2025年10月18日、早稲田大学創造理工学部建築学科の建築AO選抜二次試験が行われました。未来図編集部が独自に入手した入試問題の概要と、関連すると思われる社会問題、リザプロ株式会社推薦対策事業部が想定する回答の方向などをお伝えします!

○問題概要

当日は「重量と質感をデッサンで表現せよ」について問う内容が出題されたそうです。

○重量と質感とは?

 「重量」と「質感」は、どちらも建築表現において不可欠な要素である。
 「重量」とは、物体の物理的な重さだけでなく、視覚的・心理的に感じられる“重さ”の印象を指す。コンクリートや石のように影が深く、線が密なものは安定感と力強さを生む。一方、布やガラスのように光を透過し、線が軽いものは浮遊感や柔らかさを表現する。
建築の世界では、柱や梁の配置、素材の選択、光の取り込み方などによって、この「重さの感覚」を操作し、空間の安定・緊張・解放感を創り出す。

 「質感」とは、素材の表面が持つ触覚的・感覚的特徴を、視覚を通して伝える力のことである。木のぬくもり、金属の冷たさ、石のざらつき、布の柔らかさ——これらは建築空間における感情の温度を決定づける。質感を描くとは、光の反射・吸収・影の滲み方を観察し、それを線と濃淡で再構成する行為であり、「手で触れずに感じ取るリアリティ」を創り出す行為でもある。
 
 この課題で問われているのは、単なる描写力ではなく、観察・構成・表現を通して素材の“本質”を読み取る建築的視点である。

○理想回答の一例

テーマ理解:キーワードの整理
この課題の狙いは、「形を正確に写す力」ではなく、「ものの構造や素材をどう見て、どう伝えるか」という空間認識力と表現設計力を評価する点にある。
・「重量」=物理的重さ × 視覚的印象
・「質感」=触覚的特徴 × 光と影の操作
→ 二つの概念を同時に扱うには、素材の“特性の対比”を通して、空間の緊張と調和を生む構成が必要。

小論文(デッサン表現)としての方向性
建築AOの評価観点を踏まえると、大きく3つの表現方向が考えられる。

A. 構造と安定性から考える型
主張:重力を意識した構図と陰影で「支える」「浮く」の関係を表す。
論拠例:重いものを下に配置し、軽いものを上に置くことで、建築的な安定感を示す。
課題:単なる上下構成では単調になりやすい。光源と視点を工夫し、空間的リズムを出す。
➡ 「構造の中に生まれる重さの美」を描く方向。

B. 素材と質感の対比から考える型
主張:異なる素材の対比を通して、空間の多様性を視覚化する。
論拠例:石と布、鉄と木など、硬質×柔軟のコントラストを描く。
課題:質感の描き分けだけでなく、素材同士の関係性(接触・重なり・反射)を設計する必要がある。
➡ 「異素材の対話による空間の豊かさ」を表す方向。

C. 光と空間の関係から考える型
主張:重量と質感は、光と影の配置によって決まる。
論拠例:影を濃くするほど重量が強調され、光の反射が質感を浮かび上がらせる。
課題:光源の設定が不明確だと空間が崩れるため、明暗の一貫性が重要。
➡ 「光を設計するデッサン」という切り口。

構成の例(デッサン意図説明文の型)
序論(100〜150字)
 このデッサンでは、石と布という異なる素材を用いて「重量と質感」を対比的に表現した。石の重さは濃密な陰影と低い重心で、布の柔らかさは流れる線と淡い明暗で表した。

本論(500〜550字)
 まず、石の重量感を強調するために、光源を右上に設定し、下部に深い影を落とした。ハッチングを密に重ね、面の硬さと密度を出すことで“動かない物体”の存在感を表した。一方、布は石の上に軽くかかるように配置し、線の方向を波のように変化させることで空気を含む柔らかさを出した。光を吸収する部分と反射する部分を意識的に描き分け、素材間の温度差を生んだ。
 この構成によって、「重いものが軽いものを支える」のではなく、「軽いものが重いものを包み込む」逆転的な関係を作り出し、素材が持つ役割と印象の再定義を試みた。

結論(100字程度)
 重量と質感は、建築における空間の“感情”をつくる要素である。単なる観察ではなく、構造と素材の関係を再構築することで、見る人の感覚に働きかける表現を目指した。

○面接について

・面接の形式
筆記試験後に実施されたそう。
まず6人1グループに分かれて集団面接(10〜20分)を行い、その後、個別面接(5〜10分)が実施されたそう。

・面接官の人数
集団面接: 教授6人(受験者1人につき1人が担当)
個別面接: 教授3人

・集団面接の様子
受験者は横一列に座り、それぞれ担当の教授と向かい合う形で行われたそう。
まず、受験番号の早い順に1人ずつ個別質問が行われ、その後、全体に向けて2〜3問の共通質問が投げかけられたとのこと。
全体質問は挙手制または左から順に回答する方式で、長く答えすぎると途中で切られることもあったそう。

全体質問の例:

  • 「もし創成入試がだめだった場合、一般入試を考えていますか?考えていない人はなぜか教えてください」
  • 「オープンキャンパスに訪れたことはありますか?どのような印象を受けましたか?(訪れていない人も、どんな印象を持っていますか?)」
  • 「早稲田大学の本キャンパスでは文系科目がありますが、建築とどのように関連づけることができると思いますか?」

また、英語経験のある受験生には「英語で質問しますね」と言われ、

  • 「大学に入ったら授業でどのような貢献ができますか?」
  • 「どのような10年後の自分を想定していますか?」
    といった英語での質問もあったそう。
    他の受験生には、志望理由や大学で学びたい内容に関する質問が多かったとのこと。

・個別面接の様子
 面接官3人が、受験生が筆記試験前に提出した自己PR資料を手元に持ちながら進行したそう。
 雰囲気は集団面接よりも柔らかく、教授が受験生の話にうなずいたり笑顔を見せたりするなど、対話的な雰囲気だったとのこと。
質問は自己PR資料に基づいて行われ、受験生の経験や思考の深掘りが中心だった。

実際にあった質問の例:

  1. 自己紹介と志望理由を3分程度で答えて。
  2. 〇〇へ行ったのはなぜですか?
  3. 〇〇氏はどのように知りましたか?
  4. 〇〇留学では学校にどのくらいいましたか?
  5. 〇〇コンテストにはどのような経緯で参加しましたか?
  6. 〇〇コンテストでは賞などは取りましたか?
  7. 「聞く力」が強みとありますが、〇〇で得た経験を今後の目標にどう活かせると思いますか?
  8. 将来(大学卒業後)はどのように夢を実現していきますか?