1639年、京都・西本願寺に設けられた「学寮」を起源とする龍谷大学。2039年の創立400周年を見据えた長期計画「龍谷大学基本構想400」のもと、大学改革を進めている。 

2024年には、大学によると日本初となる、メタバース空間での総合型選抜入試説明会を開始。2027年4月には、環境サステナビリティ学部と情報学部を新設。 

400年近い歴史を持つ大学は、なぜ新しい仕組みに踏み出し、入試では受験生の何を見ようとしているのか。京都・深草キャンパスの入試部で、ご担当者にお話を伺った。 

「親しみやすくて、真面目」 

まず、龍谷大学らしさとは何かを尋ねた。最初に挙がったのは、1639年という創立年だった。 

「1639年の創立で、あと13年で400周年です。これだけ長く支持されてきた背景には、浄土真宗の親鸞聖人の教えにもとづく建学の精神への評価があるのではと思っています。」 

高校生からは、龍谷大学に対して「親しみやすい」「活発」に加え、「真面目」という声が寄せられることが多いという。 

「活発な雰囲気があって、真面目で親しみやすい。そのバランスが取れた学生が多いのではないかと思います」 

「面白そう」から始まった、メタバース説明会  

龍谷大学は2024年から、総合型選抜入試の説明会をメタバース空間で開催している。大学は、総合型選抜入試の説明会をメタバースで実施したのは日本初としており、2026年も6月14日に開催した。 

背景にあったのは、総合型選抜の出願時期と、受験生へ情報を届けるタイミングのずれだった。 

「龍谷大学の総合型選抜は9月1日から出願が始まります。3月のオープンキャンパスでも総合型選抜入試に関する質問は多いのですが、次の大きなイベントとなると8月のオープンキャンパスになります。出願直前です。その間に情報提供の場があった方が良いのではとの考えから6月に開催することにしました」 

では、なぜメタバースだったのか。 

「メタバース空間だったら面白そう、という軽い気持ちです(笑)」発想は軽やかだが、会場の設計は受験生の行動に合わせている。 

空間内には学部ごとのブースが並び、受験生は関心のある学部を自由に訪問できる。

入試説明や学部紹介、模擬講義などの動画を視聴し、入試要項や学部パンフレットを閲覧・ダウンロードすることも可能だ。不明点があれば、チャットを通じて学部担当者に質問できる。 

「一方的に情報を伝えるのではなく、参加者が能動的に体験できるようなものにしたいと考えていました。メタバースなら、受験生が関心のあるブースを自由に訪れて、動画を見たり質問したりできる。『面白い』という感想を結構いただいています。」 

アンケートをもとに運営方法を改善しながら、今後も継続できればと担当者は言う。総合型選抜に限らず、メタバース空間でのオープンキャンパスへ発展させる構想もある。 

「好き」を社会課題につなげる——2027年新設の2学部  

2027年4月、瀬田キャンパスは「びわ湖大津キャンパス」に名称変更され、環境サステナビリティ学部と情報学部が新設される。 

龍谷大学によると、環境サステナビリティ学部は全国初。都市環境工学や生物多様性科学、経済学、経営学などを横断し、文系・理系の枠を超えて環境課題を学ぶ学部だ。 

「持続可能な社会をどう作るか、というコンセプトはもちろん大事です。ただ、まずあるのは、学問に対する『好き』という気持ちを学びにつなげてほしい、ということです。生き物が好きなら生物多様性の危機を、経済や経営に関心があるなら、環境という切り口で経済学・経営学を突き詰めていけばいい。それがひいてはサステナビリティにつながる。文系・理系を問わず混ざり合う学部です」 

学びの軸となるのが、現場で課題に向き合うフィールドワークだ。1年次からさまざまな現場へ出て、講義で得た知識と実践を往復する。 

「環境問題が起きている実際の現場に行くことが、理解を深めるのには効果的です。授業を受けて、琵琶湖をはじめとする現場に行って実践して、その結果を踏まえてまた授業に戻る。授業とフィールドを行き来する学びです」 

一方の情報学部が重視するのは、技術の習得そのものではなく、技術を社会やビジネスにどう生かすかだ。 

「情報技術は当然学習します。そのうえで、その技術を使ってどんな社会問題を解決していきたいのかを重視しています。情報技術に健康、防犯・防災、スポーツ、芸術などを自分が関心ある分野を組み合わせ、学びを深め、独自の価値を創出していく。情 

報技術を活用してどう社会に貢献していくのか、自分なりの方向性を見つけてもらいたい。」 

両学部は、先端理工学部の環境科学課程と知能情報メディア課程を発展的に改組するものだ。まったくのゼロから立ち上げるのではなく、既存の教育・研究の蓄積を、新たな学部へと発展させる。 

総合型選抜と公募推薦、どう選ぶか  

入試部によると、関西では、以前から年内学力試験型の推薦入試が行われているという。年内入試への関心が高まるなか、龍谷大学の多様な入試方式は、どのように選べばよいのか。 

「まず、龍谷大学にどれだけ行きたいのか、ですね。第一志望なら、総合型選抜からチャレンジしてほしい。ただし、小論文や面接といった独自の対策が必要になります。スポーツや課外活動を重視している場合は、スポーツ活動選抜入試、文化・芸術・社会活動選抜入試もあります。個別学力試験を重視するなら、公募推薦入試(総合評価型)になります。公募推薦入試(総合評価型)における個別学力試験の試験科目は、文系なら英語と国語、理系なら英語と数学または理科※の2科目です。」 

(※選択可能な数学・理科の科目は、学部・学科・専攻によって異なります) 

公募推薦入試は、2026年度入試から名称が「2教科型」から「総合評価型」に変更された。2027入試ガイド(2026年4月時点)では、指定された2科目の試験だけで合否が決まるのではなく、すべての方式で事前課題「大学入学希望理由」の提出が必要とされている。 

担当者は、学力試験の得点を単なる数字としてではなく、学習を継続してきた結果として見るという。 

「個別学力試験で必要な科目はたった2科目ですが、合格最低点を超える点数を取れたということは、継続して勉強してきたことの裏返しでもあると思います。公募推薦入試(総合評価型)に限ったものではありませんが、合格という目標に向かって継続して頑張ることができる、そういう学生さんに来ていただきたい」 

一方、総合型選抜で重視するのは、入学後の伸びしろを含めた、その受験生の「可能性」だ。 

「龍谷大学への熱意、合格したらどんなことを勉強したいのか、高校時代に頑張ってきた取り組み。それらを踏まえ、その生徒さんの『可能性』を評価したいと考えています。どれくらい伸びていきそうなのかを、書類や面接等でのやり取りを通してみていきたい」 

総合型選抜入試のうち学部独自方式では、「当該学部・学科(課程)への入学を第一志望とする者」を出願資格の一つとしている。 

担当者は、総合型選抜で入学後、学業に熱心に取り組む学生の姿も見てきたという。 

「第一志望である龍谷大学に合格できたのだから勉強を頑張ろうと、必死に取り組んでくれている学生もいます。総合型で入ってくる学生の中には、ポテンシャルの高い学生もたくさんいますよ」 

出願準備では、学部や方式ごとに定められたエントリーシートや自己推薦書などの書類が重要になる。名称や設問は異なるが、なぜその学部を志望するのか、入学後に何を学びたいのかを、自分の経験と結びつけて具体的に示す必要がある。 

迷ったら、併願を  

出願戦略について尋ねると、合格を高める方策を教えてくれた。 

「龍谷大学では公募推薦入試(総合評価型)や一般選抜入試なら、1日に最大6出願まで併願できます。複数の方式を用意していますが、それぞれ特徴があるので、ご自身の強みも踏まえて、合格最低点をクリアすることができそうな方式をしっかりと検討したうえで出願いただくのが良いと思います。本学では方式ごとに合否判定を行います。そのため、合格の可能性を上げる方策として、複数方式で一つの学部学科等に出願するのも効果的だと思います。」 

2027年度入試でも、指定科目や入試型などの条件を満たす範囲で、1日の試験につき最大6出願が可能だ。ただし、出願できる学部や方式の組み合わせには条件があるため、実際の出願時には入試要項を確認する必要がある。 

最後に、大学選びそのものについての助言も印象的だった。キャンパスを訪れる高校生に、いつも伝えている言葉があるという。 

「授業がない時間帯の学生の姿を、よく見てくださいと言っています。授業がない空きコマに真面目に勉強している学生が多い大学は、そういう特色の大学。普段の姿に大学の特色は出ますから。」 

龍谷大学には、近畿地方を中心に全国から学生が集まる。2027年から新学部が置かれるびわ湖大津キャンパスは、JR大津駅から直行バスで約20分。琵琶湖や地域社会を学びのフィールドとしながら、京都・大阪方面からも通学しやすい環境を整える。 

「学生の多様性という意味でも、全国各地から来てほしい。共通テスト利用入試もあるので、全国から受けてもらいたいと思っています」 

400年近い歴史を持ちながら、メタバースや新学部といった新たな試みに踏み出す。伝統と変化を対立させることなく、受験生一人ひとりの「可能性」に目を向ける。その姿勢に、現在の龍谷大学らしさが表れている。 

※新学部および入試制度に関する情報は、公開時点の龍谷大学公式情報に基づきます。出願時には、必ず最新の入試要項をご確認ください。