2025年10月26日、早稲田大学国際教養学部(SILS)のAO選抜二次試験が実施されました。
今年度も面接はなく、すべて筆記によるエッセイ試験形式(Critical Writing & Motivation Essay)で行われ、受験生約100名が講堂に集まり、英語での思考力と表現力を競いました。
未来図編集部が入手した問題概要と、リザプロ推薦対策事業部が想定する回答の方向性をお伝えします。

問題概要

試験構成(当日の流れ)
集合 → Critical Essay(課題文に対する批判的論述) → 休憩 → 志望理由に関するエッセイ → 解散

出題内容:

  1. 翻訳文学の本質に関する批判的論述
     日本語作品が翻訳によってニュアンスを失う場合、翻訳作品を「原作」とみなすべきか、「新しい作品」とみなすべきかを論じる。
  2. 実験動物倫理に関する批判的論述
     遺伝子操作を伴う実験用マウスの利用は「必要な妥協」か、それとも「自然主義に反し避けるべき行為」かを論じる。
  3. パスカルによる学問分類に基づく自己分析(志望理由エッセイ)
     あなたがSILSで学びたい学問は、パスカルのいう二つの学問のどちらに属するか。
  4. その分類の理由を、自身の学びの経験を踏まえて説明せよ。
  5. パスカルの分類そのものに対する意見を、論拠とともに述べよ。

用語解説:Critical Writingとは?

SILSのCritical Writing(批判的エッセイ)は、英語で自らの意見を論理的に展開する力を測る記述試験です。
単なる「意見の表明」ではなく、

  • 与えられた命題や引用文を多面的に分析する力
  • 前提や価値観を問い直す姿勢
  • 反論・再構築を含む論理展開
    が重視されます。

SILS公式の授業でも「Critical Reading & Writing」は中核科目であり、思考力・英語運用力・表現力の三要素を統合的に問うのが特徴です。

関連すると思われる社会問題

翻訳文学の問いは、言語と文化の多様性・グローバル化時代の“意味の変換”をめぐる問題に通じます。ChatGPT翻訳の精度向上やAI翻訳文学賞の登場など、技術が「原作の魂」にどう影響するかという現代的テーマです。

動物実験の倫理は、科学技術の発展と生命倫理の境界線を問う古典的テーマ。AI医療や再生医療の拡大とともに「どこまでが人道的か」という問いが再び注目されています。

パスカルの学問分類(理性的知と直感的知)は、STEMとリベラルアーツの分断、すなわち現代教育の二極化を象徴します。SILSの多分野融合的な学び(哲学・環境・国際関係・メディアなど)は、まさにその境界を越える実践の場といえます。

理想回答の一例(方向性)

  • Critical Essay(翻訳文学)
     翻訳は単なる模倣ではなく、文化的背景や解釈を再構築する「共同創作」であると捉え、原作との距離を肯定的に位置づける。
     →「翻訳は裏切りではなく、異文化への架け橋」という立場。

  • Critical Essay(動物実験)
     生命倫理と科学的責任の両立を探り、完全な自然主義ではなく「最小限の犠牲で最大の人類的利益を追求すべき」というバランス型の立場を展開。

  • 志望理由エッセイ(パスカル)
     自身の学びを「直感と理性の融合型」として定義し、SILSの「境界を越える学際的探究」と接続させる構成が理想。

面接について

例年と同じように、面接は実施されませんでした。
筆記によるエッセイ評価のみで、論理的思考・表現力・自己分析の深さが重視されました。


受験者からのコメント

「想定外の分野から課題作文が出ることもあるので、社会・文化・倫理など幅広いトピックに備える準備が必要だと感じました!」

「リラックスした方がいいです!英語が1番大事だからそこに全力注いでほしい!」

実際の問題はこちら↓

今回はNature の News Feature「Lab mice go wild: …」(Kerri Smith, 2023),こちらの記事から試験問題が抜粋されたようです。