を受講し、追試なしで単位認定されるだけで成績5がもらえる)ため、推薦入試や、海外大学への進学に有利に働くという特徴もある。
前近代的な管理型の自称進学校に通い、一般入試の勉強のみを詰め込まれるよりは、こちらのカリキュラムの方が非認知能力も含め多面的な力を養成できそうだと感じるのは私だけだろうか。
学校生活
N高では、コミュニケーションツールとしSlackを導入しており、しかも生徒がチャンネルを自由に作成することができる。
また、部活や同好会が存在する。
部活とは言ってもスポーツ系の部活ではなく、意識が高いものやe-Sportsなどが中心となる。
具体的には、研究部・政治部・起業部などがある。
これらにはかなり力が入れられており、例えば政治部では首相経験者を何人も呼んで講演会を行うなど、学校側も力を入れているようだ。この柔軟性も、伝統的な公立校などにはなかなか真似できない一面だろう。
まとめ‐生徒自身が自由にできるシステム
N高、S高はカリキュラムや部活動を含め、生徒自身が自由にできるシステムが整っている。
なにもしなければ高卒認定を得られるだけで終わってしまい、実際それで入学した目標は果たせたという人も多いだろう。
しかし、やる気のある人には徹底的にサポートする体制が整っており、いくらでも有効活用することができる。
この環境は生かすもの殺すも自分次第だ。
本校には何かしらの問題や、理由を持って入学する生徒が大半であるが、入学後どれだけ前を向いて生活できるかが明暗を分け、その後の人生にも大きく影響することだろう。

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