◆ 過去最多の大学数に
令和の時代、日本の大学の数は過去最多を更新し続けています。
旺文社教育情報センターによると、2024年度の大学数は796校(募集実施大学ベース)。
これは過去最高水準とされており、統計や集計方法の違いによっては「811校」とされる資料もあります。実際、文部科学省のデータでも、国立:86校、公立:101校、私立:624校、計811校以上とされています。
つまり、令和の時代になっても大学の数は増え続けているのです。
しかし、不思議に思いませんか?
少子化で子どもの数は年々減っているのに、なぜ大学の数が増えているのか。
いま日本では、ある種の“大学・学部設立ラッシュ”が静かに起きています。
背景には、社会構造・教育観・経済の3つの変化が複雑に絡み合っています。
◆ 理由①:「大学全入時代」が現実になった
かつては大学に行ける人は一部の“エリート層”でした。
しかし今や、大学進学は当たり前の時代。
文部科学省とNISTEP(科学技術・学術政策研究所)のデータによれば、2023年度の大学入学者は約63.3万人。2000年代は横ばいでしたが、2014年度以降は緩やかに増加傾向にあります。
いまや「大学に行かないと就職が不利」「ホワイトカラーになってほしい」という親の願いが当たり前になり、
高校生のほとんどが大学を志す“大学全入時代”が到来しました。
その結果、「入りたい学生の数に合わせて大学が増える」という構造が生まれたのです。
◆ 理由②:大学が“生き残るために”特色化を進めている
また、学部が新設される大きな理由の1つとして、大学側の生き残り戦略が考えられます。
人口減少で競争が激化する中、「ただの文系・理系大学」では学生を集められない時代になりました。だからこそ各大学は、他校との差別化を図るために“ここでしか学べない学部”を次々に生み出しています。
その結果として登場したのが、「恐竜学部」(福井県立大学)や「ゴルフマネジメント学部」(関西国際大学)、
「コスメティックサイエンス学環」(佐賀大学)といった、いわば“へんな学部”たちです。
「恐竜を研究したいなら福井」「化粧品を科学的に学ぶなら佐賀」、そんなふうに地域×専門分野で大学が個性を磨きはじめたのです。
◆ 理由③:社会のニーズが変わった
今の時代、企業が求めるのは“正解を覚えた人”ではなく、“新しい価値をつくる人”です。AIが文章を書き、データを分析できる時代に、人間に求められるのは発想力・創造力・専門性の掛け合わせです。
このような社会の変化に合わせて、大学もまた変わらざるを得ません。例えば、酪農学園大学でも、「農環境情報学類」が2026年4月に新設されることになっています。農業系と言っても、AIを学ばなければならない。このようなことはどの分野においても起こっていることであり、「経済学部」「文学部」といった従来の枠を超えて、新領域の学問や融合分野の学部が増えているのはそのためです。
「デジタル×アート」「科学×社会」「地域×産業」など、複数の分野をまたいだ新しい学びを提供する大学が急増しているわけです。
◆ “東大じゃなくても行く理由”がある時代へ
そして総合型選抜が普通になっている今、大学に行く理由を「偏差値以外」に求めることも多くなってきました。
昔は「経済学を学びたい」と言えば、「だったら東大や早稲田の経済学部が上位互換でしょ」と見なされることが多いものでした。
しかし今は違います。「恐竜学を学びたいから福井へ」「コスメを科学的に研究したいから佐賀へ」。
そうした“その大学にしかない理由”が生まれているのです。
つまり、“偏差値で大学を選ぶ時代”から、“テーマで大学を選ぶ時代”に変わりつつあるのです。その変化の象徴が、「学部の多様化」なのだと考えられます。
◆ 未来図では全国の“ユニーク学部”を取材中!
未来図編集部では、実際にこうした大学や学部を訪れ、先生や学生にお話を聞いています。どの学部も、これまでの常識を覆す面白さがあります。
ぜひ読んでみてください!
- 福井県立大学 恐竜学部
「恐竜のまち」福井に生まれた、世界唯一の“恐竜学”専門学部。
恐竜の骨を発掘するだけじゃない。地質、古生物、環境変動——地球の過去から未来を考える最前線。
“子どもの夢”を“本気の学問”にした、福井の挑戦です。 - 大谷大学 文学部 真宗学科
「人の心を見つめること」が、こんなにも深いなんて。
宗教・哲学・死生観を通して“生きる意味”を問う学問がここにあります。
京都の町で、静かに、熱く、心を磨く学部の姿を取材しました。 - 京都精華大学 マンガ学部
ストーリーの構成力、感情の表現、そして伝える力。
日本発の「マンガ学」が学べる、世界に広がっています。 - 佐賀大学 コスメティックサイエンス学環
ここは、化学と医学、美学が交わる最先端の研究現場。
美を科学し、社会を変える力にする、佐賀発の挑戦を追いました。 - 関西国際大学 ゴルフマネジメントコース
スポーツと経営、心理学と戦略。
ただの体育ではない、プロスポーツ界・観光・ビジネスをつなぐ新しい教育モデルです。 - デジタルハリウッド大学
映画、CG、デザイン、ゲーム、SNS。
AI時代の芸術とテクノロジーを学べる大学に取材に行ってまいりました。
- 沖縄科学技術大学院大学(OIST)
2019年の Nature Index 正規化ランキングで世界9位に入り、東京大学を上回った実績を誇っており、国際色豊かなキャンパスでは、物理・生命科学・AI・海洋研究など幅広い分野で最先端の研究が進められ、今や「世界が注目する沖縄発の大学院」として存在感を放っています。
まとめ
令和の大学は、「数が増えた」だけではなく、「内容が変わった」時代です。地域・分野・社会のニーズに合わせて進化し続ける“令和型の大学”を、これからも未来図は取材していきます。





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