2025年10月5日、明治大学政治経済学部経済学科グローバル型特別入試が行われました。未来図編集部が独自に入手した入試問題の概要と、関連すると思われる社会問題、リザプロ株式会社推薦対策事業部が想定する回答の方向などをお伝えします!
○問題概要
当日は「消費者市民社会」について問う内容が出題されたそうです。与えられたデータと文を読み解き、3つの出題に答える形式でした。
○消費者市民社会とは?
「消費者市民社会」とは、消費を「単なる個人の満足のための行為」と捉えず、より広い社会的視野を持って消費行動を行い、社会の発展や持続可能性に主体的に貢献しようとする社会のあり方です。従来、消費者の役割は商品やサービスの受け手であり、消費は個人の必要や欲求を満たすための営みに過ぎないと考えられてきました。しかし、現代社会では私たちの消費行動が地球環境や経済、他の人々、さらには将来世代にも大きな影響を与えることが明らかになっています。
例えば、衣類を購入する際に「ただ安いから」「デザインが良いから」という理由だけで選ぶのではなく、その製品が発展途上国の労働者に公正な賃金が支払われているか、大量生産による環境負荷が少ないかといった要素を考慮することが、消費者市民社会的な選択です。また、環境に配慮したエコ商品やフェアトレード商品を選ぶことも、その一例です。こうした「エシカル消費」が普及すれば、企業側も人権や地球環境に配慮した商品づくりを促進し、結果的に社会全体が倫理的に向上していきます。
さらに、消費者市民社会においては、消費者が消費者トラブル等に対して情報を共有したり、必要に応じて行政機関に相談することも重要な役割です。たとえば、友人が自分と同じ通信販売でトラブルに遭っていれば、その情報を周囲に広めたり消費生活センターに相談したりすることで、同じ被害の拡大を防ぐことができます。また、無駄な買い物を控えたり、長く使えるものを選ぶ姿勢も、資源の有効活用と社会的責任につながります。
このように、消費者一人ひとりが「自分の選択が社会や環境にどう影響するか」を意識し、身近な消費行動から社会問題の解決やより良い未来づくりに参画していくことが、消費者市民社会の根幹です。法律や自治体の施策でもこの考え方が強調されており、消費者教育を通じてこうした意識を高める取り組みが進んでいます。
○関連すると思われる社会問題
最も代表的なものとして挙げられるのは「地球温暖化」や「資源の枯渇」といった環境問題です。日々の消費行動、たとえば石油由来のプラスチック製品を大量に消費・廃棄したり、エネルギー効率の低い製品を選ぶことは、温室効果ガスの排出や資源の無駄遣いに直結します。また、ファストファッションの流行や食料の買い過ぎ、食品ロスといった問題も、持続可能な社会の実現を阻害する要因となっており、消費者一人ひとりの意識と行動の変革が求められています。
発展途上国における労働問題や児童労働も深刻な社会問題です。安価な商品やサービスの陰には、低賃金労働や過酷な労働環境を強いられる人たちが多数存在している場合が多く、そのような現状を生み出す大量消費の構造にも目を向ける必要があります。国際的な貧困や格差の拡大も、消費行動によって加速しかねない課題です。
さらに、ブラック企業などの労働問題、消費者被害や詐欺の横行、高齢者や障がい者など社会的弱者の消費トラブルも、消費者市民社会の実現と深く関わります。情報格差や情報の非対称性の中で消費者が適切な判断を下せず、不利益や被害を受けるケースは後を絶ちません。このため消費者教育や情報共有、適切な法整備などによる自立支援が欠かせません。
そのほか「地産地消」の推進による地域経済の活性化や、フェアトレード商品の選択を通じたグローバルな連帯も現代的なテーマです。消費者市民社会の実現には、一人ひとりの消費行動が地球規模の問題や社会的弱者の保護にどのようにつながるかを理解し、日常生活の中で具体的な行動を起こしていくことが重要となります。
○理想回答の一例
① テーマ理解:キーワードの整理
「消費者市民社会」とは、単なる「消費者が商品を選ぶ社会」ではなく、消費者が社会の一員(市民)として、環境・人権・公正な取引などを意識し、責任ある行動をとる社会を意味します。
背景には次のような問題意識があります。
・企業活動が地球環境・労働・人権に影響を与える時代
・消費者が価格や利便性だけでなく、社会的・倫理的観点で選択する力を持つ必要性
・「買い物は投票」という考え方
つまり、「消費者」+「市民」という二重の立場がポイントです。
② 小論文としての方向性の立て方(論旨の型)
大きく3つの方向が考えられます。
A. 倫理・社会的責任の観点から論じる型
- 主張:消費者が倫理的判断力を持つことが、持続可能な社会の基盤になる。
- 論拠例:
・企業の社会的責任(CSR)を促すのは消費者の選択。
・フェアトレードやエシカル消費の拡大が良い例。 - 課題・展望:
・情報の非対称性(本当に「エシカル」か判断が難しい)
・教育・行政・メディアによる情報支援の必要
➡ 「自立した倫理的消費者の育成」を結論とする。
B. 経済と民主主義の関係から論じる型
- 主張:市場の中での選択も、市民の政治的行動の一形態である。
- 論拠例:
・不買運動やボイコットは、民主的意思表明の手段。
・消費行動が政策や企業方針に影響を与える。 - 課題・展望:
・SNS時代の消費者運動の可能性と課題(炎上・情報操作など)
・「消費の力」を正しく用いる市民教育が必要
➡ 「経済行動としての民主主義」という切り口。
C. 教育・制度整備の観点から論じる型
- 主張:消費者市民社会の実現には、教育と制度の支えが不可欠。
- 論拠例:
・学校教育での消費者教育(2022年度から高校家庭科で本格導入)。
・消費者庁や地方自治体による情報提供・相談体制。 - 課題・展望:
・知識を得ても実践できるかは別問題。
・個人任せにせず、社会全体で支える仕組みを。
➡ 「知識・制度・実践の三位一体の形成」という方向。
③ 構成の例(800字程度の標準型)
序論(100〜150字)
現代社会で消費者は、単なる購入者ではなく社会的責任をもつ市民としての行動が求められている。企業の活動が地球環境や人権に影響を及ぼす中、「消費者市民社会」の構築が課題となっている。
本論(500〜550字)
まず、消費者が社会問題を意識した行動をとることで、企業のあり方を変える力が生まれる。たとえばフェアトレード製品を選ぶことは、途上国の労働環境改善に寄与する。また、企業が環境負荷の低い製品を開発する動機にもなる。しかし現実には、情報の不足や価格の高さから、消費者が必ずしも倫理的選択をしやすいとは限らない。したがって、行政や教育機関が信頼できる情報を提供し、市民が判断力を育てられる仕組みが重要である。
結論(100字程度)
消費者市民社会の実現には、個人の意識改革だけでなく、社会全体の支援が不可欠である。私たち一人ひとりが「買い物で社会を変える」主体であることを自覚することが、持続可能な未来への第一歩となる。
○面接について
・面接の形式
個別形式
・面接官の人数
2人
・実際にあった質問
志望動機、大学で取り組みたいこと、勉強以外で取り組みたいこと、これまでの国際交流履歴、高校での活動内容、今後のキャリアについて




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